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淡路恵子、着物姿の女将さん役も美しさが際立ったドラクエ愛好家 [懐かし映画・ドラマ]

淡路恵子、着物姿の女将さん役も美しさが際立ったドラクエ愛好家

今日は淡路恵子さん(1933年7月17日~2014年1月11日)の生まれた日です。今年で7回忌だったんですね。女優として「戦後の映画史で非常に重要な役割を担った人」(山田洋次監督)ですが、私生活では離婚や、お子さんの事件・自殺など不幸も経験しています。



淡路恵子とは誰だ


淡路恵子は海軍軍人の娘として東京品川区に生まれました。

名門府立第八高等女学校(現東京都立八潮高等学校)に入りましたが、SKD(松竹歌劇団)に合格したので卒業間近に退学。


以後は松竹⇒東宝の映画やテレビで活躍。

森繁久彌の社長シリーズ、クレージーキャッツ主演のクレージー映画、喜劇駅前シリーズなど、東宝の屋台骨を支えたドル箱シリーズに、主にマダム役で出演。

たいていは足を組んでタバコを吸い、森繁久彌や植木等を誘惑する役でした。


いずれも、シリーズに不可欠な役でしたが、ビンボー・ダナオとの離婚(事実婚)の1年後、萬屋錦之介と再婚してからは、レギュラーの仕事はすべて降りて一時休業。

以下に書いたように、その20年後に『男はつらいよ 知床慕情』(1987年、松竹)で復帰します。

晩年は、芸能界屈指のドラゴンクエスト好きとして知られ、レギュラー出演していた『アウト×デラックス』に初めて出演した際には、「ドラクエは裏切らない」という名言を残しています。

ということで、喫煙姿の淡路恵子はおなじみなので、喫煙していない淡路恵子の作品を今回はご紹介します。

父子草



父子草』(1967年、東宝・宝塚映画)は、木下恵介脚本、丸山誠治監督のコンビで、音楽は木下忠司による、阪急石橋駅前新御堂筋陸橋下の屋台(おでん屋)を舞台にした物語です。

屋台に、ふらりとやってきた労働者が渥美清。

おかみさんが淡路恵子。

受験に失敗して、守衛のアルバイトをしながらその屋台に、ご飯持ち込みでおでんダネを2つだけ注文して食事をしていくのが石立鉄男です。

父子草.jpg

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社長シリーズのマダムや、クレージーキャッツの映画に出てくる淡路恵子は、派手な服で足を組んでタバコを吸っている姿は絵になりましたが、子供の頃の印象としては、どちらかというとケバケバしいおばさんというイメージでした。

が、この『父子草』のおかみさんは、着物姿も決まっていて、正直、きれいな女将さんだな、と思いました。

それはともかくとして、酔った勢いで絡んだことがきっかけで、石立鉄男に関心を抱く渥美清。

石立鉄男が、働きながら浪人生活を送っているのを知って、経済的な援助をします。

アカの他人に、なぜそんなことをするのか。

第二次大戦が終わり、渥美清がシベリヤの捕虜生活を終え帰国したものの、父親(浜村純)しか迎えに来ませんでした。

渥美清がすでに戦死したと思った妻は、その弟と再婚してしまい、渥美清は“生きた英霊”になっていたのです。

一昨日の『戦争と平和』に続いて、また英霊ネタです。

この頃は、そういうことが多かったんでしょうね。

渥美清は、妻と弟の生活を考え身をひきましたが、残してきた息子のことだけは心残りで、石立鉄男を自分の息子に見立てているのです。


そして、石立鉄男は見事に合格。

ラストシーンで、すでに飯場を変わってしばらくぶりに屋台に寄った渥美清に報告し、2人で肩を抱き合い喜び合っている姿は胸迫るものがありました。

男はつらいよ 知床慕情



48作の男はつらいよシリーズの中でも、明るく楽しい作風として屈指の名作だったのは、『男はつらいよ 知床慕情』です。

本シリーズは、他社で実績を作った、新珠三千代、若尾文子、森繁久彌、池内淳子、京マチ子、宇野重吉、岡田嘉子など大物が次々登場しましたが、三船敏郎がやはりいちばんインパクトありました。

セカイのミフネが、松竹の国民的映画にやってきて「三船敏郎」を演じたのはそれ自体、感動的でありました。


渥美清のマドンナは竹下景子で、三船敏郎と淡路恵子が「老いらくの恋」という設定なのですが、三船敏郎が無骨に告白するシーンは、笑いながらもなんか泣けてくるいいシーンでした。

