気がつけば警備員になっていた。高層ビル警備員のトホホな日常の記録(堀田孝之著、笠倉出版社) [仏教]
気がつけば警備員になっていた。高層ビル警備員のトホホな日常の記録(堀田孝之著、笠倉出版社)という著者自身の半生を振り返った本を読みました。名門大学を中退。就職してもいつも「立つ鳥跡を濁す」で逃げてばかりいた著者のボヤキ本です。
本書は、学校や職場から、いつも逃げる、立つ鳥跡を濁す著者が、行き詰まると警備員になる、という半生を振り返った話です。
私も似たようなマインドなので、大いに心惹かれました。
なぜそんな人生になったのか。
そこには、人生のアヤを感じます。
著者が特別変な人というより、誰しも人生は紙一重のような気がしました。
また、本書は警備員の職務上のエピソードも描かれているので、なかなか興味深い読み物です、
いつも逃げるのは……
さぁ、来ました、古書みつけ店主・堀田のダイヤモンド・オンライン記事の第二弾?またもやヤフコメが殺到しているとのことですが、元ネタとなっている書籍「気がつけば警備員になっていた。」は、みつけ店内でも絶賛販売中#警備員 #気がつけば https://t.co/e1y3EaILRB pic.twitter.com/0xXcumbnM1
— 「浅草橋を歩く。」編集部 (@asakusabashi_) June 7, 2022
著者は、横浜国立大学に入学。
国立だから、試験科目も多く、入るのには相当勉強したと思います。
ところが、友だちができないという理由で、あっさり大学を中退します。
そして、映画学校に入ったものの、卒業制作の出来について黙殺された(デキが悪かった)ことで夢をあきらめてしまったそうです。
それでもまだ、クリエイティブな仕事は諦めておらず、エロ雑誌の編集プロダクションで仕事をしますが、編集者だけでなくエロ俳優まで兼ねる激務で、ある日電車から降りずに失踪。
そんな自分が唯一、きちんとつとめたのは日給月給の警備員だけだった、という話です。
警備員から、いったんは編プロに復帰したこともありましたが、倒産したり、ノルマがきつかったりしたためにやはり続かず、また警備員に戻っています。
もっとも、その警備員就業も、すでに結婚していた妻子(娘)との「生活のため」という気持ちが強く、精神的に長続きせず、辞職はしませんでしたが、不貞に走り離婚。
その後、もう1回結婚して娘も生まれましたが、今度はDVで離婚。その時もガールフレンドを作っていたとか。
さらに、別の女性とも婚約していたが、またまた不貞を働いて慰謝料200万円とられたと。
要するに、仕事で行き詰まる⇒不貞⇒離婚または婚約破棄、ということを繰り返したそうです。
著者が、学校や職場から逃げるきっかけの一つに、「がんばっても報われないことがある」と感じたことが書かれています。
そんなこといったら、誰でも大なり小なり、その限界にぶつかるんです。
では、なぜ著者がそれに耐えられなかったのか。
私が思うに、著者の弱さ、不器用さは、失礼ながら両親が毒親だった可能性がありますね。
暴力や虐待やネグレクトではなく、干渉型の毒親。
つまり、一見教育熱心で、子供の人生のレールも自分たちができる限り配慮する「良い親」のタイプ。
だから、横浜国大に入れる学力や、入れるだけの家庭の文化的水準はある。
でも、それは、子どもの自己肯定感、自立心、判断力などをスポイルしているのです。
ゆえに、そこで育った子どもは、自己肯定感とか、自己判断能力に乏しいのです。
「何のためにそれをするのか」という自分の哲学を構築する力がなく、それでいて学力はあるので妙に知的なため、学校も職場も、ちょっとした壁が出てくると理屈で悩み、行き詰まって最後は逃げるのです。
結婚生活の失敗は、仕事で疑問を感じると、「これは家庭のためにやってるから我慢する」と思うことですね。
妻子との家庭を守るために収入を得なければならないというのはそのとおりですが、それは妻にとっては苦痛ですし、区別と両立しなければダメでしょう。
つまり、経済的なことは経済的なこととして、自分は何のためにこの仕事をしているんだろうという、仕事そのもののやりがいとか、自己実現という意味で仕事をどうとらえるか、という意義付が必要なんでしょうね。
いや、これもね、毒親だから確立できないのです。
いい学校に入れ、話はそれからだ、という育てられ方をすると、そもそもなぜ自分はこの学校に進んだのだろうとか、そこからわからなくなってしまうのです。
著者が大学中退したのは、まさにそういう理由だと思います。
ことほどさように、著者は総じて自分軸で生きていないのです。
