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女かじきEXP-特急便-(木村えいじ、グループ・ゼロ) [生活]

女かじきEXP-特急便-(木村えいじ、グループ・ゼロ)

女かじきEXP(特急便)(木村えいじ、グループ・ゼロ)は、女性子連れトラッカーを中心としたトラックドライバーの実状や連帯を描いています。 1982年にテレビドラマ化もされましたが、このたび、AmazonのKindle Unlimitedとマンガ図書館Zに登場しました。



本作のタイトルは、『女かじきEXP』で、EXPの上に「あたかもルビのように『特急便』の文字が入」(Wikipedia)ります。

女かじき特急便、という表記で構わないでしょう。

連載期間はわかりませんが、小学館「ビッグコミックオリジナル」に連載され、1982年にテレビドラマ化されました。

当時、ドラマを見ていて、いいドラマだと思っていたのですが、再放送もDVD化もなかったのです。

それが、最近になって、原作が、Kindle Unlimitedや、マンガ図書館Zに登場しました。

個人事業主トラッカーの競い合いと連帯


ストーリーは、タイトル通り、兄の息子を引き取った独身女性トラッカー・通称オッコが、焼津の町を拠点に全国に、魚を運ぶ話です。

なかなか知ることの出来ないトラックドライバーの実状や、トラックドライバー同士のつながりなどが忠実に描かれています。

トラッカーと云えば、トラック野郎が有名ですが、桃次郎(菅原文太)とジョナサン(愛川欽也)の友情や恋物語で、トラッカーとしての具体的な生活は必ずしも描かれていません。


たとえば、業界の用語は、私が記憶している限り、一言も出てこなかったと思います。

しかし、本作『女かじき特急便』は、かなり具体的にトラッカーの日常が描かれており、たとえば全6巻中の第1巻は「追っかけっ娘」というサブタイトルが付いています。

「追っかけっ娘」といっても、若い女性が芸能人の出待ちをしているわけではありません。

「追っかけ」というのは、鮮度が重要な魚や青果などの生鮮食品を、生産地や生産地市場から卸売市場まで、トラック同士で競って輸送することを指します。

語源は、セリ後の生鮮食品を乗せたトラックが、前のトラックを追いかけて卸売市場へ向かう様子から呼ばれるようになったといわれますが、諸説あるようです。

なぜトラック同士が競うかというと、生鮮食品はセリの順番が後回しになるほど入札価格が低くなる傾向にあるため、いかに早く届けられるかがポイントとなるからです。

以前、『関西無敵会』(小池たかし/どおくまんプロ著、eBookJapan Plus)という漫画をご紹介しましたが、


同作中にもあった通り、トラッカーは請負の個人事業主です。

魚を腐らせると、規定の賠償金を払うし、トラックの購入・管理もすべて自腹です。

その一方で、追っかけの勝率でトラッカーとしての価値も上がり、請負額も変わります。

つまり、トラッカー同士はライバルです。

と同時に、横のつながりも大切になります。

「移動お好み焼き屋(カンカン)」といって、警察が抜き打ちで、トラックの重量を調べることがあるのですが、ネズミ捕りなども含めて、走りながらそうした情報交換も行います。

スピード違反や重量オーバーなど、違反を取られるか取られないか、ギリギリのところでトラッカーは勝負しているのです。

本作には、そうした競い合いと連帯を織り交ぜた、リアリティのある1話完結のストーリーが全6巻にわたって繰り広げられます。

マンガ図書館Zで全巻無料閲覧が可能


神奈川県川崎には川崎港があり、やはり生鮮食品がトラッカーによって運ばれます。

私は、保険会社の川崎支社で仕事をしていたことがあるのですが、やはりお子さんのいるシングルマザートラッカーが市営住宅に住んでいて、自動車保険の手集金をしたことがあります。

手集金というのは、銀行引き落としではなく、直接保険料を集金することです。

ちなみに、その人は魚臭くはなかったけど、ほわっとタバコ臭かったな。

今はクレジットカードが使えるのでわかりませんが、当時は月払いでお金が入っていないと、そのときに事故を起こしても保険金が出なかったので、車で商売しているのに手集金なんて危なっかしいなあと思いましたが、ギリギリのところでお金をやりくりして生活しているから、自動引落しされちゃうと困るんでしょうね。

