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柴又女子大生放火殺人事件(1996年)を仏教から考える [仏教]

柴又女子大生放火殺人事件(1996年)を仏教から考える

柴又女子大生放火殺人事件(1996年)が、『凶悪事件の間取り』(事故物件調査委員会著、マイウェイ出版)という書籍で振り返られていました。本書は、事件現場の間取りを紹介しながら、凶悪事件を振り返っています。柴又女子大生放火殺人事件は、被害者が殺された上で火をつけられた凄惨な事件です。

『凶悪事件の間取り』は、事故物件調査委員会名義の著書で、マイウェイ出版から上梓。



myway mookというシリーズ名がついています。

記事ではKindle版をご紹介しています。

本書はタイトル通り、各事件の舞台となった部屋の、簡略的な平面図を掲載。

それに続いて事件の内容や経緯を紹介しています。

柴又女子大生放火殺人事件を覚えていますか。


20世紀終盤の1996年に起こった事件ですが、女子大学生が被害者であり、かついまだに犯人が逮捕されていない未解決事件として現在も捜査中です。

「世田谷一家殺害事件」「八王子スーパーナンペイ事件」と並んで、殺人の時効撤廃のきっかけとなった事件です。

警視庁公式サイトでは、「柴又三丁目女子大生殺人 放火事件」と事件名を掲載しています。

警察の公式サイトから、事件の概要を引用します。
平成8年9月9日(月曜日)(被害者の母親が外出した)午後3時50分ころから(119番通報があった)午後4時39分までの間、葛飾区柴又3丁目被害者宅2階において、被害者が刃物で殺害された上、自宅を放火されるという事件が発生しました。 この日の天候は朝から雨が降り続き、肌寒い一日でした。
事件の報告に天候は一見無関係なようですが、何がきっかけで記憶から新事実が出てくるかわからないので、その日の情報をなるべく明らかにしようとしているのだと思います。

当時の出来事(平成8年事件当時)として、出来事とともに、テレビ番組、流行語等、当日の番組表なども掲載されています。

殺人事件の捜査に協力する会による謝礼金は、上限800万円です。


犯行時間に近接した時間帯に、事件現場付近でコートを着た男の目撃情報が2件寄せられているそうです。

では、具体的に事件について振り返ってみましょう。

内容は、本書『凶悪事件の間取り』の要約を中心にまとめます。

犯人と被害者は顔見知りか


本書の構成は、まず「間取り」が掲載されています。

そして、事件の全容がまとめられています。

事件が起こったのは、1996年9月9日夕方。

東京都葛飾区柴又の民家から火災が発生しました。

事件現場は、JR金町駅の南約1,300メートル、京成電鉄金町線柴又駅の北西約250メートル、京成電鉄成田線京成高砂駅の北東約1,000メートルに位置する2階建て一般住宅です。

焼け跡からは、この家に住む上智大学4年生の女性が遺体で発見されました。

遺体は煙を吸っておらず、火が出たときにはすでに殺されていたことがわかりました。

というより、殺人を隠すために火をつけたのだろうと思われます。

つまり、殺人事件です。

遺体は、口と両手を粘着テープ、両足をパンティストッキングで縛られており、首は刃物で刺されていました。

相当に念のいった犯行です。

犯人は男性で、犯行当時何らかのケガを負い出血しています。

犯人の血液型は「A型」です。

被害者の女子大生は、2日後に海外留学を控えていました。

被害者の母親が、事件直前に自転車でパートに出かけていたときを見計らっての犯行であったと思われます。

父親は出張中でしたが、最初は「事故があった」とだけ伝えられ、病院に駆けつけたときになくなったことを知らされたそうです。

遺体には、その父親の布団が被せられていました。

本書によると、それは犯人と被害者が顔見知りの場合に見られる現象だそうです。

知り合いの場合、遺体の顔を隠す傾向があるからだとか。

遺体は2階で発見され、普段は1階に置いてある父親のスリッパが2階に揃えて置いてあったといいます。

犯人が使ったと見られます。

着衣の乱れはなく、盗まれた現金も1階に入っていた1万円のみだったといいます。

犯人は、放火の道具を用意していたわけではなかったようで、1階の仏壇にあったマッチを使用して放火したといいます。

凶器は、刃渡り8センチほどの小型ナイフが使用されたようですが、それは犯人が持参したと見られています。

被害女性の家は裕福ではあっても経済力を誇示するようなことはせず、建物も比較的古く、慎ましい生活を送っていたといいます。

つまり、内情を知っていなければ、わざわざ強盗に入らないと考えられます。

また、犯人は、害者の両足をパンティストッキングで、「からげ結び」で結んでいたといいます。

からげ結びは、土木、造園関係、工事現場などの足場作り、電気工事、和服の着付けなどで使用される特殊な結び方です。

現場近くには金町浄水場などもあり、 作業服で歩いていても違和感はなかったのでしょう。

いずれにしても、間接的な顔見知りによる強盗説に本書は注目しています。

本書の推理では、下町の民家の現場に行くことが多くなってきた土木・造園・電気工事などの職人が、人づてに裕福で留学予定である被害女性のことを聞き及び、ふと足が向いてあっさり家の中に入れたので犯行に及んだのではないか、と見ています。

