三ツ矢歌子さん17回忌、気品の漂う清楚で柔らかな笑顔を思い出す [懐かし映画・ドラマ]
三ツ矢歌子さん(1936年8月1日~2004年3月24日)の祥月命日です、今年で17回忌になるんですね。字は違いますが本名も「うたこさん」。エログロ当たり前の新東宝時代でも清純派のマドンナとして活躍し、テレビドラマに活躍の場を移してからも、その気品の漂う清楚で柔らかな笑顔はかわることがありませんでした。(画像は『気まぐれ本格派』DVDより)
三ツ矢歌子とは誰だ
“Good morning”
— Hello George (feel free to chat in English) (@ryochikun22) March 21, 2020
三ツ矢歌子 pic.twitter.com/5ssO6EyTZX
三ツ矢歌子さんは、新東宝という映画会社の第4期スターレット(新人)として入社。女優デビューします。
終戦直後にはよくあったのですが、映画会社の東宝にも労働争議がありました。
その中で、「経営陣にも不満だが、争議よりも仕事がしたい」と、ストばかりする労組側に与しない一部俳優とスタッフが、組合を脱退して1947年に独立したことが新東宝の始まりです。
俳優は、大河内傳次郎を筆頭に、長谷川一夫、黒川弥太郎、入江たか子、藤田進、花井蘭子、山田五十鈴、原節子、山根寿子、高峰秀子。
こうした邦画界に名を残す大物ばかりの格を重んじ、最初のうちは文芸作品を真面目に撮っていました。
しかし、大物を並べて真面目な作品を撮ったからといってヒットするとは限らず、ギャラばかりかさみ間もなくして経営がジリ貧となります。
そこで、歌手・近江俊郎の実兄である大蔵貢社長は、低予算で大量生産をモットーに、作品にエロと笑いを盛り込み、オーバーで扇情的なストーリーや宣伝惹句で活路を見出しました。
ポスターにはたとえばこんなものも
その頃の新東宝の主力俳優は、若山富三郎、宇津井健、菅原文太、丹波哲郎、天知茂、高島忠夫、吉田輝雄……(順不同)
この方々に共通しているのは、モノマネなどでいじられやすい、つまりケレンのかかった芝居をする人が多いですね。
その原点は、新東宝のオーバーで扇情的な路線にあったのだろうとおもいます。
一方、女優陣は、左幸子、高倉みゆき、小畠絹子、池内淳子、久保菜穂子、大空真弓ら、後にテレビに移って活躍した大物のほか、前田通子、三原葉子、万里昌代といった、邦画史上に名を残す肉感派など、なかなか個性的な顔ぶれです。
三ツ矢歌子は、池内淳子、久保菜穂子と合わせて「新東宝現代劇の女優三羽烏」と呼ばれていたそうですが、このへんは1950年代の話で正直わかりません。
映画ファン 昭和33年8月号『窓』/①水野久美さん。東宝期待の新星。理知的な美貌と輝く瞳を持つ彼女は、俳優座に籍を置いて近代劇の基礎を勉強中 ②三ツ矢歌子さん。池内淳子さん 久保菜穂子さんと共に「新東宝現代劇の女優三羽烏」の一人。ふくよかな頬と愛らしい瞳が魅力。 pic.twitter.com/gnOznGyJkE
— 島倉千代菊 (@wataridori333) December 10, 2019
いずれにしても、このようなメンバーの中で主演女優として活躍した三ツ矢歌子は、まさにキラリと輝くスター女優の一人だったわけです。
「新東宝のマドンナとでも云うべき存在で、貴重な清純派として同社の倒産まで出演を続けた」(石井輝男映画魂 http://ishii-teruo-eigatamashii.blogspot.com/2010/03/blog-post_24.html より)といいます。
新東宝時代の三ツ矢歌子(http://ishii-teruo-eigatamashii.blogspot.com/2010/03/blog-post_24.html より)
その後、結局新東宝はつぶれ、三ツ矢歌子さんは小野田嘉幹監督と結婚。
テレビに活躍の場を移し、いわゆるよろめきドラマなどに出演していましたが、私が印象深いのは、石立鉄男主演ドラマシリーズの最終作、『気まぐれ本格派』です。
気まぐれ本格派
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— ベストフィールド (@BF_yomigaeru) September 4, 2019
“笑いの中の涙と人情”が爽やかに描かれた、昭和の古き良き時代を思い起こさせてくれるストーリー
石立ドラマ第7弾が、放送から40年以上の時を経て、HDリマスターからの初Blu-ray化!
