石原プロモーション、解散に向けて準備が進められているとの報道 [懐かし映画・ドラマ]

石原プロモーションが、59年目にして幕を閉じると報じられ話題になっています。数年前に役員たちは退任し、関連会社は清算されているそうです。私の世代ですと、石原プロモーションは映画やテレビドラマの制作会社として馴染みの深い作品をたくさんリリースしています。(上の画像は以下のOGPより)
石原プロモーションとは何だ
石原プロモーション(石原プロ)は、日活の看板俳優だった石原裕次郎が、自分の作りたい映画を実現するために、1962年に作った映画製作会社です。
現在は、石原裕次郎夫人の石原まき子(北原三枝)さんが代表取締役会長をつとめています。
石原軍団とか、炊き出し、といったイメージがありますが、本来は制作会社なのです。
いくつかの作品を振り返ってみたいと思います。
黒部の太陽
映画 #黒部の太陽 視聴
— グルミット (@GenyRedWell) July 9, 2020
ダム建設のためにトンネルを掘る男たち。
不可能としか思えない状況に立ち向かった勇気と努力は現実だからこその説得力。
ゴジラの鳴き声のような鉄骨の軋む音に容赦なく噴き出す水と、現場の緊張感が凄まじい。
理想と現実の狭間で苦悩する #石原裕次郎 の姿が目に焼き付いた。 pic.twitter.com/duG9ifWhLV
『黒部の太陽』(1968年、三船プロ、石原プロ、日活)は、「劇場で観てほしい」という本人の意向があって、ビデオ化もDVD化もテレビ放送も長く行われなかったといわれています。
それが、6年前に石原裕次郎の主演作品5本をセットにした27回忌メモリアル『夢の箱ードリームボックス』が発売され、その中に本作が入りました。
ストーリーは、関西電力が黒部川に『黒部第四発電所』を建設することを決定。
技師とトンネル野郎たちが、命を懸けてトンネルを掘るという話です。
技師役には三船敏郎、土建屋の長男を石原裕次郎が演じています。
石原裕次郎の作品は、とにかくロマンとか情念をシンプルに、そして何の遠慮もなくダイナミックに力いっぱい表現することに尽きます。
冬物語
【TVガイド/あの時あの表紙あの番組(534)】
— しがない三四郎 (@shinya_bokudake) January 12, 2018
[73.01.26]原田芳雄/浅丘ルリ子
ドラマ『冬物語』〔NTV〕で共演
若く美しい未亡人と、暗い宿命を背負った元レーサーの
激しくも悲しい愛の物語を、ロマンの香り豊かに描いた@retoro_mode pic.twitter.com/z4MyD5mCvG
自前で機械を所有する制作会社である石原プロは、テレビドラマも手掛けています。
日本テレビのスタジオドラマである『冬物語』(1972年11月13日~1973年4月16日、NTV)もそのひとつです。
夫に先立たれた女性(浅丘ルリ子)と、暗い宿命を背負った元レーサーの男性(原田芳雄)との恋愛物語です。
この頃、週刊誌では、さかんに石坂浩二との危機を書き立てていました。
その原因がこのドラマであるかのように書いたことで、宣伝になって視聴率に貢献したようです。
つまり、原田芳雄と、あまりにもリアリティのある恋愛関係に見える、というような内容でした。
石原プロは、今でこそ「男の軍団」でずか、以前は、浅丘ルリ子や黛ジュンなどが所属していました。
ただ、本作は『大都会』や『西部警察』とは違い、製作著作権は日本テレビにあり、石原プロモーションは、簡単に言うと「下請け」、今風に言うとOEMとしての作品提供でした。
大都会
『大都会 闘いの日々』というドラマがすごく好きだった(特に超豪華なキャスティング)んですが、警察記者クラブの記者たちは麻雀ばっかりしていて、新聞記者の仕事というのはそういうものなんだと思っていました… pic.twitter.com/vjoHM63KDD
— タキタカンセイ (@kanseiTK) May 22, 2020
『大都会 闘いの日々』(1976年1月6日~8月3日、NTV)は、全部で3度作られた『大都会』シリーズの第1作で、「石原プロTV第一回作品」と銘打って製作されました。
渡哲也がこの頃、肋膜を患って2度に渡って長期療養にあったのですが、その復帰作で、石原裕次郎との2枚看板の作品になりました。
東洋新聞記者の滝川(石原裕次郎)は、仲間から博打好きの“バクさん”と呼ばれることを喜ぶグータラキャップ。

『大都会 闘いの日々』より
いつも他社の記者クラブ詰めの人と誘い合い、石原裕次郎と寺尾聡(東洋新聞)、宍戸錠(毎朝新聞)、柳生博(タイムス社)で雀卓を囲みます。
