SSブログ

宮脇健がケンちゃんシリーズを卒業したドラマ『翔んだカップル』 [懐かし映画・ドラマ]

宮脇健がケンちゃんシリーズを卒業したドラマ『翔んだカップル』

今日は宮脇健さん(1961年6月13日~)の誕生日です。おめでとうございます。かつては本名の宮脇康之として、長きに渡ってケンちゃんシリーズや『翔んだカップル』などに出演。しかし、子役時代に名前が大きくなりすぎると、周囲には理解しにくい苦労もあったようです。(画像は以下のOGPから)




宮脇健とは誰だ


宮脇健さんは、四方晴美さんのところでも書きましたが、かつては子供向けホームドラマとして長い間高視聴率を保ち続けた『〇〇ケンちゃん』を、チャコちゃんシリーズも含めると、なんと13本(ということは13年間)出演し続けました。


もちろん、視聴者にとってはスターですし、テレビ局関係者にとっても視聴率の取れる役者として、下にも置かない扱いでした。

何しろですよ、あの向かうところ敵なしの杉田かおるが、共演していたわけでもないのに、撮影所が一緒だっただけで、宮脇康之母子のところに挨拶に行ったそうです。(杉田かおる著『すれっからし』)

いかなければもちろん、行っても「あの子気に食わない」と、宮脇母が一言言えば、その役者は降ろされたそうです。

ギャラもがっぽりいただけます(年収は7000万~8000万円)が、高校の先生だった宮脇父は、そのお金でスタッフを接待するので、ますます宮脇康之の商品価値を上げる使い方をシなければならない。

その循環で、13年もの間、スター子役として君臨できたわけです。

しかし、反動は大きかった。

その後の転落やV字回復ぶりは、すでにご本人があっちこっちで話していますし、本も出ています。(『名子役の虚構 ケンちゃんの真実』『ケンちゃんの101回信じてよかった』など)

一家で世間知らずのまま天狗になり、家庭の崩壊、兄の自殺未遂、保証人になって多額の借金。

三原じゅん子との交際がバレると、宮脇康之だけが仕事を干される(すでにタレントとしての格が三原>宮脇だったということ)。

墓地のセールスマンや、ガス検針員などに転職し、業務用の麺を何度かに分けて食いつなぐ日々。

宮脇健に改名して2001年から始めた還元水生成器ビジネスがあたり、その後はバッテリーのリサイクル事業も行ないながら講演活動で全国をまわる傍ら、芸能活動も行っている、という経過です。


子役が、そのまま順調に成長して役者稼業を続けるというのは、いかにむずかしいか。

舞い上がる両親、世間知らずで確立できない自我、役者として大人の路線変更の失敗……

その典型を見るようですが、V字回復されて、時々メディアにも出られているので何よりです。

ケンちゃんシリーズを卒業して、最初にレギュラー出演したのは、『翔んだカップル』でした。

翔んだカップル



『翔んだカップル』は、1978年3月19日号~1981年3月11日号まで、週刊少年マガジンに連載された柳沢きみおの学園ラブコメです。

1979年度、第3回講談社漫画賞を受賞しています。

不動産仲介業者の手違いで、高校で同じクラスの男女がルームメイトになった話です。

薬師丸ひろ子と鶴見辰吾で、東宝が映画化しています。

それを、桂木文と芦川誠主演でテレビドラマ化したのがフジテレビです。

徹底的にコメディー化したドラマ



ドラマ版『翔んだカップル』(1980年10月3日~1981年4月10日、フジテレビ)は、今ではめずらしい毎週金曜19時開始の30分ドラマでした。

内容は全編コメディーで、しかも回を追うごとにドタバタぶりが独り歩きして、原作からかけ離れていきましたが、NG集をエンディングで流すなど、新しいことにチャレンジした斬新な構成でした。

エンドロールに流れるH2Oの歌『僕らのダイアリー』もよかったですね。

宮脇康之は、2人と同じ高校に通う同級生の中山わたる役。


原作では、2人の関係に嫉妬して同居生活を破綻させてしまうのですが、それがきっかけでノイローゼになり、立ち直りを見せた矢先に事故死するという、何とも悲劇的な展開でした。

が、もちろんドラマではそのような展開はありません。

芦川誠、宮脇康之、そしてドラマのレギュラー初出演の柳沢慎吾が、3バカとしておかしなことを夢想したり、計画したことを失敗したりする狂言回し的な役割です。

ただ、この頃、リアルでドラムを叩き始めた宮脇康之は、ステージママの要求があったかどうかわかりませんが、ドラマでもいつのまにかドラムが得意ということになっていて、母親(久里千春)がその叩きっぷりに満足しているシーンも有りました。