あとは、今はないのですが、パーソナル無線も私はヤッていて、トラッカーと情報交換もしていたので、トラックドライバーが全く縁のない方々ではなかったから、本作も、なつかしく、そして興味深く読めました。

ドラマの子役の方が、当時をポストしています。主人公は星野知子さんだったのです。



『女かじきEXP(特急便)』は、Kindle Unlimitedで1、2巻が読み放題リストに入っているほか、2024年5月8日現在、マンガ図書館Zで全巻無料閲覧が可能です。



トラックドライバーは世界的に不足しており、日本でも深刻な問題となっています。

とはいえ、簡単に就業できるわけではありませんが、トラッカー業界の実情を知る機会として、これを機に本作を読まれることをおすすめします。

トラックドライバーには、どんなイメージを抱いていますか。

女かじきEXP 第1巻 追っかけっ娘 - 木村えいじ
女かじきEXP 第1巻 追っかけっ娘 - 木村えいじ
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コメント 11

mm

おはようございます^^
10年近く前、ダンプを運転している女性を見て「へ~、こんなダンプを運転する女性が」と驚いたわたくし。その程度に「宇宙人」なわたくし(ー。ー
by mm (2024-05-08 06:15) 

Take-Zee

おはようございます!
ずいぶん、古い漫画のようですね・・
絵は昭和か北朝鮮のイメージを感じました。

by Take-Zee (2024-05-08 07:10) 

pn

仕事中運送車には極力道を譲るようにしています。
by pn (2024-05-08 08:33) 

お散歩爺

大分昔ですが独身女性トラッカーが会社に大型トラックで
荷物を運んできます、「男以上の仕事だね」と声をかけたら
「会社勤めのOLなんかよりお金になるのよ」「荷物の積み卸しはフォークリフトでやってくれるから汚れ仕事は無いしね」爺は「負けた!」と思いました。
by お散歩爺 (2024-05-08 09:51) 

tochimochi

なかなか興味深い内容です。
労働時間規制でトラックドライバーも人手不足ですね。
全巻無料ならぜひ読んでみたいです。
by tochimochi (2024-05-08 16:19) 

みうさぎ

なるほどトラック野郎は知ってるけどこれは知らなかったわ。鮮魚運ぶのにそんなことで順番取りしてたんですね。
拘束時間長い割に経費掛かるので長距離でも手取りが今の時代少ないですよ。
毎月手取り違うし手積みでなければ女とってはまぁ月収は多く感じる仕事だと思いますが

by みうさぎ (2024-05-08 17:17) 

コーヒーカップ

昔父親が盛岡中央市場の鮮魚で夜勤務してました。
当時運ちゃんの話をよくしてました。
当時の運転手は宮古市と盛岡市間を乗用車で2時間強掛かる所を、1時間で結ぶと言ってましたね。
運転が好き、トラックが好きだからと運転手は話すそうです。
下手な乗用車より走るし快適なそうです。
当時の運ちゃんって荷降ろしをスムーズに終われるように、夜勤をしてる社員に色々手土産持ってきたようです。
親父もサンマ1ケースとか鮭やイクラなんか貰って、家に持ち帰ってきましたね。
昔は稼げたようですね。なんかいい時代でしたね。
by コーヒーカップ (2024-05-08 18:30) 

夏炉冬扇

エンドラーズ。どんどん増えて。
もらい手さがしているんですが…
by 夏炉冬扇 (2024-05-08 21:38) 

tai-yama

トラック野郎は最後、警察とのカーチェイスが売り
なので・・・・西部警察に近いかも(笑)。
不法パーソナル(無線)は違反ですね。
FMラジオを聴いているとたまに混信で入ってきたり。
by tai-yama (2024-05-08 23:16) 

いっぷく

パーソナル無線は、使用するために認可が必要ない周波数を使用した無線です。
ただし、(たしか)平成22年で使えなくなりました。
by いっぷく (2024-05-09 00:22) 

mau

働き方改革関係の報道で、トラックの犠牲で送料タダとかが成り立ってたんだなぁと思いました
by mau (2024-05-09 00:53) 

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