木村花さん訃報、改めてネットの「批判」と「悪口」の違いを考える [懐かし映画・ドラマ]
女子プロレスラー・木村花さんの急死がネットで取り沙汰されています。公式に死因や経緯などは発表されていませんが、ネット上では、かねてから粘着アンチによる攻撃的なツイートがSNSで行われていて、訃報とともにアンチは慌ててツイートを削除しているそうです。
死因とされているネットの誹謗中傷
木村花さん。まだ22歳だそうです。
若すぎますね。
母親の木村響子さんでさえ、21世紀に入ってからリングに上ったレスラーであり、20世紀終わるか否かぐらいでプロレスへの関心が薄れてしまった私にとっては、その間にデビューした人の生まれた子供がデビューしてさらに生涯を終えてしまった……ということに大変驚き動揺しています。
誹謗中傷してる人。 誹謗中傷してる人のリプに人殺しなどコメントしてる人。
— ぷぅ? (@puukun_415) May 23, 2020
誹謗中傷してる事に気がついてない人。ただの傍観者の人。
1度、この動画を見てください。それだけです。#テラハ#木村花 pic.twitter.com/q4umA7TvdT
警察はもちろん、所属事務所も明言していないので、誹謗中傷が直接の死因であるとの断定は少なくとも今の時点ではできません。
ただし、木村花さんに対して、SNS(ツイッター)の誹謗中傷が行われていたこと自体は公然としていたということです。
ネット民による「叩き」は、しばしばこのブログでも批判的に取りざたしてきました。
ただ、私が今後心配なのは、異論反論批判など、もとの発言や人物に対しておだやかに同調しない意見は、たとえ順当なものであっても、すべて悪口とみなされて道徳的に不謹慎なもののように扱われてしまう言論の萎縮がないだろうかということです。
正当な批判と悪口を混同させることは、国民にとっては結局自分の首を絞める行為です。
といっても、たぶんこんな意見もあるでしょう。
では、批判と悪口の違いってなんなの?。
自分にとって都合の悪い指摘は、すべて「悪口」ということにしてしまう自己愛の強い人も世の中に居ますが、要は公共性公益性のあるほんとうのことは「批判」であり、その人にとって都合の悪い話だろうがハチノアタマだろうが、不特定多数の見る場で堂々と述べてもヨイことになっています。
これは憲法で決められていることですから、それがいやなら、その人はネットを辞めるべきです。
それはともかくとして、私は、名もない一般人なのに、これまで何度かネットの叩きの餌食になった経験があります。
そんな私が、経験も踏まえて考える、批判とは縁もゆかりもない「悪口」の例を挙げてみます。
個人的な感情に基づく誹謗中傷
「あいつは嫌いなんだ」という表明は構いません。
しかし、嫌いだから、ちょっと事実に色を付けて貶めてやれ、となるとまずいのです。
よく、ワイドショーで特定の芸能人が叩かれると、「どうせこいつは悪い奴として叩かれているから、今ならナニを書いても許されるんだ」といわんばかりに、実は事実ではないその人の「悪事」が週刊誌などに捏造されて、またそれを疑いもせず鵜呑みにした鶏頭ネット民が叩くという構図ありますよね。
そういうメディアは淘汰されるべきなのは当然ですが、そんなネット民が「マスゴミ」なんてよくいえるなと思います。
ゴミなら、そんなもののトバシ記事をいちいち真に受けんなよな。
言うまでもないことかもしれませんが、法律では「死ね」等の暴言は、それ自体が名誉毀損罪やときには脅迫罪になります。
不在証明
ひところは、市井の人を「市民記者」として採用して、いくらかの金を払ってサイトのコンテンツを作ることがありました。←プロのライターが「市民記者」をすることは構わない
PJニュース、JANJAN、ツカサネット新聞なんていうのがそうでしたね。
私は、以前そこのうちのひとつの「市民記者」をやっていたことがあります。
で、私に対するアンチの誹謗中傷がものすごかったのです。
記事は、ヤフーと提携していて、ヤフーのトピックスとして公開されていたのですが、記事を一つ書くと、そこにアンチが短時間でプロキシサーバーを使って、まるで滝の水が流れるように大量に誹謗中傷コメントを付けていくのです。
ほとんどが箸にも棒にもかからない揚げ足取りの論外ですが、ひとつだけ、教訓としてご紹介できるものがありました。
それは、時々、彼らを批判して私の味方をするコメントが入ると、「それはお前の自作自演である。そうでなければそうでないという証明をしろ。できなければお前は自作自演をしたことになる」というのです。
あのですね。立証責任というのは言い出しっぺにあるもので、そもそも「ない」ことを証明しろというのは、不在証明、または悪魔の証明と言って、科学的にも司法的にも論理学的にもありえないことなのです。
ありえない要求というのは批判ではなく「嫌がらせ」ですから、そういう要求は、一切答える必要はありません。
