お釈迦様「親孝行なんて気にしなくていいんですよ」 [仏教]

親孝行をしなさい、というのは日本で当たり前のようにいわれている道徳ですが、お釈迦様の仏教で親孝行は求められていません。ただ、日本の大乗仏教は、中国の儒教のフィルターを通して伝わり、日本の家制度のイデオロギーに忖度しているので、日本では、さも親孝行が仏教の教えのようなイメージがあるのです。
私たちは、仏教的な道徳や戒律と言うと、どんなことをイメージしますか。
・親孝行しなければならない
・親に逆らうとバチがあたる
・先祖の墓守をシないとバチが当たる
・目上の人の言うことを聞かないとバチが当たる
平成生まれの20~30代の方は、事情が違うかもしれませんが、昭和世代では、親からこういうことを言い聞かせられてきた人も多いのではないでしょうか。
すべては、中国の儒教+日本のイデオロギーの合作です。
お釈迦様の仏教は、そんなことは教えられていない、どころか、むしろ禁じています。
『阿含経』という、初期仏教の中の有名な詩句(お経)の中に、『スッタニパータ』というのがあるのですが、そこではこう書かれています。
●子を欲することなく、仲間を欲することなく、サイの角のようにただ独り歩め。
●妻子も、父母も、財産も、穀物も、 あらゆる欲望もすべて捨てて、サイの角のようにただ独り歩め。
親を含めた家族愛は、執著という煩悩につながるから捨てろと言っているのです。
まあ、国民全員が家族を捨てたら困りますが、現代にあてはめても真理は含まれていると思います。
いい年して、いつまでも親離れしない子とか、いますからね。
親思いのふりして、実は依存しているだけの甘ちゃん。
介護が忙しいという口実で、働きもせず親の年金で食べているとかね。
嫁姑の争いに対しても、向き合ってきちんとした態度が取れないとか。
筋の通らないものは、親だろうが配偶者だろうが認めない、とシンプルに割り切れば、何らかの仲裁はできるはずですが、何も解決できないで結局逃げるだけ。
ゴータマ・シッダールタさん(お釈迦様)は、北インドの王子様で、妻子もいて国を背負う立場だったのです。王様からも、後継ぎだからと大事にされたそうです。
それを捨てて出家したのですから、「親孝行しなさい」だの「家庭を大事にしなさい」だのと言うはずがないのです。
そして、バチなんて当たりません。
伝統的な宗派の公式見解は、きちんと調べたことがないので断定はできませんが、たとえば立正佼成会とか、いわゆる新宗教と分類される宗教団体では、「親孝行」なる教えがありますよね。
そういう教えを、信者が納得しているのならそれ自体をとやかくいうきはありませんが、とにかくお釈迦様の仏教では親孝行なんて教えはありません ということです。
「じゃあ、親孝行は悪いことなのか。親を大切に思っちゃいけないのか」
と、思われますか。
もちろん、親子や家族の無用な対立も、執着の裏返しで「煩悩」になりますから、そんなことは申し上げません。
ただ、親子の関係というのは、親の側ではなく子の側が主導権を握るべきであり、つまりどんな親であるかという評価は、子の内心の自由であるべきだと私は考えます。
親に感謝しないと、まるで人の道を外れるかのような文化は、否定しなければなりません。
そうでないと、毒親とか、虐待する親に対する説明がつかないからです。
家制度の戦前は、親に言及できる時代ではなかったのですから、「毒親」を取りざたせる現代は、社会が進歩した証だと思います。いいことなのです。
ですから、親孝行すべき、などと強制したり道徳化したりするものではないのです。
……と、書くと、必ず出てくる反論があるのです。
「あなたが赤ちゃんのときは、誰がおむつ換えてたんだ?」
それは「因果は巡る」です。だから親に絶対服従せよ、という理屈は成り立ちません。
将来的には、逆にその親が、子からおむつを換えてもらうことになるかもしれないんですよ。
合理的に考えてください。
「産んでくれてありがとう」といえるような親かどうかは。子どもによって様々です。
しかし、その一方で親の側は、例外なく子に対して「生まれてくれてありがとう」というべきです。
子どもは、好き好んでその親から生まれたわけではありませんが、親は好き好んで、自分の意志で子どもを作ったからです。親の方に責任があるのは、当然ではないでしょうか。
「子は親の奴隷」というのが現在の民法
我が国には、未だに家制度の因習を事実上残す目的で、子は親に無条件で従う奴隷であることを示す法律(民法第818条)があります。
第818条 成年に達しない子は,父母の親権に服する。 2 子が養子であるときは,養親の親権に服する。「服する」ですからね。
たとえば、親であることをタテに、子に特定の選択や価値観を強要する毒親は、今の日本では虐待など違法行為が公然としたものでない限り、「合法」になってしまうということです。
こういう法律のもとで、毒親に育てられると、子どもは成人してからも人格を壊されたままで、たとえその親から独立しようが、自分が家庭を持とうが、もうずっと……生涯親の毒の呪縛に苦しめられることになるのです。
そのおかげで、たとえ毒親でも、いえ毒親だからこそ、子は自分が可愛がられなかったのは尽くし足りなかったのではないかと自分を責め、成人しても、自分の人生を犠牲にして自分を追い詰めて介護してしまうのです。
⇒杉田かおる母親介護報道で考える、子はなぜ毒親でも介護するのか
民法818条は、夫婦別姓なんかより、よほど喫緊の改正テーマだと私は思います。
まあいずれにしても、日々を生きづらいと感じている皆さん。
その原因はなんでしょうか。
原因をたどってたどって、行き着く先がもし毒親であったとしたら、その毒を批判して構わないのです。
毒親は「ほしのもと」ですから、あなたの責任ではありません。
別に親孝行シなくても構いませんよ。
「親に逆らう親不幸はいけない」などといって我慢して、その毒の犠牲者であり続けることは、自分も結局その毒を子の代に送ってしまうことになりますから、何が毒かをはっきりさせて、その毒を子の代まで伝えないようにすることこそが、自分のためで、かつ他者(子)のためにもなる、仏教の教えにもかなった「利他の行為(善行)」だと私は思います。

毒親サバイバル (LScomic) - 菊池 真理子

絶対君主の家~2014年北海道南幌町家族殺害事件~(単話版) (ストーリーな女たち) - 藤田素子
日本は、不平等社会だよね
だって、親がピンからキリまでいるし
それなのに憲法で平等とか言ってる矛盾
相続税を100%にして、
収入にかかわらずに、
子供の教育費や養育費の均一にすべきだ
by 赤面症 (2023-05-23 01:19)
私的には、親からかけられ子が感じた愛情に比例しているように思われます。
by よしあき・ギャラリー (2023-05-23 05:16)
いっぷくさん
おはようございます。
ご無沙汰しております^^
久しぶりに、ご訪問頂きありがとうございますm(__)m
by kiyokiyo (2023-05-23 07:19)
訪問&nice!ありがとうございました。
by ミスター仙台 (2023-05-23 17:21)
親や先祖を大事にしないと既成仏教は成り立たないからでしょうね。
by そらへい (2023-05-23 20:32)
怖い法律だなー。
親よか先に死ななけりゃ親孝行してるんです、決して看取る必要も無い。
by pn (2023-05-23 20:42)
赤面症さん
そこまでいくと、共産主義ですから、別の政治課題になっちゃいます(笑)
by いっぷく (2023-05-23 20:54)