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井原高忠、『金曜10時!うわさのチャンネル!!』で魅せた型破りの企画力 [懐かし映画・ドラマ]

井原高忠、『金曜10時!うわさのチャンネル!!』で魅せた型破りの企画力

今日は井原高忠さん(1929年6月6日~2014年9月14日)の生まれた日です。俗悪番組のレッテルを貼られながらも、「新しい笑い」を考案して世間の価値観に風穴を開け続けた、昭和のテレビっ子世代には忘れられない日本テレビのディレクター、プロデューサーです。



井原高忠とは誰だ


井原高忠は、慶応大学文学部卒業後、日本テレビの新卒第1期社員として入社。

プロデューサーやディレクターとして、バラエティ番組制作にかかわりました。

その仕事ぶりを一言で評しますと、反体制にはならずに体制と闘ってきた仕事を一貫して行ってきたといえるでしょう。

『光子の窓』という、草笛光子をメインに据えた、「民放初の本格バラエティ番組」を担当していましたが、安保闘争で原稿が遅れた人気放送作家の永六輔を斬り、それによって番組を打ち切られても迎合しませんでした。

まあ、これは反体制とか左翼云々というより、永六輔自身が天狗になっていたのと、やはり仕事ですから納期を守らないのが悪いですよね。当然の措置です。人気があるからって調子に乗るなよ、ということです。

また、当時芸能界で絶対的な権勢を誇っていたナベプロ帝国には反骨精神をむき出しにして、担当していた人気番組『シャボン玉ホリデー』から手を引き、『スター誕生!』を作って非ナベプロのスターを作り出し、ナベプロ一強時代を崩壊させました。

今のテレビ界に、これだけ気骨のあるテレビマンが存在するのでしょうか。


以下は、制作関わった主な番組です。

11PM



11PM』(1965年11月8日~1990年3月30日、日本テレビ・読売テレビ)というのは、主に午後11時15分から始まった深夜の生ワイドショーです。

番組開始当初は報道番組でしたが、半年ぐらいで、ワイドショー形式に変更。

月曜、水曜、金曜は日本テレビが、火曜・木曜は読売テレビが制作していました。

オープニングは、「シャバダバダ……」というテーマ音楽とともに、カバーガールの秋川リサ、かたせ梨乃、多岐川裕美、池島ルリ子、セーラ・ローエルらが微笑み、番組が始まるのです。

そして、中身は、「UFO」や「天中殺」などその時時の流行にアプローチしたり、政治や社会問題を考えたり、さらにお色気など、かなり広範に取り上げました。

巨泉×前武ゲバゲバ90分!



『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』(1969年10月7日~1971年3月30日)は、大橋巨泉、前田武彦という、当時テレビで放送作家兼タレントとして活躍していた2人の名をタイトルに冠し、番組は売れっ子タレントがショートコントでつなぐバラエティ番組です。

出演者も豪華で新しい試みでしたが、個人的にはいささか消化不良だったかな、という気がします。

スター誕生!



『スター誕生!』(1971年10月3日~1983年9月25日)については、これまで何度もご紹介したオーディションスタイルの公開番組。

阿久悠さんの回顧書籍『夢を食った男たち』によると、当時権勢を誇っていた渡辺プロダクションに頼らない番組作りとして、自前のスターを作ろうという試みだったそうです。

この番組からデビューした人は、たくさんいますね。




金曜10時!うわさのチャンネル!!



私は個人的には、『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』よりも『金曜10時!うわさのチャンネル!!』(1973年10月5日~1979年6月29日)の方が印象に残るし、「当時のバラエティ番組としては類の無い型破りでエネルギッシュなもの」(Wikiより)だったと思います。

日本テレビ(というより井原高忠)と渡辺プロの確執から企画が流れ、タレント供給も制限された井原高忠は、歌手として活動していた和田アキ子に湯原昌幸、当時は司会業が売れていたせんだみつお、そしてこの年から日本(全日本プロレス)をホームリングとしたザ・デストロイヤーという異色の組み合わせで、型破りの笑いを披露しました。

たとえば、ザ・デストロイヤーが、当時はプロレスの実況だった徳光和夫に足四の字固めをかけたり、動物や爬虫類など生き物が大嫌いな和田アキ子に、犬や蛇を差し向けたりなど、俗悪番組のレッテルなど全く気にしない番組作りをしました。

