漫画化された日本の近代文学作品(小説編) [生活]
漫画化された日本の近代小説作品をご紹介します。いずれも著作権の保護期限が切れて、原作をもとに漫画化されています。同一の原作で複数の漫画家によって「競作」されているものもあります。いずれもKindleで読めるので、移動中にタブレットやスマホで読んでもいいかもしれません。
一昨日は、宮沢賢治の作品をご紹介しました。
最近は、文学史上に残る作品の著作権保護期間が切れ、青空文庫で発表されているものが増えています。
青空文庫というのは、著作権が消滅した作品や、著者が許諾した作品のテキストを公開しているインターネット上の電子図書館です。
収録作品は、ボランティアの手により青空文庫形式テキストファイルやHTMLとして電子化されています。
著作権は、著作者が死亡してから70年を経過するまでの間、存続します。より正確には、死亡してから70年を経過した年の12月31日まで存続します。
以前はその期間は50年だったのですが、平成30(2018)年12月30日付けで、著作者の死後50年から70年に延長されることになってしまいました。
インターネットが普及して、コピペしたり切り取ったりしながら新しい価値を作る時代になっているのに、それに逆行しているように思いますけどね。
それはともかくとして、著作権の保護期間が消滅したものは、青空文庫のほか、それを原作として漫画化する場合もあります。
今の若者は漫画世代ということで、そのような描き下ろしでない、しかも昔の作品でも商品として成立するのです。
そして、多くは、Amazonのkindleunlimitedの読み放題リストに含まれています。
kindleunlimitedの会員になっていれば、追加料金無しで読めるということです。
今は確か、990円/月でしたっけね。
その中から、私が読んだことのある作品をいくつかご紹介します。
たくさんありすぎるので、宮沢賢治、外国作品などは除きます。
それと、小説に限定します。
斜陽(原作/太宰治、漫画/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)
斜陽(原作/太宰治、漫画/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)は、没落華族から滅びの美しさを描く太宰治の代表作です。東京帝大在学中に、左翼運動、女性問題、薬物中毒、数度の自殺・心中未遂など、波乱の青春時代を送った著者ならではの陰翳に富んだ作品です。
これは、たぶん太宰治の半自伝だと思います。
葉桜と魔笛(原作/太宰治、イラスト/だらく)
『葉桜と魔笛』(原作/太宰治、イラスト/だらく)は、姉妹の美しくも切ない心の交流を描いた短編小説を漫画化しました。お悧巧すぎた姉妹の手紙を巡る虚実の攻防。そして、聞こえるはずのない口笛。どんでん返しによる不思議な結末です。
明暗(原作/夏目漱石、漫画/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)
明暗(原作/夏目漱石、漫画/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)は、人間の利己を追った長編小説で未完の絶筆となりました。結婚した会社員で親から独立しているのに、なお仕送りを受け、以前に付き合っていた女性が忘れられない自己愛の強い男の話です。
舞姫(原作/森鴎外、漫画/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)
『舞姫』といえば、近代文学史上に残る森鴎外の長編小説。『まんがで読破』シリーズとしてバラエティ・アートワークスが漫画化しました。帝国大学を主席で卒業した国費留学生が、自分軸で生きられない苦悩とドイツ人女性との相克を描いています。
羅生門(原作/芥川龍之介、著/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)
羅生門(原作/芥川龍之介、著/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)は、羅生門を舞台に「人間のエゴイズム」を描いた傑作です。まんがで読破シリーズ第5作。その他「王朝もの」と呼ばれる偸盗、藪の中など、短編小説3作を収録しています。
破戒(原作/島崎藤村、著/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)
『破戒』といえば、近代文学史上に残る島崎藤村の長編小説。『まんがで読破』シリーズとしてバラエティ・アートワークスが漫画化しました。明治維新後も残った身分差別について、そこに苦しみ、やがて自身による主体的な解決を見出していく話です。
人間失格(原作/太宰治、比古地朔弥/構成・作画、学研パブリッシング/秋水社)
人間失格(原作/太宰治、比古地朔弥/構成・作画、学研パブリッシング/秋水社)は、人間関係に迷う生き様を描いた小説の漫画版です。他人の前では道化に徹し、本当の自分を誰にもさらけ出せない男の、幼少から青年期までを男の視点で描いています。
こころ(夏目漱石/作、高橋ユキ/構成・作画、学研パブリッシング/秋水社)
『こころ』(夏目漱石/作、高橋ユキ/構成・作画、学研パブリッシング/秋水社)は、エゴと倫理観の葛藤を描いた小説の漫画化です。恋愛と友情の間に悩みながらも、友人よりも恋人を選択。自分自身をも信用できなくなった自己嫌悪の心理が描かれています。
自分や自分の身近な人をモデルに
個人的には、太宰治作品は、とくにお勧めです。
いずれも、当時の作家は、自分や自分の身近な人をモデルにしていることが多いですね。
写実主義ということかな。
これ以外にも、『奥の細道』とか『学問のすゝめ』とか『四谷怪談』とか、たくさん出ているんですよ。
外国のものですと、『罪と罰』とか『資本論』とか『共産党宣言』なども漫画化されています。
それらはまた、別の機会にレビューができればと思います。
ご贔屓の作家や、読んでみたい作品などはありますか。
興味深いです。^^
by よしあき・ギャラリー (2023-05-26 06:24)
朝活書写も青空なんちゃらから抜粋って書いてあった。
それよか奥の細道の漫画が気になる。
by pn (2023-05-26 06:28)
最近は漫画やアニメなどでも見たり読んだり出来るようになりましたからね、びったり読まなくても漫画ですと暇な時にちょっと見ることが可能ですからね、最近はスマホを皆さんお持ちですからアニメ等も見やすいですね。
by kousaku (2023-05-26 11:14)
若い頃、文庫本で読んだ名作が
ほとんど漫画化されているのですね。
驚きです。
by そらへい (2023-05-26 13:55)
980円では?
by おっつぁん (2023-05-26 14:25)
980円のようですね。
by いっぷく (2023-05-26 23:09)