デビュー作は山田洋次作品だった



宮脇健のデビュー作は、『運がよけりゃ』(1966年、松竹)という、山田洋次監督の初めての時代劇作品です。

向島裏長屋が舞台です。左官で暴れ者の熊(ハナ肇)と相棒の八(犬塚弘)は、「同僚」であり同じ長屋住まいでもある、公私ともに相棒です。

2人を中心に、長屋の人々のたくましい暮らしを描いていますが、ネットでは、古典落語を下敷きにストーリーを構成と説明されています。

長屋の“はきだめに鶴”といわれているハナ肇の妹・せい(倍賞千恵子)が、預かって育てている子供が宮脇健(当時の宮脇康之)です。

昭和世代の方は、ケンちゃんシリーズ、ご覧になってましたか。





名子役の虚構―ケンちゃんの真実

名子役の虚構―ケンちゃんの真実

  • 作者: 宮脇 康之
  • 出版社/メーカー: パラス
  • 発売日: 2020/06/13
  • メディア: 単行本



ケンちゃんの101回信じてよかった

ケンちゃんの101回信じてよかった

  • 作者: 宮脇 康之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/06/13
  • メディア: 単行本



nice!(231)  コメント(14) 
共通テーマ:テレビ

nice! 231

コメント 14

青い森のヨッチン

今回の記事はだいぶ前に「あの人は今」的な番組で墓石のデザイナーをしているとか以来の消息のような気もします。
子供のころはケンちゃんシリーズを楽しみにしていました。
土曜のお昼過ぎの放送?でしたっけ関東ではヤマサ味噌がスポンサーだったような記憶が私の中では今でもヤマサ=ケンちゃんと変な位置づけになっています。
by 青い森のヨッチン (2020-06-13 15:38) 

kou

ケンちゃんは何度か現在の様子をテレビで観ましたが、その後はご苦労されていたんですね。
ケンちゃんチャコちゃんが懐かしいです。
by kou (2020-06-13 18:17) 

ヨッシーパパ

チャコちゃんシリーズの後で、けんちゃんシリーズになり、楽しく見ていました。
by ヨッシーパパ (2020-06-13 18:40) 

goro

訪問ありがとうございました(^^
ケーキ屋けんちゃん、私が観たのは再放送でしたが、めっちゃ懐かしく思い出しました。
家族揃って観た覚えがあります。
by goro (2020-06-13 18:48) 

pn

おおお桂木文だ!かわいかったよなぁ(*´▽`*)
by pn (2020-06-13 21:00) 

十円木馬

確かに売れていた子役が、大人になっても売れ続けることは
は稀ですね。ほとんどの場合、「あの人は今・・」となる
ケースが多いと思います。本人のみならずサポートする
親の考え方も重要ですね。
芦田愛菜さんなどは、このまま順調に育って欲しいと思う
数少ない女優です。
by 十円木馬 (2020-06-13 21:07) 

mau

笑顔が変わらないですね。
復活出来て良かったです
by mau (2020-06-13 21:49) 

skeptics

ケンちゃんだから「健」に改名したのでしょうか。
考えさせられます。
by skeptics (2020-06-13 21:55) 

エンジェル

ケンちゃんシリーズはもちろん見たことはありますが、「翔んだカップル」以降はよく知りません。色々ご苦労なさったんですね。改名したのも知りませんでした。
by エンジェル (2020-06-13 22:27) 

ナベちはる

>あの向かうところ敵なしの杉田かおるが、共演していたわけでもないのに、撮影所が一緒だっただけで、宮脇康之母子のところに挨拶に行ったそう

テレビ局のみならず共演していない俳優までがそこまでさせるとは、当時の宮脇さんが業界に与える影響力は計り知れないものがありますね。
by ナベちはる (2020-06-14 00:41) 

なかちゃん

ケンちゃんチャコちゃんは見ていたような気がします。
大人になってからケンちゃんを名乗るAVが出たりして、記憶はそちらの方に行ってしまってました。
テレビでケンちゃんを観ていたころが懐かしいです(^^)

by なかちゃん (2020-06-14 08:40) 

そらへい

「チャコちゃんとケンちゃん」はかすかに記憶があります。
子役時代の成功は、後が大変なんでしょうね。
回りは皆大人ですからね。
若い頃にちやほやされるのはろくなことがない気がします。
よく建て直されたと思います。
by そらへい (2020-06-14 20:19) 

Rinko

ケンちゃんシリーズは薄っすら覚えている感じです。
大物子役はその後が難しいのは今も昔も変わらないんですね。波乱万丈ですね。
by Rinko (2020-06-15 08:28) 

犬眉母

同年代ですが、随分苦労されているんですね。
by 犬眉母 (2020-06-18 20:14) 

Facebook コメント

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます