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桑田二郎、『月光仮面』『8マン』などを躍動感あるタッチで描く [懐かし映画・ドラマ]

桑田二郎、『月光仮面』『8マン』などを躍動感あるタッチで描く

桑田二郎さん(1935年4月17日~2020年7月2日)の訃報が話題です。亡くなったのは7月2日だそうです。『まぼろし探偵』『月光仮面』『8マン』などが代表作と言われていますが、特撮ドラマの金字塔である『ウルトラセブン』のコミカライズ(ドラマの漫画化)も上梓しています。(画像は以下のOGPより)



桑田二郎とは誰だ



桑田二郎は1948年、大阪府吹田市生まれ。

1957年に『まぼろし探偵』(「少年画報」連載)、1958年、『月光仮面』(「少年倶楽部」連載)がヒットし、若くして売れっ子漫画家になります。

「故川内康範さん原作のドラマ「月光仮面」を漫画化。他の漫画家も作品化する中、躍動感のあるタッチが高く評価されました。」(https://mainichi.jp/articles/20200804/k00/00m/040/240000c)など、各メディアも評価しています。

1963年より『週刊少年マガジン』(講談社)で連載した『8マン』がヒットしましたが、1965年に銃刀法違反で逮捕されたため、連載は打ち切りとなります。

そして、TVアニメ(1963年11月7日か~1964年12月31日、TBS系)も終了しますが、別の事情で再放送が叶いませんでした。

8マン



『8マン』は、原作平井和正と作画桑田次郎(⇒桑田二郎)のコンビで『少年マガジン』に発表されたSF漫画です。

凶悪犯によって1度は殺害された刑事・東八郎が、科学者・谷方位博士によって、その人格と記憶がスーパーロボットとして蘇り、警視庁捜査一課にある7個捜査班のいずれにも属しない八番目の男「8マン」として甦った、という設定です。

「東八郎」という名は、タレントの東八郎とどっちが先だったんだろう、という疑問もありますが、この時期に東八郎は舞台に立っており、そもそも芸名の由来は「東八郎の芸名はフランス座を経営する東洋興業創業者の松倉宇七にちなんだものであった」(Wikiより)とのことなので、偶然の一致なのでしょう。

それはともかくとして、アニメ化されるぐらいですから、『少年マガジン』では看板連載だったわけです。

そこで、アニメ化もされたわけですが、再放送はされていません。

先の桑田二郎の銃刀法違反もありますが、やはり主題歌の克美しげるの問題が大きいのではないでしょうか。

妻子がいながらある女性と愛人関係となり、生活費の稼がせるために特殊浴場に勤務させ、結婚する気もないくせに結婚写真を撮り先方の両親に会い、それでいて再起を期す新曲が決まると、邪魔になったからと殺害して車のトランクに詰め込んでいたところ、空港の駐車場で、トランクから血液が落ちていて足がついたという事件です。

まあ、現在聞いても、ちょっとコメントしようもない身勝手で凄惨な事件です。

ところが、本人は外面がよく、腰が低いと評判で模範囚で10年で出てくると、今度は覚せい剤で逮捕。

これでは、再放送のチャンスなど、いつまでたってもやってきません。

歌と本人の罪は別だという意見もありますが、ロカビリーブームで一世を風靡した克美しげるのネームバリューはそれだけ大きかったのでしょう。

それでも25年後に、ある番組で1度だけ本人が歌ったのを見たことはあります。

萩原哲晶が作曲ですが、たしか巨人の原辰徳はこの音楽を使っていますね。

原作者にとっては、呪われた作品になってしまいました。

ウルトラセブンのコミカライズ



ウルトラセブンは本放送時に、2人のマンガ家によって、講談社漫画誌でコミカライズされました。

コミカライズというのは、テレビドラマを原作とするマンガのことです。

このブログでは、桑田次郎(⇒桑田二郎)版の『ウルトラセブン』は、『少年マガジン』『別冊少年マガジン』で連載され、一峰大二版は『ぼくら』で連載されたことを書きました。

ウルトラセブン、コミカライズとともに原作も思い出す

マンガ図書館Zでは、桑田次郎版の第1巻が無料公開されています。

モロボシダンは、エイトマンの東八郎そっくりです。

第1話の『姿なき挑戦者』は、原作ドラマの第1話と同じタイトルです。

順に『姿なき挑戦者』(1967年秋のおたのしみ特大号)、『湖の秘密』(本誌1967年38号-44号)、『金色の龍』(本誌1967年49号-52号)、『海底基地を追え』(本誌1968年8号-12号)、『北へ還れ!』(本誌1968年13号-17号)なとが収録されています。



自殺できず精神世界にシフトして享年85歳


Wikiによると、「42歳の厄年を境に少年漫画界から身を引き、精神世界の漫画化を始めた。」とあります。

ちょっと精神的に不安定な方のようで、何度も自殺を試みたものの、なかなか死ねない。

そこで、「これは天の声だ」と考えるようになり、精神世界の方にシフトした、というようなことを自著『死の底から這い上がって掴んだ“霊と魂”の書 人間、死んだらどうなる』(文化創作出版)に書いていたと記憶しています。

死にたかった人が結局、男性の平均年齢を超える85歳まで生きたわけですね。

まあ、人生なんてこんなものです。先のことはわかりません。

せっかくなら、独特の躍動感のある漫画は、もう少し書き続けていただきたかったですね。

桑田二郎さんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。




ウルトラセブン1 - 桑田 次郎, 円谷プロダクション
ウルトラセブン1 - 桑田 次郎, 円谷プロダクションマンガで解きあかす観音経 (マンガショップシリーズ 390) - 桑田二郎
マンガで解きあかす観音経 (マンガショップシリーズ 390) - 桑田二郎
チャンピオンRED 2020年9月号 [雑誌] - 石ノ森章太郎, 岡崎つぐお, 平井和正, 桑田二郎, 七月鏡一, 早瀬マサト, 石森プロ, 車田正美, 手代木史織, 島崎譲, みなもと悠, 吉富昭仁, Cuvie, 山口貴由, 手塚治虫, 士貴智志, 吉野弘幸, 佐藤健悦, 綱島志朗, 中山昌亮, 深見真, 刻夜セイゴ, かわのゆうすけ, 木々津克久, 守月史貴, 古賀新一, 山田J太, フクイタクミ, 井上行広, 落合亮太, 松本零士
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8マン(1) - 平井和正, 桑田次郎
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8マン〔完全版〕(1) (マンガショップシリーズ) (マンガショップシリーズ 435)

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  • 出版社/メーカー: マンガショップ発行/パンローリング発売
  • 発売日: 2011/10/20
  • メディア: コミック


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コメント 19

かずおみくん

エイトマンといえば思い出すのは、原作者か、原作者が監修していた何かの雑誌に、「喫煙」が取り締まられる世界でエイトマンが強化剤(タバコ型)を咥え・冷却(原子炉内蔵)しようとすると監視ロボットにおいかけまわされるという描写。
まさに、今やそんな時代だな...。

by かずおみくん (2020-08-04 23:49) 

扶侶夢

精神世界にシフトした後の桑田二郎さんが描いた「ムサシ」は五輪の書をコミカライズしたものですが出色の出来です。
初期の桑田次郎さんの作品はすべてリアルタイムで読んでいた世代なので、大御所としての存在は原作家の梶原一騎さんと同格の人でした。
by 扶侶夢 (2020-08-04 23:49) 

こんちゃん

「月光仮面」「8マン」などのアニメは見ていたのに作者のことは全く知らなかったです。
作者を意識するようになったのは中学生になってから、小学生の頃に見ていたものの作者は全然知らないかも。
by こんちゃん (2020-08-05 04:01) 

shiho

月光仮面や、ウルトラセブンは、よく観ていました。
by shiho (2020-08-05 04:29) 

kinkin

8マンが放映されていた時は夢中になって視ていましたね。
by kinkin (2020-08-05 05:28) 