一本気な新人記者の神田正輝にその理由を問われると、「人を傷つける記事を書かないようにするため」というものでした。
ちなみに、これが神田正輝の石原プロデビュー作でもあります。
黒岩刑事(渡哲也)は地方署の暴力犯係だったとき、妹(仁科明子、現仁科亜季子)が暴力団に報復の強姦事件にあい、他県勤務で冷却期間を置いた後、深町課長(佐藤慶)の要請で警視庁捜査第四課(暴力団事件担当)に勤務します。
そこから城西警察署暴力犯係に派遣され、古くからの知り合いだった石原裕次郎と再会。以来石原裕次郎記者は、渡哲也刑事を気にかけ陰ながら見守ります。
脚本は倉本聰。暴力団との戦いという、かなりリアルなテーマではあるものの、それゆえ地味な作風となり、あまりそれは評価が上がりませんでした。
そこで、刑事ドラマはもっと単純な勧善懲悪にすべきということで、第2、第3シリーズは、徹底的な悪を懲らしめる展開となり、ビジュアルを派手にしようと、麻雀シーンにかわって派手な銃撃戦のシーンが入ることになります。
そしてパート3まで作ると、放送局を日本テレビからテレビ朝日に移して、『西部警察』としてその派手なアクション銃撃ドラマは完成するのです。
西部警察
広島市電が爆破されるシーンが最大のクライマックスの『西部警察』「広島市街パニック!!」は、何度観ても面白い。 #チンチン電車の日 pic.twitter.com/odAy0ZQrEx
— びっぐぴゅあ@知られざるシネマ (@bigpure2010) August 22, 2018
『西部警察』(1979年10月14日~1984年10月22日、石原プロ/テレビ朝日系)というタイトルで想像つきますが、「西部劇のようなイメージの刑事ドラマ」というコンセプトですから、とにかく刑事は毎回アクションシーンやカースタントはもちろん、銃撃戦、車同士の激突、爆破、炎上と、連続ドラマとしては空前絶後のド派手な展開でした。
やはり圧巻は、本物の広島市電を爆破させたことでしょう。
『新幹線大爆破』のように、もうちょっとで大惨事か、というところで事件が解決するのかと思いきや、本当にドッカーンとやってしまったのでびっくり。
たしかに、それまでにも車を何台も壊して燃やしていましたが、まさか実在する公共交通機関の車両まで爆破させるとまではさすがに思いませんでした。
弟
何で俺がこんなものを、こんな所で見させられて、泣かなきゃいけないのか
— ニッカンエンタメ・プレミアム (@nikkan_entame) December 26, 2018
https://t.co/UNeVP9uEeT#石原慎太郎 #石原裕次郎 #弟 #テレビ朝日 #渡哲也
『弟』(2004年11月17日~21日の5夜連続、テレビ朝日)は、やはり石原慎太郎原作の、石原裕次郎の生涯を描いたノンフィクション小説をテレビドラマ化したものです。
子供のいない裕次郎(三浦友和)が、病気の見舞いに来た慎太郎の次男の良純(木村昇)に「うちの子になれ」といったのですが、あっさり断られて寂しそうにしているシーンが印象的でした。
三浦友和の演技が、石原裕次郎の特徴をよくつかんでいて泣かせるのです。
三浦友和がデビューした頃は、失礼ながら大根というより木偶の坊といった感じの役者でしたが、ああ、こんなに巧くなったんだ、さすが紫綬褒章を受章するまでになっただけのことはあるな、と感心してしまいました。
やはり石原裕次郎プロモーションだった
石原プロの制作によるドラマはまだまだたくさんあります。
たとえば、浅丘ルリ子主演の『愛の化石』や
『愛の化石』
— ヌーン・ムーン (@noonmoonpoem) June 28, 2020
時のスターとなったデザイナーを取材するうち、彼女の素顔気になり始める報道写真家。愛も生き方もぼんやりとした描き方に終始してはいるものの、いかし過ぎるファッション・建築・車・浅丘ルリ子の美貌堪能できる貴重な昭和遺産。渚まゆみも素敵。同名ヒット曲の映画化だそう。岡本愛彦 pic.twitter.com/63sIcg2yb2
渡哲也主演の『浮浪雲』などもそうです。
その他、舘ひろし主演でもかなりの本数を作っています。
ただ、やはり役者としては、石原裕次郎がいちばんでしょう。
「どこがいいんだ?」という人もいます。
もちろん、脚が長くて昔はスマートで、ということもありますが、やはり真骨頂は、若い頃からその佇まいに、どこか短命(享年52歳)であることを暗示するような、寂しそうな「影」を垣間見ることがあるのです。
こればっかりは、劇団や演劇学校に所属したからといって、身につくものではありません。
その人の生き様や「ほしのもと」など、演技力を超えたリアルな人生観の反映であると思います。