和田アキ子が「ゴッド姉ちゃん」と呼ばれるのは、このコントでせんだみつおらをいじっていたからですが、一方で毎回のようにいじめられていたのは、俗悪な中にも、威張ってる奴をとっちめて笑う、という井原イズムがあったように思いました。

あの『8時だョ!全員集合』も、最近でこそ練りに練られたお笑いとして再評価されていますが、当時とくに志村けんの下ネタは「俗悪番組」のレッテルを貼られていました。

どこまで容認するか、にもよりますが、見た目だけで「俗悪」というレッテルで一方的に否定するだけでなく、そこにいかなる価値が創出されているかも見ておくべきではないかと思います。

ただ、出演者への影響は少なくなく、番組でついたイメージを心配して、歌手が本職の和田アキ子と湯原昌幸は途中降板。和田アキ子はそれでしばらく日本テレビを出禁になりました。

ザ・デストロイヤーもコミカルなキャラクターで知られてしまったことで、プロレスで凶悪な試合ができなくなり、加齢もあって団体内のポジションは徐々に下がっていき、かつての世界チャンピオンも6年目でとうとうアメリカに帰ってしまいました。

昭和世代の方は、井原高忠さんの番組の中で印象に残るものはありますか。

井原高忠 元祖テレビ屋ゲバゲバ哲学 - 井原 高忠, 恩田 泰子
井原高忠 元祖テレビ屋ゲバゲバ哲学 - 井原 高忠, 恩田 泰子




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コメント 13

風太郎

井原高忠さんの番組は懐かしさ一杯です。
ゲバゲバのコント、ザ・デストロイヤーがにやけた顔でいたずらする場面など、
それまで考えもしない題材で腹を抱えて笑いました。

by 風太郎 (2020-06-06 09:23) 

こんちゃん

ゲバゲバは当時小学5、6年生だったせいか、ちょっと大人な感じがしましたが親が他チャンネルを見ていたので毎週は見ることが出来なかった記憶です。
スター誕生!とうわさのチャンネルはどハマりしてました。
井原さんという名前を認識したのはもう少し大人になってからでした。
by こんちゃん (2020-06-06 10:33) 

扶侶夢

>今のテレビ界に、これだけ気骨のあるテレビマンが存在するのでしょうか。
昭和の職人魂ですね。こういう人こそ若い人たちは学ぶべきだと思います。
『シャボン玉ホリデー』や『11PM』は勿論なんですが、前武と巨泉と豪華出演陣だった『ゲバゲバ90分!』はユニークだったのでイチオシの記憶に残っています。
by 扶侶夢 (2020-06-06 12:03) 

エンジェル

ゲバゲバ90分!!とにかく面白かったという印象です。前田武彦は好きなタレントでした。

by エンジェル (2020-06-06 14:01) 

ヤマカゼ

スター誕生は当時話題の番組でした。ゲバゲバ90分見た記憶が有ります。
by ヤマカゼ (2020-06-06 16:49) 

ヨッシーパパ

ゲバゲバッ、ピー!
懐かしいですね。
子どもながら、楽しく見ていました。
by ヨッシーパパ (2020-06-06 18:54) 

そらへい

11PM、大人の時間帯
子供の頃の憧れの番組でした。
『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』も見ていましたが
覚えているのはタイトルのアニメだけで
中身は忘れてしまいました。
by そらへい (2020-06-06 20:16) 

pn

年齢的にゲバゲバよかカリキュラマシーンの方が記憶に残ってるなー。
by pn (2020-06-06 21:14) 

kou

ゲバゲバ90分は家族で観て大笑いしていました。懐かしいです。今の時代はこんな番組はもう出来ないでしょうね。
昭和は良い時代でした。
by kou (2020-06-06 21:45) 

mau

全く記憶にないのですが、小さい頃に11PMのオープニングテーマを口ずさんでいたそうです。誰に教えられたんだろう?
by mau (2020-06-06 22:44) 

ナベちはる

「ゲバゲバ」とは、印象に残るフレーズですね。
by ナベちはる (2020-06-07 00:36) 

pigumon

「11PM」「うわさのチャンネル」
無茶苦茶 懐かしいです
当時は お色気シーン
今か今かと
心待ちにしながら
親に隠れて こっそり
観ていた 記憶がございます

by pigumon (2020-06-07 01:15) 

犬眉母

威張ってるやつをとっちめるというのがいいですね。
by 犬眉母 (2020-06-07 13:33) 

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