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「後妻業事件」と呼ばれる関西青酸連続死事件を仏教はどう見るか [仏教]

「後妻業事件」と呼ばれる関西青酸連続死事件を仏教はどう見るか

後妻業事件と呼ばれる関西青酸連続死事件を仏教はどう見るか。事件の全容を描いたのは『結婚相談所の妖女~青酸カリ連続男性不審死事件~』(桐野さおり著、ユサブル)。収監中の彼女のインタビューを漫画化したのは『マンガ「獄中面会物語」』(塚原洋一作画、片岡健原作、笠倉出版社)です。

後妻業という言葉はご存知ですか。

今日は書籍3冊からご紹介します。

財産目当てで高齢男性と入籍、あるいは内縁関係になったあと、遺産を根こそぎ狙うやり方を、後妻業と呼びます。

高齢者の遺産を狙った犯罪を題材とする、黒川博行さんの推理小説がきっかけといっていいでしょう。



そのタイトル名をつけられた事件が、関西青酸連続死事件。

事件の全容を漫画化したのは、『結婚相談所の妖女~青酸カリ連続男性不審死事件~』(桐野さおり著、ユサブル)です。

後妻業事件とも呼ばれる関西青酸連続死事件を仏教はどう見るか

「後妻業」は、それをタイトルとした、映画やドラマも何本か作られましたね。

つまり、何人もの人が演じたわけですが、私は、そういうことをしそうなイメージとして、大竹しのぶのキャスティングほどぴったりくることはないと思いました(爆)

大竹しのぶという人は、『後妻業』で男たちをボロボロにするとか、『男女七人秋物語』で、今井良介(明石家さんま)や沖中美樹(岩崎宏美)やケンちゃん(柳葉敏郎)たちを振り回す役とか、人を自分の懐に引き入れては不幸に陥れる役がぴったりですね。

いや、役者として、こういう言われ方は誇らしいことなんですよ。


というか、ネットでは、かなり多くの人がそう思っているようですし。

後妻業事件とはどんな事件か


関西青酸連続死事件は、2007年(平成19年)~2013年(平成25年)、京都府・大阪府・兵庫県など関西圏3府県で、高齢男性3人が青酸化合物によって殺害され、1人が青酸中毒になった事件です。

3件の殺人罪と、1件の強盗殺人未遂罪に問われたのです。

筧千佐子は、すでに死刑判決が確定していますが、漫画では千恵子という仮名を使っています。

主人公の千恵子は非嫡出子で生まれたため、生後すぐ養女に出されたことから物語は始まっています。

彼女は成績優秀で、有名高校に入りましたが、高校を卒業するまでその事情は知らなかったそうです。

で、知ってからは、やはり微妙に自我に影響を与えたようです。

25歳の時、交際6ヶ月で結婚。

早く家庭を持ちたかったのと、家と故郷を捨てたかったから、と描かれています。

不幸なほしのもとの人は、往々にして早く結婚しますが、だいたい同じ理由ですね。

むしろ、25歳というのは、そういう境遇と理由では遅いぐらいです。

それはともかくとして、結婚生活は幸せだったようです。

印刷会社を営む夫との間に、二人の子供を授かりました。(実際はTシャツのプリント加工会社)

しかし、それも長くは続きませんでした。

夫が、クモ膜下出血で急逝してしまったのです。

これもねえ、よくある話です。

不幸な境遇の人が結婚しても、まもなくしてまた新たな不幸が襲い結婚生活を台無しにします。

社長が亡くなると冷たいもので、取引先が次々手を引きます。

保険金を借金返済に充てて会社をたたみ、千恵子は掃除婦に。

そこでばったり、昔の同級生・望月博美と再会します。

博美は、前夫のDVに苦しみ離婚したものの、結婚相談所で知り合った男性と幸せな再婚をしたと言います。

千恵子は、「こんなオバちゃんなんか誰も相手にしてくれへんわ。」と言いながらも、彼女に勧められて登録してみると、相手が現れて再婚しました。

ところが、再婚相手は暴力を振るう人でした。

千恵子は最初は、「お灸をすえるつもりで」なにやら薬を飲ませます。

千恵子は、それを飲ませて夫の具合が悪くなったら、看病すれば感謝の気持も湧くだろう、ぐらいの動機でしたが、ところが高齢の夫は、脳梗塞で亡くなってしまいます。

高齢だったので、このときの死亡は偶然かもしれません。

多額の保険金を得た千恵子は、その金を株にでも投資しようかと思っていましたが、「それよりもっと、いい仕事があるやないか」と考えます。

そこからは、後妻業の「起業」です。

結婚相談所に登録し、年配の男性と結婚したり内縁関係になったりしてから、「健康食品のカプセルに入れた青酸化合物」を飲ませて遺産を手にする「仕事」を始め、3件の殺人罪と、1件の強盗殺人未遂を起こしたわけです。