「命って奴ぁ何にも代え難く、そしてこう、重い。大切なものだ」
遺作『太陽にほえろ!』最終回のセリフが、今も思い出されます。
陰翳に富む人物像こそが、スターであることの条件といっていいかもしれません。

黒部の太陽 - 三船敏郎, 石原裕次郎, 樫山文枝, 高峰三枝子, 宇野重吉, 芦田伸介, 加藤武, 二谷英明, 岡田英次, 大滝秀治, 熊井啓, 熊井啓, 井手雅人, 三船敏郎, 石原裕次郎
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確かに、西武警察では日本でこんなに銃を乱射していいのかと思える場面も多々ありましたね。
by ヤマカゼ (2020-07-16 23:46)
>本物の広島市電を爆破させたことでしょう。
処分予定だったか何かの車両だとは思うのですが、それにしても広島市電がよく許可を出したなぁと思いました。
by ナベちはる (2020-07-17 00:42)
西部警察と言えば、本当かどうか定かでは無いですが首都高を封鎖して撮影したとか大爆破とかとにかく派手でした。
by こんちゃん (2020-07-17 04:03)
いっぷくさん
お早うございます。
石原プロモーションさんは、渡さんが中心となって様々な地域で社会貢献をされていましたね。
もう、その様な活動も見れなくなるのでしょうね。
ちょっと寂しさを感じています。
by kiyokiyo (2020-07-17 04:30)
最近「日暮れ坂」をYouTubeで毎日聞いてます、心に沁み渡ります。
by pn (2020-07-17 06:16)
石原プロのお話し…、ネットでみました。
ちょっと寂しいなぁ~って思いました。
by shiho (2020-07-17 06:23)
ニュースで石原プロが幕を閉じるということを知りました。
裕次郎さんが活躍していた昭和時代が一段と遠くなってしまったということですね。そう言う自分も歳をとりました。
by 我流麺童 (2020-07-17 06:30)
大都会と西部警察の区別がキチンと出来てません。
ただ、車の爆発と犯人の眉間に銃弾が命中して終わりだったのは憶えていますが(^^;
by なかちゃん (2020-07-17 08:30)
石原軍団解散のニュースに時代の流れを感じました。
by Rinko (2020-07-17 09:22)
石原裕次郎亡き後、渡哲也が、頑張ってきましたが、年齢やご病気でなかなか出演出来ないのが、とても大きい事なんでしょう。
神田正輝や館ひろしでは、ちょっと荷が重すぎるのかな?
後に続く役者も育っていないし。
この男臭い集団は、今の時代には合っていないのかな。
by 念仏親父 (2020-07-17 12:24)
2013年に、名古屋シネマテークというミニシアターで、『黒部の太陽』の完全ノーカット版を観ました。スケールが大きくて感動しました。石原プロモーションと三船プロダクションが共同制作なんて夢のような映画だと思います。
by 十円木馬 (2020-07-17 14:00)
裕次郎さんの遺言という事なので奥様も決断されたのでしょうね。残念です。
西部警察はハチャメチャな番組でしたが、大好きでした。日産車が好きなのはこの番組の影響です。
by kou (2020-07-17 19:10)
当時の役者も、亡くなったり、高齢化しましたから仕方が無いですね。
by ヨッシーパパ (2020-07-17 19:14)
ひとつの時代が終わった感じがしますね。
by 犬眉母 (2020-07-17 20:39)
西部警察をいちばん見てましたね。
帰京後だったので、東京や新宿の街並みが
写るのが懐かしくて。
by そらへい (2020-07-17 20:46)
石原軍団はジャニーズのようにずっと続くんだと思ってました。
by mau (2020-07-17 22:25)
私は何と言っても「太陽にほえろ」です。最終回は見たはずですが、裕次郎のセリフは覚えていませんでした(^^;
三浦友和や神田正輝は私の好きな役者なので石原プロが解散するのはやっぱり寂しいです。
by エンジェル (2020-07-18 13:16)
時代の流れを感じますね。
新人が育ってこなかったこともあるのでしょうけれど
まき子夫人もご高齢になられて
幕引きを考えられたのでしょうね。
寂しいです。
by ようこくん (2020-07-19 17:00)
石原軍団はロケ地などでの振舞いでも評判が良いものです。
憧れの俳優揃いです。石原裕次郎記念館で裕次郎と記念撮影したのは良い思い出です。
by もぐらのもぐ (2020-07-20 18:23)