だいいち、それ自体、そういう「批判」をするためのそいつらの自作自演のコメントかもしれませんしね。
都合が悪くなると削除する
今回も、木村花さんのアンチは慌ててツイートを消しているそうですが、公益性のある批判なら消す必要はないはずです。
むしろ、メディアなどの取材を受けたら、これこれこういう理由で木村花さんには異論反論申し上げました、と世に問えるチャンスなのです。
消すような落書きなら、書き手自身が「その程度のもの」と自覚しているのでしょう。
なら最初から書くな、ということです。
大変残念ですが、実はSSブログで私はそれを経験してしまいました。
出生前診断についての記事にコメントがついたので、レスするやりとりを2度ぐらい繰り返したのですが、その人は手詰まりになったのか、3度目には突然理性を欠いたとしか思えない逆ギレしたコメントが入り、まもなくして自分のコメントは、それだけでなくすべてを消してしまいました。
そうすると、私のコメントだけが残るわけですが、読む方はなんのことやら流れがわからなくなるんですね。
そのコメントを書くために、私は時間と頭を使っているんです。
ブロガーとしての最低限の常識として、読者、またはブロガーの時間を奪うことに配慮する気持ちは、持っていてほしいと私は思います。
ブロガーは批判を恐れない議論をできるように強くなってほしい
イケハヤ大学
— リオン (@40RDJMdEX9CGX0a) May 23, 2020
SNSによる誹謗中傷は犯罪です??#youtube #イケハヤ大学#誹謗中傷 #犯罪https://t.co/gKOkrymOiO
では結論としてどうすればそういうものを対策できるのか。
冒頭に書いたように、主観的道徳的に異論反論を押さえつけることは、逆にその歪みが大きくなって、それがどこかで爆発して、度をすぎる叩きにつながっていくのではないかと私は思っています。
ですから、むしろ法律に触れない限りネガティブ意見は自由にさせることで、質の低いものや、「悪口」以外の意味のないものを見破り淘汰する「手間」は「急がば廻れ」である程度は必要だと思います。
もちろん先に書いたように、無意味な攻撃は「落書き」と切り捨てたり、即座に告訴や提訴をする分別も必要です。
つまり、多くのブロガーを含むネットコミュニティ利用者が、異論反論批判に慣れていないことが、対処を誤る不幸の原因なのです。
慣れるには、そこから逃げないことです。
そりゃね、誰だって、「いや、そう思わない」といわれるよりは、「そうそう、そうだよね」と言われたほうが気持ちがいいでしょう。
でもね、同調されても、そこで完結して、何の伸びしろもないんです。
否定されることで、それがとっかかりとなって、自分が気づかなかったことに気づいたり、相手を見直したりということがあるのです。
そういう意味では、社会に発信するというのは、ある意味、現状の自分を否定するシビアな行為と言えるかもしれません。
でも、不特定多数に読んで頂く表現活動というのは、そういう厳しさを伴うものだということは忘れないでいたいものです。
今回の「犯人」たちは、ツイートを消すようなセコイ真似はしないで、応分の責任はとるべきですね。
そして、発信者の情報開示も、もっと安価で簡単にできるようにして、責任と覚悟ある発信を行わざるを得ないような法律なりシステムなりの整備をしていただきたいと思います。
木村花さんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。
インターネットと人権侵害 (匿名の誹謗中傷 ~その現状と対策) - 佐藤 佳弘
匿名なやつら - 植田雅俊
インターネット権利侵害 削除請求・発信者情報開示請求“後"の法的対応Q&A
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個人ブログの場合、社会に何かを問うわけではなく、
ただの承認欲求である場合が殆どだと思います。
ただやはり、そこは節度を守って、ブロガーとして
または読者として、迷惑をかけない振る舞いは必要だと思います。
by 犬眉母 (2020-05-24 13:45)
国は検察庁法改正案などより、こういった誹謗中傷を
取り締まる明確な法律を整備すべきと心から思います。
by 十円木馬 (2020-05-24 14:52)
ネットだから何かいてもいいみたいな人いますね。
以前フォト蔵にいたのですが、よく知っている人間がそんな感じだったので退会しました。
by ヤマカゼ (2020-05-24 15:08)
確かにブログで書く事は自己規制が必要ですね。
其処で自由と勝手が分かれる気がします。
気を付けたいものです。
確かに言葉は時に狂気になると思います。
by lamer (2020-05-24 15:19)
言葉を大切にしたいと思っています。
by ハマコウ (2020-05-24 17:39)