家族が殺された人の気持ちが想像できない


死刑が確定する前に、収監中の彼女をインタビューした本が漫画化されているので読みましたが、(マンガ「獄中面会物語」塚原洋一作画、片岡健原作、笠倉出版社)



作者の片岡健さんは、筧千佐子死刑囚との手紙のやり取りでは、「いい人」そうな印象を受けると書いています。

「千佐子の疑惑を知っている私ですらそう感じるのだ。何も知らずに千佐子と交際や結婚をしたのち不審死した高齢の男性たちも、間違いなく千佐子に最初から好感を抱いただろう」

ネットで検索して、筧千佐子死刑囚の顔写真も見ました。

特別美人というわけでもないけれど、たしかに「筆まめさやてらいのない愛情表現」攻撃を受けたら、その気になってしまうかもしれませんね。

私も絶対にそうならないという自信はありません。

本作では、彼女がくたびれてタレ気味の乳房をプルンとさせ、「どうや、ええやろ?」と差し出し、「ええんか。ええのんか」と確認すると、高齢の男は「あ…ああ、ええわ」と、懸命に吸う描き方が、別にエロ漫画ではないのですが、妙に艶めかしくリアリティを感じました。

若くもなく、グラマラスでなくても、です。

こういってはアレですが、たとえば首都圏連続不審死事件の木島早苗死刑囚などは、どれだけ事件関連の読み物を読み漁っても、夢中になる人の気持ちは全く理解できませんでした。

本書によると、筧千佐子死刑囚は、殺した相手に対しては申し訳ないという気持ちを持つのに、遺族に対しては「ないですね」とのこと。

家族が殺された人の気持ちが想像できないらしい、と片岡健さんは書いています。

冒頭に書いたように、出自は、生まれてすぐに養女に出されたものの、大人になるまでその事は知らなかったそうです。

生みの親には、「生きているうちに会ったら裏切ることになるから」育ての親が亡くなってから会ったとか。

でも、会っても自分はシラケていたとか。

「育ての親の方が大事です。いい両親やったからね」

片岡健さんは、「自分の出自を知ったショックが人格を歪めた可能性がありそう」と論考しています。

それにしても、人間て不思議ですね。

どうしてそこまで筋通せる分別や思いやりがあるのに、一方で死刑判決を受けるほどの犯罪ができるのか

それはやはり、すべてを含めてその人の人格なんです。

ジャニー喜多川氏について書いたときに触れましたが、人間の存在は相対的だということです。

ジャニー喜多川氏による「性被害」問題を仏教はどう見るか

「いい人」はすべてがいい、「悪い人」はすべてが悪いのではなく、それらが渾然一体となり、人によって見え方、表現の仕方が変わるということです。

しかし、いずれにしてもこれだけ人を殺めてしまっては、取り返しが付きません。情状酌量の余地も認められず死刑判決と成りました。

両書を合わせて読むことで、後妻業事件についての理解がいっそう深まることと思います。

ザ・女の事件 結婚相談所の妖女~青酸カリ連続男性不審死事件~/ザ・女の事件Vol.3 (スキャンダラス・レディース・シリーズ) - 桐野 さおり
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ザ・女の事件 結婚相談所の妖女?青酸カリ連続男性不審死事件?/ザ・女の事件Vol.3【電子書籍】[ 桐野さおり ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
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マンガ 「獄中面会物語」 - 塚原洋一, 片岡健
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平成監獄面会記 - 片岡 健
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マンガ「獄中面会物語」 (カルトコミックス) [ 塚原 洋一 ] - 楽天ブックス
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赤面症

心の何処かが欠損したのかも。

by 赤面症 (2023-06-10 01:05) 

コーヒーカップ

誰も持ってる黒い部分は勝ってほしくないなって思います。
分かって知っているだけに目を背けてしまう自分がいます。

by コーヒーカップ (2023-06-10 03:41) 

pn

肯定する気は全然無いけど、連続犯罪はなんで最初でやめておかなかったのかなってニュース見る度思います。
成功体験って一歩間違えば破滅の道なのかな。
by pn (2023-06-10 06:13) 

AKAZUKIN

おはようございます!
ブログにコメントありがとうございました!
by AKAZUKIN (2023-06-10 08:53) 

お散歩爺

後妻業は高齢者の遺産を狙った犯罪も時々ニュースで見ます
どんなことかは映画で大竹しのぶ教えてくれますね、笑
by お散歩爺 (2023-06-10 17:43) 

tai-yama

1人目が偶然にもうまくいってしまったので、2匹目、
3匹目のどじょうと。でも、1人目でやめていたら
見つからなかった可能性も。
by tai-yama (2023-06-10 18:59) 

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