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『ダメおやじ』三波伸介、倍賞美津子、原作をホームドラマに翻案 [懐かし映画・ドラマ]

ダメおやじ

『ダメおやじ』(1973年、松竹)を観ました。古谷三敏の同名漫画の映画化です。といっても、原作を知っているのは40代後半ぐらいでしょうか。原作は、気の弱そうな出世できそうもない夫を、いかにも意地悪な顔をした妻と、娘と息子の3人がかかりで暴力を用いていびるバイオレンス漫画でした。(画像は劇中より)



ジェームス三木脚本、野村芳太郎監督による本作は、バイオレンスのシーンは2シーン程度の、松竹的なホームドラマに仕上がっています。

バイオレンスシーンはほとんどない「ホームドラマ」


天野大介(三波伸介)は、不動産会社に勤務しています。

同僚の南村(小山田宗徳)が、トントン拍子で課長に出世したのに引き換え、大介(三波伸介)はバカ正直で要領が悪いため、顧客にトラブルがあった際に、謝りに行くのが主な仕事。もちろん平社員です。

ただし、その愚直さに惹かれて、冬子(倍賞美津子)は大介(三波伸介)と結婚し、タコ坊(佐野伸寿)を授かります。

ダメおやじ

南村(小山田宗徳)は、冬子(倍賞美津子)の短大テニス部時代の後輩・由美子(吉田日出子)と結婚。

後輩の夫が、家も建て課長になったことに刺激を受けた冬子(倍賞美津子)は、大介(三波伸介)が係長になれるよう、宅地建物取引主任者試験合格のために猛烈な特訓を行います。

会社の女子社員・すみれ(新藤恵美)は、南村(小山田宗徳)の愛人ながらも、愚直な大介(三波伸介)に別れたかつての恋人を重ね、密かに応援しています。

しかし、気の小さい大介(三波伸介)は、途中で試験を放棄。

大介(三波伸介)の帰りが遅いので、冬子(倍賞美津子)は大介を探しているうち、南村(小山田宗徳)とすみれ(新藤恵美)の関係を知り、口外を恐れた南村(小山田宗徳)は、北海道の原野の管理人に係長として赴任させることを部長(田部謙三)に進言。

冬子(倍賞美津子)は最初嫌がりますが、大介(三波伸介)は、都会よりも地方のほうが自分にはあっていると言い、転勤を受諾します。

当初は単身で赴任するつもりでしたが、冬子(倍賞美津子)とタコ坊(佐野伸寿)は同じ電車に乗っていた、というところでエンディングです。

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もし原作にイメージを合わせるなら……


つまり、原作のようなバイオレンスはほとんどなく、松竹らしいやや恐妻家の「ホームドラマ」でした。

テレビ東京で放送されていたアニメの声が大泉滉でしたから、そちらの方が原作により近かったかもしれません。

三波伸介が、気は優しいけれど出世しそうもない「ダメおやじ」にキャスティングされたのは、『どですかでん』(1970年、東宝)において、妻(楠侑子)がその都度別の男と子供を作っても、みんな自分の子供として受けて入れしまうヘアブラシ職人の役を演じたことが、野村芳太郎監督の頭にはあったのではないかと思います。

『どですかでん』人生は貧富や倫理で幸福か否かは決まらない!?

まあ、原作のある映画やドラマについては、原作とイメージが違うと批判する人がかならず出てくるのですが、もし、原作により近いバイオレンス性を表現するのなら、先ごろ亡くなった、あしたひろしと、あした順子のコンビなど面白かったのではないかと思います。

ダメおやじ
漫才協会より

あした順子には悪いのですが、原作の「ダメおやじ」の鬼婆に、イメージ的には重なるような気がします。

いずれにしても、この作品も、今だったらテレビの深夜枠あたりで実現するかどうかの企画です。

この時点では、まだ倍賞美津子が松竹と契約していた頃だと思いますが、専属俳優で作るプログラムピクチャーというのは、いかにも昭和らしい映画です。

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ダメおやじ(1)
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