木村花さんは存じませんでしたが、わだ若いのに残念です。最近はブログ内でも、コロナ疲れなのか自粛警察のように、目を付けたコロナ関連の記事を徹底的に叩きのめすというのを何度か目にしています。言葉は凶器にもなります。議論か喧嘩なのか?とにかく相手を尊重して欲しいと感じています。
by kou (2020-05-24 18:03)
不快に思われることはしないようにしていきたいです。
あのようなリアリティ番組に出れば、
批判するひとがいるらしい。
TBSテレビのサンデージャポンで
リアリティ番組に出たことがある人が発言していた。
テラスハウスは世界中での配信らしいので
批判がすごかったらしい。
by nikki (2020-05-24 18:16)
内容はわからないのですが、その手の事は匿名ブログだとしょっちゅうですかね。
私の自己中ブログでさえ似たような事がありますから。
○○警察 なるものも散々聞かされていますが・・・
自分でしっかり考え方をもって進められればいいのですが。
by なぁ (2020-05-24 18:43)
読売新聞の朝刊にも載っていました。
by ヨッシーパパ (2020-05-24 18:55)
匿名だからこそできる発信もあるのですが、有効に使えないことは残念です。
by おっつぁん (2020-05-24 19:51)
最近もやもやしてたことがクリアになって
とても勇気を頂きました
ありがとうございます
by snow (2020-05-24 20:58)
コメントを書くというのはちょっとした勇気が要りますよね。全く知らない方と会話をするようなものですから。
でも一旦心が通じ合うとコメントをするのが楽しくなります。以前はよくオフ会でドキドキしながらリアルにお会いしたものです。毎月のように会っていたその中の一人がなぜか私の記事を中傷するコメントを書いてきた人物がいました。私は初めてそのコメントを削除しました。それっきりその人とはお会いすることもなかったです。苦い思い出です。
by エンジェル (2020-05-24 23:16)
アンチや自称警察には関わりたく無い…
by mau (2020-05-24 23:53)
以前、医療事故のことを書いたら自称医師と名乗る人間
から医師免許もないのに素人が偉そうに書くな、という
コメントがきたことがあります。
あなたが医師であるかどうかはこちらでは確認しようが
ないので、上から目線で書かれても尊敬もしなければ、
参りましたとも思わないと返信したら、唐突に業界用語
を書き連ねた上、意味が分からないだろうと勝ち誇った
ような返信が来たので、こんなしょうもない業界用語で
わざわざ書くことですか?直接話に行くので、勤務先の
病院名と実名、連絡先を教えて下さいと書いたら全部の
コメントが消されて跡形もなくなりました。
個人ブログに悪態をつく暇があるなら、真面目に医師の
仕事に取り組めと本文に書いて終わりにしましたが、
世の中には自分が上にならないと我慢できないバカ者も
いることは理解しておいた方が良いと思っています。
by suzuran (2020-05-25 00:10)
ネットだと(IPアドレスがありますが)匿名性が高いのでなんでも「書きたい放題」みたいなところがありますよね。
by ナベちはる (2020-05-25 00:19)
不在証明の恐ろしさは、私も多少なりとも経験があり理解できます。
私は上手く言葉をつなげる事は出来ませんが、発信の意味や匿名の恐怖、教育も必要だと思います。
今回のように発信をしてくださる事にとても感謝をします。考える時間をありがとうございました。
by そら (2020-05-25 08:12)
こんにちは。
全く同じく感じていることを代弁していただいた思いです!
新コロ関連のアンチや自粛警察など、
ここのところ誹謗中傷が目立ちますが、
反論や批判があるなら堂々と議論して、理解して、
前向きに進めばいいと思います。
by ライス (2020-05-25 09:51)
コメント消すのではなく、それでも自分はそう思うって書いて終わらせる方がまだ良いような。たとえ平行線としてもやりとりは残すべき。
それは置いといて22歳でしょこの子、自分よか若い奴が死んじまうのはどんな理由でも辛い。
by pn (2020-05-25 10:25)
尊い命が散ってしましました。残念です。
「言論の萎縮」は心配ですが、これを機にひとりひとりが自分の発する言葉の重みを考えて行けたら。散った命も少しは報われるかと思います。
by Rinko (2020-05-26 08:21)
日本のSNSは諸外国と比較して匿名率が高いみたいですね。
個人が特定されなければ言いたい放題みたいな野放し状況はそろそろ終わるでしょう。
by marimo (2020-05-26 08:22)
大変勉強になりました!
ちゃんとした批判には、ちゃんと応えたい!
by 風の友 (2020-05-27 23:55)