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馬込文士村(大田区大森、西馬込)散策コース [大田区散歩]

馬込文士村(大田区大森、西馬込)散策コース

馬込文士村に行ってきました。馬込文士村といえば、大田区北部のJR大森駅西口から、都営地下鉄浅草線西馬込駅までの一帯にある、文学史上近代(明治から昭和前半)に活躍した作家・哲学者・画家などの邸宅を、記念館として残したり記念碑を建てたりした散策コースです。



以前、芥川龍之介の『魔術』をご紹介しました。

欲を捨てることを条件に魔術を学びたいと願う主人公が、最終的に欲を捨てきれずに現実に引き戻されるというどんでん返しの効果を生かした作品です。

主人公が、インドの独立運動家であり、若き魔術師であるマティラム・ミスラ君の魔術に魅了され、自らも魔術を学びたいと願い出ます。

ミスラ君は、欲を捨てることができると約束できるならば魔術を教えると言い、主人公は「もちろん」と修行を始めます。

しかし、修行した1ヶ月後、友人たちの前で魔術を披露すると、主人公は欲を捨てきれず、その瞬間、主人公はミスラ君の家で1時間のうたた寝から目を覚まし、魔術を失います。

もちろん、『魔術』のストーリーも登場人物も創作ですが、舞台となったミスラ君の家だけは、大田区(当時大森区)大森の坂の上にある洋館と、かなり具体的に設定されていました。

これはおそらく、現在のジャーマン通りというところから坂を上った、馬込文士村散策コースのどこかであろうと思われます。


馬込文士村についての説明は、公式サイトから引用します。
大正末期から昭和初期、東京の馬込から山王にかけての一帯(現在:大田区南馬込、中央、山王)に多くの文士、芸術家が住んでいて、互いの家を行き来し交流を深めていました。当時の馬込は武蔵野の面影を色濃く残し、静かな田園風景が広がっていました。いつしかこの辺りを「馬込文士村」と呼ぶようになりました。都市化が進んだ今でも、寺社や住宅地の緑も多く閑静な街並であることには変わりありません。起伏に富んだ小道は、かつて文士達が歩いた散歩道でもあります。文士たちの住んでいた場所にはモニュメントが置かれ、彼らの足跡を訪ねることができます。晴れたひとときあなたも散策コースを歩いてみてはいかがでしょうか。http://www.magome-bunshimura.jp/

要するに、近現代文学史でおなじみの物書きたちが集中的に住んでいた地域で、もっとも多いときは、80名の文士たちが「大森山王から馬込周辺」にすんでいたそうです。

現在は、住んでいた家が記念館として残されたり、跡地にその作家の説明板が建てられりしていて、徒歩1時間ぐらいで回れるようになっています。

近現代の文学・芸術史に名を残した人々が住んだ地域


JR大森駅西口から池上通りを渡ったところが馬込文士村の入り口です。

大森駅西口

説明板には萩原朔太郎、室生犀星、宇野千代、川端康成らの名前が出ています。

setsumei.jpg

散策コースにはこのようなパネルが埋め込まれています。

馬込文士村散策の道.jpg

馬込文士村の公式サイトから、馬込文士村の住人達をご紹介します。

石坂洋次郎、尾﨑士郎、川端康成、倉田百三、佐多稲子、城左門、萩原朔太郎、藤浦洸、間宮茂輔、室伏高信、吉田甲子太郎、稲垣足穂、片山広子、川端龍子、小島政二郎、佐藤朝山、添田さつき、日夏耿之介、真野紀太郎、三島由紀夫、村岡花子、吉屋信子、今井達夫、川瀬巴水、北原白秋、小林古径、佐藤惣之助、高見順、広津柳浪、牧野信一、三好達治、山本周五郎、和辻哲郎、宇野千代、川端茅舎、衣巻省三、榊山潤、子母沢寛、竹村俊郎、広津和郎、真船豊、室生犀星、山本有三

