今日は佐々木剛さん(1947年5月7日~)の誕生日です。おめでとうございます。『柔道一直線』『お荷物小荷物』『繭子ひとり』『仮面ライダー』『いちばん星』など1970年代の人気ドラマに善悪問わず様々な役柄で活躍。火災による度重なる移植手術を受けて約30年かけて表舞台に復帰しました。
佐々木剛さんについては、以前も記事にしました。
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佐々木剛(仮面ライダー2号)は火災からの復帰に30年かかった…
が、今年もすでに、多くの祝辞ツイートが入っていますし、
この間、新しい方も増えたので、改めて佐々木剛さんについて書きます。
佐々木剛と仮面ライダー
佐々木剛は、劇団NLT俳優教室、劇団俳優小劇場付属養成所、新国劇研究生などを経験。
NLT時代の同期には藤岡弘、新国劇時代の同期は石橋正次がいます。
その後、冒頭にも書いたとおり、『柔道一直線』『お荷物小荷物』『繭子ひとり』『仮面ライダー』『君たちは魚だ』『いちばん星』など、人気テレビドラマで次々重要な役どころを演じます。
とくに『仮面ライダー』は、一文字隼人を演じた代表作とも言われますが、藤岡弘がバイクの事故による大腿骨骨折のピンチヒッターでした。
当初は、劇団NLTの同期である藤岡弘の初主演作品を、ケガに乗じて奪うことは出来ないから、あくまでも藤岡弘がケガで休んでいる1クールだけ、という約束で引き受けたといいます。
佐々木剛は、仮面ライダー必携のバイクの免許を持っていなかった。
しかも、当時売れっ子だったため、タイトなスケジュールによるストレスから円形脱毛症になり、かつらを被るようになった。
そこで、バイクでの変身ではなく変身ポーズを取り(後にバイク免許取得)、かつらが落ちないようにヘルメットをかぶる一文字隼人ライダーが誕生してドラマの人気も急上昇したそうです。
その後、藤岡弘、が完全復帰するまで、結局9ヶ月、39話の『仮面ライダー』を撮影し、復帰とともに潔く降板します。
ただ、ダブルライダーの回や、他の仮面ライダーシリーズの客演、ゲスト出演などを依頼されると断らずに出演したそうです。
火災で全身に大やけど借金1000万円
順調だった俳優生活で、プライベートでも妻との間に3人の子供をもうけ、人生は幸せの絶頂でした。
ところが、1982年、佐々木剛は妻と酒を飲み、泥酔したままアパートで就寝。
部屋の石油ストーブの火がタオルに引火したため瞬く間に炎が広がり、アパートは半焼、隣の家は全焼しました。
佐々木剛は全身に大やけど(70%)を負い、九死に一生で生還は出来たものの、火傷の痕で俳優生活は諦めざるを得ず、入院と皮膚移植手術を繰り返し、借金の額は1000万円。
火災保険と保険金のシビアな関係
私も火災の経験があるので、正直なところ、その借金の内訳に興味がありました。
Wikiによると、「入院費は俳優仲間で友人の林隆三や渡辺篤史らが工面してくれたが、自身には貯蓄がなかったため、手術費、火元が自宅アパートゆえの修理費、妻や3人の子供たちの生活費といった各種費用」といいます。
佐々木剛さんの火災は、火災保険から保険金が出なかったのですね。
火災保険には、借家人賠責という火災による修繕に使える特約がありますが、重過失と言って、警察の現場検証や保険会社が派遣する調査人に明らかな自分の過失と認められると、保険金は出ないのです。
たとえば、料理中の天ぷら油の引火などは、重過失と見られてしまいます。
火災保険さえ入っていれば火事でも大丈夫、ということではないのです。
タオルに引火は、ネットでも重過失の典型として紹介されていますね。
それと、佐々木さんの場合、隣家の全焼というのも気になります。
住んでいた方は無事だったのでしょうか。
火災は、たとえ隣家を燃やしても法的な責任は負いません。
ただ、現実問題として知らんぷりはできません。
私の場合は、裏のお宅が若干屋根と外壁を焦がしただけで、幸い人的被害は全くありませんでしたが、もちろん、ナボナもって向こう3軒両隣は1軒1軒平謝りです。
これで死者でも出していたら、生涯そのことを抱えて生きていくことになっていたでしょうね。
石橋正次が復帰への橋渡し
結局、佐々木剛さんは費用を工面すべく、警備員、ちり紙交換、竿竹売り、石焼き芋屋などを掛け持ちし、1日16時間も働く毎日だったそうです。
自暴自棄で酒に溺れ、家庭も崩壊。
かつての仮面ライダー2号は、車の中で寝泊りするホームレスに転落してしまったのです。
しかし、その後、新国劇の同期であった石橋正次が、俳優としてカムバックすることを勧め、舞台のチャンスを作ってくれました。