風太郎

僕が極々まれにカラオケで歌うのは「月光仮面」。
知らない人が殆どで、
音痴なので音を外しても分かりません。
風呂敷を肩にかけて、おもちゃのサングラスで
月光仮面の真似をしたのが、懐かしいすね。
by 風太郎 (2020-08-05 05:31) 

我流麺童

♬ど~この誰かは知らないけれど、誰もがみ~んな知っている・・・と歌いだしの月光仮面や、♬光る海、光る大空、ひ~かる大地・・・と8マンの主題歌がいまだに頭に残っています。ガキの頃の懐かしい思い出です。
by 我流麺童 (2020-08-05 06:27) 

ヤマカゼ

8マン、懐かしいですね。今でも車のナンバーが8とか88とか8888とかみかけますね。
早さの象徴ですね。
by ヤマカゼ (2020-08-05 06:41) 

Rinko

「8マン」の作品名は聞いた事ありますが、実際読んでいないです。
それよりも、途中書かれていた克美しげる事件が衝撃で・・・
by Rinko (2020-08-05 08:07) 

pn

エイトマンは東八郎と言う名前ばかりが気になって(笑)。
アニメの月光仮面のキャラはこの人の画が原型なのかな?それよかまさか009と共演していたとは露知らず(^_^;)
by pn (2020-08-05 08:56) 

やおかずみ

ご訪問、コメントありがとうございました。
by やおかずみ (2020-08-05 09:42) 

みうさぎ

克美しげる事件は凄い内容でしたねっ
8マンは八ミリで部屋を暗くして
室内で父が見せてくれたのを
思い出します。白黒でしたが
サイボーグ009は歌歌えます
(*^^)v

by みうさぎ (2020-08-05 11:03) 

念仏親父

「月光仮面」「エイトマン」は、少し先輩方がご覧になっていた作品ですので、リアルタイムでは私は知りません。

再放送か、懐かしのアニメ的な番組で、観た記憶のみですね。

ウルトラセブンは、コミックは知りませんでした。実写番組は、もろ世代です。ウルトラシリーズでは、一番の作品だと思っています。私の部屋には、プラモデルの作品が飾ってあります。
by 念仏親父 (2020-08-05 11:28) 

十円木馬

幼児期の頃、母がナプキンに、「エイトマン」や「スーパージェッター」の刺繍をしてくれたことを微かに覚えています。平井和正の作品は「ウルフガイ・シリーズ」を全作読んでいますが、「エイトマン」の原作者であることは知りませんでした。
by 十円木馬 (2020-08-05 14:30) 

kou

桑田二郎さん、亡くなったんですね。エイトマンは子供の頃から大好きで、復刻版アニメもレンタルショップから借りて観てました。主題歌はたまに口ずさんでます(^^;)
by kou (2020-08-05 17:03) 

溺愛猫的女人

エイトマンのアニメがとても好きでした。ご冥福をお祈り申し上げます。
by 溺愛猫的女人 (2020-08-05 18:52) 

ヨッシーパパ

エイトマンが懐かしいです。
by ヨッシーパパ (2020-08-05 18:56) 

モリユウ

桑田次郎さんの作品は、そのスタイリッシュな絵柄が魅力でした。丸まっちい絵柄が主流だった時代に現れたクールなタッチにたくさんの子ども達が魅了されたものです。
by モリユウ (2020-08-05 19:43) 

そらへい

桑田二郎さん、子供の頃大ファンでしたね。
私が漫画を読み始めた頃、「月光仮面」はもう他の人が描いていました。私は「まぼろし探偵」から入りました。
この作品の初期と後半では絵のタッチが変わっていて
成長、確率されたのだと思います。
銃刀法違反も克美しげるの事件もショックでしたね。
後半は、宗教世界のような絵を描かれて
もう「まぼろし探偵」からは遠く離れているのに
絵のタッチそのものは紛れもなく桑田二郎で、
それが悲しかったような記憶があります。
by そらへい (2020-08-05 20:44) 

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