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アイトレック、メガネ型ビュアーで動画を見せ視認機能を蘇らせる [遷延性意識障害]

アイトレック

アイトレック(オリンパス)ってご存知ですか。すでに生産終了となりましたが、現在もオークションや中古市場で取引されているメガネ型の動画ビュアーです。至近距離から映像を観ることで目にシゲキが強すぎるといわれているのですが、視覚への強制的な刺激が意識障害には有効だという報告もあるのです。



先日は、次男がiPod touchで、深昏睡から意識清明に“生還”したことを書きました。

iPod touchで深昏睡から“生還”し、喉の切開手術から逃れる

深昏睡から意識清明に“生還”

これは、動画が意識障害からの回復に有効であるという情報から、自分で試した方法です。

どこかでその情報を聞き、「遷延性意識障害家の回復例」という、1970年代~2010年代までに覚醒、回復した事例の報告をまとめたページで、具体的にどうすればいいかを調べました。

遷延性意識障害からの回復例(2000年代)
http://www6.plala.or.jp/brainx/recovery2000.htm

方法は2つありました。

まずひとつは、音楽運動療法を受けること。

生演奏とトランポリンによる大脳基底核への刺激で、遷延性意識障害患者が覚醒した、みちがえるように回復した、という報告があります。

私は、かたっぱしから音楽運動療法を実施している病院を調べまくって連絡をとったのですが、結果として受け入れは実現しませんでした。

いちばん大きな理由は、対応している機関が予約が先の先まで決まっていたからです。

それに、その時点で入院・治療している病院からの転院になりますし、対応する病院はすべて遠方だったため、一家で長逗留になったでしょう。

では自分でできることはなにかないのだろうか、

そう思って、回復例をずっと読み進めていくと、メガネ型動画ビュアーによる眼と耳への刺激で意識が戻った報告が書かれていました。

そこで、長男に試すことにしたのです。

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視界に強引に刺激


次男からはるかに遅れて覚醒した長男については、ある民間療法がひとつの契機になったことはすでに書きました。

遷延性意識障害からの回復を期待した民間療法

しかし、目は覚めても引き続き意識障害は残りました。

意識障害は残りました

具体的には、遷延性意識障害の条件である

1.自分の意志で自分の体を移動できない
2.自力で摂食できない
2.追視が出来ない
3.呼びかけに反応しない(意思疎通できない)
4.自分の意志で排泄もそのコントロールも出来ない
5.発語がない

という状態が3ヶ月目で診断され、6ヶ月目まで完全にクリアできませんでした。

このほかに、日本脳神経外科学会では、「簡単な命令には辛うじて応じることも出来るが、ほとんど意思疎通は不可能である。」という定義もあるそうですが、「辛うじて」どころか、何の命令にも応じられませんでした。

すでに治療初期から、そうなるかもしれないと脅かされてはいましたけどね。

病室には、天井から紙風船を吊るして、不随運動で時々腕が動いたときに、そこに触れるように病院がセッテイングしてくれました。

でも、それで紙風船にあたっても、別に本人は喜ぶでもなし……。

「追視が出来ない」というのは、目の前で指を動かしても、黒目はそれを追わないということです。

観るべきものを自力で観ることが出来ないわけですから、iPod touchは有効ではありません。

そこで、アイトレックをあてて、視界に強引に動画の刺激を与えることにしたのです。

当時の画像はありませんが、アイトレックをさせたところ、その刺激を嫌がる反応を示しました。

嫌がるというのもひとつの意思表示なので、それ自体奏功ともいえるのですが、目的は黒目を動かすことだったので、数日それを続けていたと思います。

それが直接のきっかけになったかどうかはわかりませんが、次第に黒目が動く、つまり自発的に何かを見るという動きが見られるようになりました。

結局、長男にiPod touchを使ったのは、7ヶ月後に退院してからではないかと思います。

今回のアイトレックは、追視機能復活の決め手、というほどの実感はなかったのですが、なにか刺激を与えて反応させたい、というときに試してみるのもいいかもしれません。

長男の身体機能の回復に明らかに貢献したという実感があるのは、バランスボールですが、それはまた別の機会にご紹介します。

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コメント 8

赤面症

回復のための、医療用の動画があったらいいですね。
by 赤面症 (2016-06-27 01:01) 

pn

人の命も予約優先かぁ、仕方ない事と言えば仕方ないんでしょうけどなんかしっくりこないんだよなぁ。
by pn (2016-06-27 06:16) 

旅爺さん

深昏睡から生還で第一段階突破ですね。
第二段階も無事突破できることを祈ります。


by 旅爺さん (2016-06-27 06:29) 

やおかずみ

「メガネ型ビュアー」が医療に使われていることを初めて
知りました。ご訪問ありがとうございました。
by やおかずみ (2016-06-27 09:09) 

うさ

少しずつでも前進出来ているのが素晴らしいですね!
息子さんもきっと頑張られているのだと思います。

実は私、大学時代「音楽療法」は少しだけ学びました。もう30年以上も昔のことなのであまり覚えていませんが…。

息子さんのご回復を心よりお祈り申し上げます。
by うさ (2016-06-27 12:32) 

saia

メガネ型ビュアーの存在は知っていましたが、医療として意識障害に有効だと言うことにはまったく気がつきませんでした。
肉親ならではの着眼だと胸が熱くなります。
それによって長男さんが追視ができるようになって本当に良かったです。。。

by saia (2016-06-28 18:56) 

いっぷく

みなさん、コメントありがとうございます。

> by 赤面症 さん
そうですね。あるのかもしれませんが、
ニーズがないのか、情報が入りにくいですね。

>by pn さん
もっとあちこちにあればいいんですけどね。

>by 旅爺さん さん
いまでも少しずつ回復はしているようなので
長い目でみてやりたいと思っています。

>by やおかずみ さん
こちらこそありがとうございます。
当時は必死だったので
使えるものはなんでも、という気持ちでした。

>by うさ さん
>実は私、大学時代「音楽療法」は少しだけ学びました。
そうでしたか。
もっと音楽療法を受けられる病院が
増えるといいのですが、まだまだ少ないようです。

>by saia さん
なんとかならないものかと、当時は必死で
情報をかき集めていました。





by いっぷく (2016-07-03 19:04) 

Raymond

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