芥川龍之介の名前はありません。馬込文士村の居住歴はありません。

おそらくは、家族ぐるみの付き合いのあったといわれる室生犀星や、北原白秋らの家に遊びに行って、大森の文士村を知っていたのだと思われますが、物語の舞台にしたということは、よほど気に入っていたのでしょう。

洋館があったとされる大森の高台には、尾崎士郎も住んでいました。

現在は家を保存した記念館があります。


余談ですが、私はこのポスターが好きで、大木実さんとか、表情がキマってますよね。

川端龍子や赤毛のアン記念館も


坂を下りると、「ジャーマン通り」というバス通りに出ます。

ジャーマン通り.JPG

名前の由来は、ドイツ学園があったことだそうですが、横浜中華街のような感じではありません。ただの道路。「ドイツ」は名前だけです。

ジャーマン通りを超えると、龍子記念館があります。

龍子記念館.JPG

龍子記念館とは、画家・川端龍子の喜寿の記念に自身の発意と設計によって設立されたそうです。

アトリエを再現し、絵筆や墨なども展示されているかなり大きな記念館ですが、残念ながら中は撮影禁止なので写真は外観だけです。

龍子記念館
大田区中央4-2-1

大きな地図で見る

赤毛のアン記念館・村岡花子文庫もあります。

赤毛のアン記念館.JPG

日本に「赤毛のアン」を紹介した村岡花子の書斎が保存されています。

といっても、ここはごく普通のマンションです。

村岡花子邸がマンションに建て替えられて、その一室を記念館として書斎を再現・保存しているわけです。

2014年に、吉高由里子主演で『花子とアン』というタイトルでドラマ化されました。



・赤毛のアン記念館・村岡花子文庫公式サイト
http://club.pep.ne.jp/~r.miki/index_j.htm

馬込文士村に、ご贔屓の作家はおられますか。

お近くの方は、GWのラストは文士村散策で過ごされてみてはいかがでしょか。

魔術: マンガ版 - 芥川龍之介, Midorikodan
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赤毛のアン (ポプラ世界名作童話 1) - L.M.モンゴメリ, 柏葉 幸子, 垂石 眞子
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人生劇場 飛車角と吉良常 - 鶴田浩二, 辰巳柳太郎, 藤純子, 松方弘樹, 若山富三郎, 高倉健, 棚田吾郎, 内田吐夢
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コメント 9

mm

おはようございます^^
馬込文士村、知っている名前が半分弱ってとこかしら。
by mm (2024-05-06 06:21) 

pn

鴨居も調べりゃなんかいいネタあるのかNA

by pn (2024-05-06 06:29) 

Take-Zee

おはようございます!
いつも、一番乗りでご訪問、コメント
とっても嬉しく思っています、ありがとうございます!
by Take-Zee (2024-05-06 06:51) 

夏炉冬扇

今月の出店の方、漫画作家に造詣深く、収集品多々。
愚息が西馬籠にいたことがあって、懐かしいです。
by 夏炉冬扇 (2024-05-06 08:02) 

pn

すみません打ってる最中にキーボードが謎の反応になってしまって尻切れとんぼなコメントにf^_^;
by pn (2024-05-06 11:51) 

ムサシママ

馬込文士村って錚々たるお名前が並んでますね
って、お名前の半分も知らないです^^;
by ムサシママ (2024-05-06 14:04) 

コーヒーカップ

東京には文化も集まって興味がわきます。
ちょっと触れられるのは羨ましいです。
by コーヒーカップ (2024-05-06 15:29) 

tai-yama

川端さんが3人居る・・・・たまたまなのかな?
文化人はたくさんいたけど、麻雀とダンスに興じて
いたとは(驚)。
by tai-yama (2024-05-06 23:01) 

mau

古い建物、手入れする人がいないと解体されてしまいますね。残念
by mau (2024-05-06 23:58) 

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