『気まぐれ本格派』Blu-rayhttps://t.co/Q7g7LQDuD8 pic.twitter.com/1JQMw5Qyy3
『気まぐれ本格派(1977年10月26日~1978年9月20日、ユニオン映画/NTV)』は、松木ひろし脚本、石立鉄男主演のコンビで作られたユニオン映画制作ドラマの第7作目であり、最終作品です。
石立鉄男が企画から入った同作のモデルは、無法松の一生でした。
荒くれ者で不器用、しかし美しい心根を持った人力車夫・富島松五郎(通称無法松)が、友人の遺族である夫人と息子のために尽くす純愛話です。
荒くれ者が純愛で生涯を捧げるのですから、夫人はそれはもう可憐な女性なのです。
何度も映画、テレビドラマ化されています。
私はまだ行ったことがないのですが、北九州市小倉区には、無法松の碑が建てられたそうですね。
さて、『気まぐれ本格派』は、「人力車夫」を「三等航海士」に、「友人の遺族」は「実兄の妻」という設定に直しました。
もちろん、「三等航海士」は石立鉄男で、「実兄の妻」が三ツ矢歌子です。
もっとも、時は1970年代後半ですから、初出が1940年代の映画と同じ純愛では通りにくいので、エピソードを足しています。
三ツ矢歌子の息子(吉田友紀)は、実は別の男(根上淳)に騙されて生んだ子供であり、実兄(山本學)は死のうとした三ツ矢歌子を、お腹の子供ごと引き取ったという設定です。
事情を知る近所の獣医(中条静夫)からそれを聞かされる石立鉄男
三ツ矢歌子をお腹の子供ごと引き取り、親の代から続いている儲けの薄い貸衣装店を必死に守っている山本學の優しさと強さを初めて知り、そして三ツ矢歌子の美しさ・けなげさに惹かれ、石立鉄男は船に乗るのをやめて、貸衣装店を手伝い三ツ矢歌子と吉田友紀の母子を支えるというストーリーです。
ま、無法松がモデルですから、石立鉄男と三ツ矢歌子は結ばれないんだろうなあということはなんとなくわかりましたが、三ツ矢歌子は近所の獣医の中条静夫と結ばれ、石立鉄男は最終回で船乗りに戻っていきます。
#神前結婚記念日
— jun (@jun_lmhs) July 21, 2019
「気まぐれ本格派」石立鉄男、中条静夫、三ツ矢歌子 pic.twitter.com/VsxYdzgryF
本作はマニアの間でも評価がわかれますが(私は高い評価をしていますが)、マドンナ役で出演していた三ツ矢歌子さんについては概ね好評でした。
犬塚弘さんと江戸のキラリと光る町人夫婦
三ツ矢歌子さんの最後の仕事は、これまた遺作となった山村聰さんの演出で、昨日、ご紹介した犬塚弘さんとの舞台でした。
舞台は江戸で、犬塚弘のペーソスと、三ツ矢歌子のくったくのない笑顔が印象に残るのですが、タイトルを失念してしまいました。
……ということを以前も書いたのですが、今回またしてもタイトルを思い出せませんでした。
これはまた宿題ということで、次の機会にご紹介したいと思います。
それと、夫の小野田嘉幹監督は2013年夏の『週刊新潮』で、一文無しで生活保護を受けながら四畳一間のアパート住まい。映画を撮って借金を返したいが、歩くこともままならない、という記事が出て話題になりました。
続報がないのですが、お元気なのか気になります。
三ツ矢歌子さん、覚えていらっしゃいますか。
桜は二度咲いた―肺がんと闘い、逝った女優・三ツ矢歌子 三回忌を前に妻の闘病生活と死の真実を今、夫が苦悩とともに赤裸々に明かす! - 小野田 嘉幹
週刊実話49 昭和35年12月5日号 表紙:三ツ矢歌子
気まぐれ本格派 コンプリートDVD-BOX(10枚組) [DVD]
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2012/02/24
- メディア: DVD
事件を起こした息子さんが元気なら、自分の父親の面倒は見るべきです。
義妹の久我美子さんとの交流はなかったのでしょうか。
考えさせられます。
by skeptics (2020-03-24 15:39)
↑
有名人の親戚同士は、プライドも相互尊重の気持ちもあるので、生活が苦しいとか連絡はしないと思います。
三ツ矢歌子さんは、映画時代から綺麗な方でしたな。
by おっつぁん (2020-03-24 16:19)
綺麗な方でしたね。
ただ、三ツ矢と言うとサイダーを思い出してしまいます。
by ヨッシーパパ (2020-03-24 17:54)
こんにちは。
「新東宝時代の三ツ矢歌子」さんお綺麗ですね。
当時のメイクと思いますが、目元が浅丘ルリ子風?です。
三ツ矢歌子さん、晩年のおばさん役?の記憶あります!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2020-03-24 19:00)
きれいなお母さん役が印象です。
こんなお母さんが欲しいと思ったこともありましたね(^o^)
by KINYAN (2020-03-24 19:07)
セピア写真の水野久美が好みだ(笑)
by pn (2020-03-24 21:02)
三ツ矢歌子さん、亡くなられてもう17周忌になるんですね。
声がとても印象的でした。
by Rinko (2020-03-25 07:54)
長女へのお祝いコメント、ありがとうございました!!
by Rinko (2020-03-25 07:54)
三ツ矢歌子さん、今の年代では誰にも該当しない気品がありますね。現在の女優さんはバラエティ番組出演の影響か、みんなキャピキャピしていて気品がないですね。
by kou (2020-03-25 07:58)
新東宝の三ツ矢歌子は幼い頃ファンだった女優で大映の若尾文子、東映の花園ひろみと並んでよく覚えています。三ツ矢歌子は私にとってはややエロチックな存在で天知茂に乱暴されたりする場面が悩ましかった(苦笑)後にテレビで活躍されてたのを観てその初々しさに驚かされたほどです。
by 扶侶夢 (2020-03-25 13:12)
コメントありがとうございます。
息子さんは三ツ矢真之さんですよね。
「三ツ矢」を名乗ってお父さんの映画の上映会などをされているので、何かあれば発表されるだろうと思います。
by いっぷく (2020-03-25 14:35)
17回忌ですか、時間が経つのが早くかんじられます。543768
by mau (2020-03-25 22:48)