それで少し自信を取り戻した佐々木剛は、日光江戸村の住み込み役者に。
生計を建て直し、借金を返済する頃には、別れ別れになっていた息子との再会も経験。
これは、テレビ番組で放送されてカメラが回っていましたが、本当にびっくりしていたようでしたね。
徐々に経済的にも精神的にも元気を取り戻した佐々木剛は、元仮面ライダーとして2005年に表舞台に復帰。
火災の33年後でした。
仲間思いの人徳がカムバックを支えたか
佐々木剛さんは、現在「バッタもん」という居酒屋を開業しています。
火災からのカムバックという大きなエピソードがあるだけでなく、その人柄が多くの人に愛されているのだと思います。
自分の功績が大きかった仮面ライダー。人によっては、そのまま主役に居座るかもしれません。
しかし、佐々木剛さんは、怪我で負傷した藤岡弘さんのことを考えて降板。
俳優仲間から手術費を工面したもらったり、カムバックの橋渡しをしてもらったりしたのは、そうした人徳によるものなのでしょう。
70歳も過ぎて、お店もあるでしょうが、これからも1回につきワンシーン程度の出番で、何かキャスティングされるドラマを拝見したいと思います。
それと、火災の経験者から一言すれば、佐々木剛さんに限らず、火災というのは罹災者にとって大変な窮地なので、近所の人、職場の人など身近な人が火災を経験したら、どんなことでも手を差し伸べていただきたいですね。
仮面ライダー VOL.1 [DVD] - 特撮(映像), 藤岡弘, 佐々木剛, 小林昭二, 千葉治郎, 石ノ森章太郎, 特撮(映像)
変身ポーズにそんな理由が(@_@)
by pn (2020-05-07 11:45)
立ち直ってカンバックした事は凄いと思いますね。勿論自分一人の力ではないけれど、根本にあるのは自分自身の意志(という表現が適切かどうかわからないが)とその人間性が呼び起こすものですから…やはり立派です。
それにしても火事は恐ろしい。私の父も隣の出火に濡れ衣を被せられて、風評被害で苦労したらしいです(私は幼すぎて記憶はないのですが)自分の家の事より隣近所の避難の世話をしたらしいですからね。
by 扶侶夢 (2020-05-07 11:59)
当時の仮面ライダーが未だに好きなので佐々木剛さんはよく知っている男優さんでした。
でも、その後の火災などはテレビの特番で知りましたが、ご苦労されたんですね。
火災保険、そうだったんですね。詳しく知りませんでした。
by kou (2020-05-07 12:30)
佐々木剛、懐かしい顔です。大変な人生を歩まれていたのですね・・・火事は道路を挟んだお迎えさんが全焼した事があり消防車が沢山来て恐ろしい思いをした事があります。大きいお宅でしたが全焼してしまいました。漏電だったので保険がおりたのかすぐにまた豪邸を建てていらっしゃいましたが・・・
by エンジェル (2020-05-07 14:07)
仮面ライダーに出演していたことしか知りませんでした。
by ヨッシーパパ (2020-05-07 18:34)
1000万の借金から出直し。希望を胸に抱いたかたでないとなかなかできないと思います。周りにもいい方々がいたおかげですね。
by ヤマカゼ (2020-05-07 19:45)
佐々木剛さん、そのような苦労をされていたとは
知りませんでした。
by そらへい (2020-05-07 20:21)
以前に私の古いネットブックPCを小細工していた記事に「ChromiunOSの練習というか実験的にインストールするにはちょうどいいと思います。CloudReadyは無料とは思えない出来だと思います」とアドバイスを頂きました。本日、無事にChrom Book化することができました。有難うございました。
by 我流麺童 (2020-05-07 20:31)
火事は怖いですね。
友人の家が火事になった時は、殆ど燃えてないように見えたのに、壁の内部が全滅で建て替えになりました。
by mau (2020-05-07 22:48)
多額の借金からの復帰、周りの人に愛されていたからこそ出来たことかもしれませんね。
by ナベちはる (2020-05-08 00:52)
壮絶な人生だけど、お人柄ですね。きちんと頑張って生活なさって、今ですもんね。素晴らしいです。
火事は一番怖いって言いますよね。
いっぷくさまもほんとに大変な思いをなさったのですよね。
by そら (2020-05-08 08:19)
幼稚園児だったわたしの憧れの男性でした、一文字隼人。
生まれて初めて覚えた難しい名前だったかも。本郷猛より
も断然一文字隼人派!!
by mio (2020-05-08 09:03)