『おはよう日本』(NHK)で放送された特集、「片腕のライダー」のダイジェスト動画が、Facebookのチャンネル『NHK HUMAN』で1月17日に投稿されたのでシェアします。交通事故に巻き込まれて右腕が使えなくなった青年が、大型バイクの運転免許を取得する話です。
がんばれ朋之!18歳―植物状態からの生還「265日の記録」 - 宮城 和男
投稿のリードにはこう書かれています。
「何か自分の中で風穴を開けられるんじゃないか」
交通事故に巻き込まれ、右腕がほとんど動かなくなった廣瀬智大さん。人生の生きがいを取り戻すために、片腕だけの運転で大型自動二輪免許の取得に挑みました。
学生時代にバイクに乗るようになり、事故を経験しても「またバイクに乗りたい」という廣瀬智大さんをサポートしたのが、バイク修理店を営む福井勝一さん。
16年前に、日本で初めて片腕の運転で大型自動二輪の免許をとった方です。
左ハンドルだけで、すべての操作ができるようにバイクを改造してくれたそうです。
「障碍者は個々の障碍の状態にもよりますけど、みなさんが思っているよりもできることが多いんじゃないかと……」(福井勝一さん)
「障碍者だからできることが多い」とは?
動画のポイントは2点あります。
1.片腕が不自由になってもバイク運転を諦めない
2.むしろ障碍者になったことで「できることが多い」
交通事故を経験したことで、あえて大型二輪という難関に「リベンジ」する心境なのでしょうか。
「2」ですが、障碍はハンデこそあれ、健常者より「できることが多い」というのは、逆説的なイメージがあります。
これはどういうことでしょうか。
廣瀬智大さんの場合は、「上半身で乗るのではなく、下半身を上手く使ってバランスをとる」乗り方をすることで、片手であるハンデを補っているそうです。
つまり、下半身の使い方が健常者よりも高度である、ということでしょうか。
また、投稿に対して、「片足義足で大型二輪試験場で取った」方がこうコメントされています。
「障害者と言うことで安全面について言及するコメントがありますが、障害者が免許取る場合は一発試験でなければ取れなかったり、教習所で取るにも先に公安委員会の審査を受けてから取る等ハードルが多く、健常者のようにお金持って教習所行けば取れるってものではありません。
そこをクリアしたからこそ国から免許を発行されてるわけですから少なくとも免許取得時点では教習所で免許取った健常者以下ということはあり得ませんね。」
要するに、障碍者は
健常者以上のスキルが認められて初めて免許が取れるということですね。
だから、健常者より「できることが多い」ということかもしれません。
遷延性意識障害から免許をとった例もある
この動画で思い出したのが、以前ご紹介した『
がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』(宮城和男著、あけび書房)という書籍です。
オートバイの交通事故で頭をうち、脳がびまん性軸索損傷(DAI)という大怪我をして、遷延性意識障害(いわゆる植物人間状態)になってしまった松本朋之さんが、家族や友人の励ましや、医療スタッフの懸命な治療やリハビリによって、重い高次脳機能障害を残しながらも社会復帰したことを、当時の担当医の宮城和男さん(当時王子生協病院)がまとめたものです。
私にとっては大変な驚きでした。
植物人間になってからでも社会復帰できる!?
やはり当時、遷延性意識障害だった我が長男の、リハビリの教科書にさせていただきました。
その松本朋之さんが、杖や車椅子を使って移動する身でありながら、運転免許を取ったことが、新聞で報じられ話題になりました。
『朝日新聞』1997年1月30日付
きっと、今回の廣瀬智大さんに通じるものがあるのだと思います。
ご家族としては複雑な心境でしょうが……
まあ、ご家族としては、もう車に関わることは止めたいところですよね。
健常のドライバーだって、いつどこで事故に巻き込まれるかわかりませんから。
でも、ご本人の気持ちとしてそうしたいということなら、それを応援することが前向きな選択ということかもしれません。
みなさんがご家族だったら、どうされますか。免許取得賛成ですか、反対ですか
冒頭のイメージ画像
はなたれ君さんによる
写真ACからの写真
がんばれ朋之!18歳―植物状態からの生還「265日の記録」 - 宮城 和男
健常者
障碍者
の定義は何なのでしょうね?