自分軸で生きるための、自我の確立を毒親が妨げたと私は思います。
著者は、自分の親に自我を壊された可能性が高いですね。
人生は巡り合わせで誰でもそうなり得る
人生の落伍者のように描かれている本書ですが、うらやましいのは、もとい救いは、著者が2度も結婚できて、2度も娘ができたことです。
辛いことがあると、女性に逃げ込み不貞を働いたそうですが、その時時でそういう相手がいるというのは羨ましいよね。
私は、著者ほどのモテ期はなかったから、挫折しても孤独だったな。
さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし(歎異抄)
良い行為も悪い行為も、その人の性根ではなく、巡り合わせであり、たまたまそういう「縁」があってそうなった、という、浄土真宗開祖・親鸞の教えがあります。
つまり、人生は事と次第で、いいこともする機会もあれば、悪いことに手を染めてしまうことになるかもしれない、ということです。
成功と転落の分水嶺は、ほんのちょっとのタイミングの差、というわけです。
お互い独身のときに知り合ってれば、問題なく結婚できますが、結婚した後だと不倫になってしまうとかね。
昨今のネットでは、人の不正や失敗を、「自分だったらそんなことは絶対しない」といわんばかりの立場から、エラソーに断罪していますが、巡り合わせ次第では、自分がその立場にならないとは限らない、ということは心の何処かでわきまえておくべきです。
著者の場合は、自分は何のために何を頑張るべきか、ということをみつけるために、結果的にそれがそうでなかったとしてもまずはヤッてみること。行動しないとわかりませんから。
逃げるのは他者に迷惑をかけますが、挫折と出直し自体はためらわず、いつか化けることができる「縁」を待つしかないでしょうね。
人生は、死ぬまでサイコロをふるチャンスはある、と思ってチャレンジし続けることです。
まあ私も、ひとさまのことはいえないのですが(汗)
みなさんは、自分軸でしっかり生きてますか。
気がつけば警備員になっていた。-高層ビル警備員のトホホな日常の記録- - 堀田 孝之
これは難しいテーマだ!!
自分軸って、案外出来てない人が多いですよね、って他人事w
by 赤面症 (2023-06-12 01:11)
子供は親を選べませんから、まず、運が良いか悪いか、何時、如何に自立心が芽生えてくるかによって人生が左右されるように思います。
しかし、本が書けるような人生はそうそうあるものではないと考えれば、結構ご本人の人生は充実していたのではないでしょうか。
by よしあき・ギャラリー (2023-06-12 05:13)
逃げる人生を否定する気は毛頭ありません、本当に毒親だったら親から逃げてれば違う人生だったのかも知れませんので。
て言うかおっしゃる通りこの人モテ過ぎ(笑)
by pn (2023-06-12 06:11)
タイトルからだけみると警備員という職業をバカにしているように感じて不快だなぁと感じました。
こういうマインドの人がどうこうというのは全く共感しません。
心根が腐っているとも思いますね
警備員さんがいなければ世の中上手く回らないというのになぁ
by 青い森のヨッチン (2023-06-12 09:13)
記事の字数を2000字程度にしたいと思っているので割愛しましたが、本書は、警備員の仕事それ自体を誹謗する書籍では有りません。
警備員の話としては、よくある普通の体験実録の書き物です。
著者の生き方とすれば、むしろ、国立大学を捨て、他の仕事も続かない「贅沢でわがまま」な人間が、結果的に長続きしている天職としているわけですから、警備員についての評価は逆です。
いうなれば、タイトルは「釣り」です。
どういう意図かと言うと、世間の偏見に満ちた、ようするに大衆こそ警備員を見下している<ので、それを逆手に取ったタイトルだと私は思いました。
by いっぷく (2023-06-12 15:03)
親の教育水準もありますよね
自分の親は戦前教育でした。
学力のなさと偏見に満ちた親でしたね
自分から見たら。
干渉型でしたから、自分から進んで行動、趣味、興味否定しましたね。何か夢中になって打ち込むと、「一つのことに夢中になるな」が口癖の父親
出掛けると怒る。
何もできなかったです。
by コーヒーカップ (2023-06-12 16:32)
警備員が職務中に逃げるのはダメだけど・・・・
自分軸がしっかししている子供は早いうちに毒親から
独立してしまうかも。
by tai-yama (2023-06-12 23:21)