余談ですが、淡路恵子は、渥美清の作品(父子草)で表舞台から一時退き、また渥美清作品復帰したことになります。



真人間になれなかった息子を見届けなかった


淡路恵子さんが亡くなった時、訃報では「女優としては様々な作品にでて実績を積み上げてきたが、人生は波乱万丈」という書き方をされていました。

それは離婚や再婚とともに、自ら警察に突き出した四男が自殺したことなどをさしているのだと思います。

息子が悪事をはたらいたら親はどうすべきか

萬屋錦之介さんとの間に出来た四男の萬屋吉之亮さんは、淡路恵子さんの後援者や淡路恵子さんの自宅で窃盗をはたらくなど素行不良。

親のものを子どもが盗んでも、親族相盗例(家庭内の窃盗事件は家庭で解決してもらう)の原則から処分保留になるのが普通ですが、淡路恵子さんは厳罰を求めて告訴したため、四男は実刑判決を受けました。

“たんなる”窃盗なのに実刑になるほどクセが悪かったのでしょう。

淡路恵子さんは、仕事もなく荒れた息子について自分の存在が甘えの原因と気づき、その前年には弁護士立ち会いで親子の縁を切る念書も書かせていたそうです。

しかし、結局四男は2010年に自殺。「真人間になるまで息子とは会わない」と言っていた淡路恵子さんは、四男の葬儀にも出ていないそうです。

成人する前だったら、別の方法もあったかもしれませんが、成人してしまうと、教育のし直しとか、管理するといったやり方は通用しないので、むずかしいところです。

萬屋錦之介さんが甲にしきさんと不倫関係になったときは、萬屋錦之介に対して憎しみはなくても、けじめをつけることを求めて結局離婚しました。

80歳まで現役なら大御所ですが、ドラクエ評論家にはなっても、決して仲間を批評するご意見番の仕事は受けませんでした。

自分にも厳しい、筋の通った方だったのかもしれません。




【映画チラシ】男はつらいよ知床旅情/塀の中の懲りない面々
【映画チラシ】男はつらいよ知床旅情/塀の中の懲りない面々

死ぬ前に言っとこ

死ぬ前に言っとこ

  • 作者: 淡路 恵子
  • 出版社/メーカー: 廣済堂出版
  • 発売日: 2014/02/14
  • メディア: 単行本



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コメント 9

ヤマカゼ

大スターと呼ばれる美空さんも、三田さんも息子さんでは悩まれてますね。
by ヤマカゼ (2020-07-17 23:27) 

pn

最後の1行は今の雛段コメンテーターに言いたいっすね。
by pn (2020-07-18 06:22) 

十円木馬

「自分が加害者の親だったら」というのは、何か事件が起きると考えることはあります。様々な背景あるので、一括りで
何が正解とは言えないのがもどかしいです。息子さんに対する淡路さんの取った行動に近い考え方ですが、実際当事者になったらどうするかは、正直難しい所ですね。
by 十円木馬 (2020-07-18 15:12) 

犬眉母

子の振る舞いは、親の養育の結果だと思います。
ただ、成人すれば事情の如何に関わらず、行為の責任は本人自身が負います。
難しい問題ですが、淡路恵子さんが間違いとは言えないと思います。
というか、そこまで来ると、完璧な正解はないかもしれません。
by 犬眉母 (2020-07-18 17:12) 

ヨッシーパパ

私が幼少の頃には、女優界の大御所でした。
あまり、作品に触れることは無かったですね。
by ヨッシーパパ (2020-07-18 18:56) 

skeptics

三船敏郎さん、いい味出しましたね。
考えさせられます。
by skeptics (2020-07-18 19:24) 

トータン

寅さんシリーズの中でも この「知床慕情」は好きな方でVHS買ったのですが今は何処?
嘗ての「アラスカ魂」のようなエンディング 最高!
by トータン (2020-07-18 22:07) 

mau

ドラクエについての名言はありすぎです。
つい、うなづいてしまうことばかり
by mau (2020-07-18 23:00) 

そらへい

「父子草」見たような見てないような、記憶曖昧です。
「友情」とこんがらがっているのかも。
見ていたとしても、もう一度見直したいですね。
by そらへい (2020-07-20 21:17) 

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