皆同じ人間同士
今日も助け助けられて生きていきましょう!
by 風太郎 (2020-01-23 09:13)
バイクは元々下半身使わないとコントロールし辛いから意識して下半身使ってるとかなり上手いよ。
by pn (2020-01-23 11:04)
先日観たNHKのグレートレースという番組で、生まれつき両腕が肘までしかない男性が、オーストラリアで開催された過酷なマウンテンバイクの一週間のレースに出て、完走してました。指のない腕で、健常者と同じバイクを操作をしていました。それも健常者異常に。
by tsun (2020-01-23 11:10)
免許を取った時点でそれはもう健常者を上回る技術を備えていると言って良いと思います。いつも思いますがこの方のように若くして障がい者になる場合もあるのです。だからこそこのような方々を応援していけるような社会になって欲しいです。それは自分達のためでもあると思います。
by エンジェル (2020-01-23 12:17)
免許取得には賛成です。人一倍の努力と注意をしているのですから、健常者よりも安心して見ていられる。
by 扶侶夢 (2020-01-23 16:56)
失ってから取り戻したいと思う気持ち。熱意を感じますね。
by ヤマカゼ (2020-01-23 17:24)
困難に立ち向かう姿勢は素晴らしいですね。
by ヨッシーパパ (2020-01-23 19:11)
障害者が車の運転をするのは珍しくないですが、大型自動二輪の免許取得は大挑戦ですね。
自分は20代の時に運転免許センターで取得しましたが、この方は人一倍努力されたんだと思います。
by kou (2020-01-23 20:05)
気せずしてこんな状態になってしまっても、
「運転がしたい」
って思うのは、
四輪じゃあなくて二輪だからなんだと思います。
by 風神様【毎日♪】 (2020-01-23 20:54)
いっぷくさんのサイトに行こうとすると、ちがう偽サイトに飛んでなかなか来れなかったのですが、今日はなんとか来れました。
トピックと関係のない話で恐縮ですが、ご参考までにコメント。
by kome (2020-01-23 21:21)
こういう方の方がかえって安全に運転されるのではないかと思いました。
日本の警察も意外と柔軟な対応するんですね。
by starwars2015 (2020-01-23 21:31)
昔、和菓子屋さんで、だんなが脳溢血で左半身付随になった
けど、バイク運転したいの一心でバイクが運転できるよう
になった。と言う話を聞いたことがあったり。
通常のバイクではなく半ATのバイクみたいで・・・
元気になるきっかけなら問題ないかと。とは言え、バイクは
ケンタロウさんの例もあるので難しいけど。
by tai-yama (2020-01-23 23:57)
昨日、駅で事故があり電車が止まったのですが、女子高生が右腕切断の重体だそうです。強く生きてほしいな
by mau (2020-01-24 00:20)
身体的なハンディキャップを負いながら「できる」ことを証明されていく方々に感謝の気持ちで一杯です。
by robotic-person (2020-01-24 00:21)
ハンディキャップを持ちながらも免許を取ったということ、ご自身の体験も含めて、最後の運転まで安全運転をされるのだろうなと思いました。
by ナベちはる (2020-01-24 00:28)
みなさん、コメントありがとうございます。
妻(普自二所持)に聞いた所、バイクを持ち上げるのはコツがいるそうですね。
バイクと自分の体が一体化した気持ちというのは、経験したものでないとわからないのでしょうね。
by いっぷく (2020-01-24 04:29)
ご家族も後悔はしないでしょう。
まず本人の強い意志。
それが修理店のご主人、自動車教習所の先生まで動かしたのですね。
私まで応援したくなりました。
by HOLDON (2020-01-24 06:57)
自動車免許証昔々持っていたのですが発狂(発病)して、軽度の事故を起こし取り上げられました。身体障害者に比べて脳の障害である精神障害者は矢張り運転免許証更新は中々出来ないのが現状です。
by bp1teikichi_satoh (2020-01-24 11:20)