だとすると、一職人がよくしらない家の人に対して、殺しと火付けという重罪を咄嗟に行ったことになります。

実に怖い世の中です。

なんとか犯人逮捕をしていただきたいものです。

因縁生起はオカルトではなく合理的に考える


物事は、「因」と「縁」で起こる「因縁生起(縁起)」が仏教の基本中の基本です。

哲学で言う「必然」と「偶然」です。

今回のような強盗や通り魔は、「悪縁」です。

悪い偶然、というふうに解釈して良いと思います。

ただ、一方で被害に遭われた方の「原因」も見ます。

この場合がそうであるかどうかはともかくとして、夜遅くに出歩いていた、防犯の配慮が足りていなかった、人気のない道を通ったなどが、個人レベルでの「因」ということになります。

仏教系YouTube動画で、「前世が悪いから……」などと安直に「解説」しているものは、もう見ないほうがいいでしょう。

この事件を教訓として、「因」を変えるとすれば、個人もさることながら、社会として、警察官の増員と、監視カメラの設置(増設)を求めてもいいのではないでしょうか。

日本の警察の人員は、ウィキペディアによると約25万2千人で、人口千人当たりでは2.0人となっています。

これは、OECD諸国の中では最も少ない部類に入ります。

多い国ではトルコやスペインなどがあり、ほぼ5人です。

本来の定員はどうなっているのか

警察庁によると、平成25年6月28日現在で、当該14都道府県において、警察職員の定員は総数29万3762人となり、このうち都道府県警察の定員は28万6041人(うち地方警察官は25万7098人)ですから、人口千人あたりでは2.1人ですから、そもそも定員が少なすぎるのです。

この現実をもって、日本は警察官が少ないにもかかわらず、犯罪率も低く治安の不安度も低い、などと褒めちぎっている人がいますが、

警察官が増えれば、さらに不本意な状態が解消され得る、という前向きな展望は抱けないものでしょうか。

余談ですが、医療費についても同様です。

日本は医療費がパンクするとの大合唱ですが、やはりOECDのデータによると、2018年の日本の対GDP保健医療支出は10.9%で、アメリカ、スイス、ドイツ、フランス、スウェーデンよりも低く、カナダと同じ水準で36か国中6位となっています。

つまりですね、日本の保健医療支出は、国民皆保険で公的財源でカバーされている範囲が広い割に、実は公金(税金)や保険料による負担が低い、ということなんです。

それはともかくとして、仏教の「因」と「縁」という考え方は、「物事には原因がある」「蒔かぬ種は生えぬ」という合理的な考え方ですから、前世のせいにするためではなく、今の自分の行いや生き様、そして「ほしのもと」の影響など、現実を省みるための教えと見るべきです。

つまり、宗教ですが、合理的な話ということです。

そう考えずに、何でも「前世」のせいですませていたら、ただのオカルトに転落してしまうでしょう。

なお、本書の目次から、掲載されている事件もご紹介しておきます。

世田谷一家殺害事件、座間9遺体事件、八王子入スーパー強盜殺人事件、東電OL殺人事件、柴又女子大生放火殺人事件、江東区亀戸漫画家女性殺人事件、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件、坂本一家殺害事件、北九州監禁殺人事件、リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件、三鷹ストーカー殺人事件、光市母子殺害事件、富岡八幡宮殺人事件、名古屋妊婦切り裂き殺人事件、神戸連続児童殺傷事件、江東マンション神隠し殺人事件、尼崎事件、藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件、新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件、女子高生コンクリート詰め殺人事件、ジョンベネ殺人事件、連続殺人ピエロ事件などです。

また機会を見つけて、他の事件もご紹介します。なにかリクエストが有りましたらどうぞ。

凶悪事件の間取り (myway mook) - 事故物件調査委員会
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コメント 7

赤面症

全部w
by 赤面症 (2023-06-11 01:03) 

pn

警察官だけでなく自衛官、役所の人公務員もっと増やしたほうがいい様な気もします。ついでに弊社の社員も(笑)
by pn (2023-06-11 06:09) 

お散歩爺

何とも凄惨な惨い事件でしたね。
女子大生の無念さが見えるようです。
よく調べて犯人を逮捕してほしいものです。
by お散歩爺 (2023-06-11 06:24) 

Take-Zee

おはようございます!
あまりにも悲惨な事件で記憶に残っています!
by Take-Zee (2023-06-11 07:41) 

プー太の父

この事件は記憶に残っていませんでしたが
次々と残虐な事件が起きるものですね。
戦争や殺人事件って根絶は難しそうですね。
by プー太の父 (2023-06-11 13:09) 

コーヒーカップ

いつの世の中も
殺人は有りますね
繰り返し起こるということは
この三次元の宇宙空間では悪という概念は存在しないのではって思ってしまいます。
by コーヒーカップ (2023-06-11 15:54) 

tai-yama

悪いこと(この場合は殺人)をした人に対する、報いや
天罰等は仏教では規定したいのかな?と思ったり。
仏教信心者ではない人に対しての規定も気になる・・・
by tai-yama (2023-06-11 23:03) 

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