今日は、宮史郎さん(1943年1月17日~2012年11月19日)の命日です。兄の宮五郎さん、キャバレー歌手仲間だった並木ひろしさんとぴんからトリオを結成し、リードボーカルとして発表した『女のみち』が歴史的な大ヒットを記録。歌謡史にその名前を残しました。
昭和40年代のお笑いは、しゃべり一本の正統漫才・コントのほかに、楽器を使った演奏や、歌をネタに用いた、コミックバンドや音曲漫才・コントなどのコンビやグループが活躍していました。
もちろん、その多くは音楽に心得のある、キャバレー歌手、バンド、コーラスグループなどの出身者でしたが、ぴんからトリオの場合は、キャバレー歌手出身でした。
そのコミックバンドや音曲漫才・コントなどが、寄席やテレビで名前が売れると、今度は“本職”の歌をリリースするようになりました。
ぴんからトリオのほかには、たとえばミュージカルぼーいずというトリオや、殿さまキングスなども同時期に出していました。
ミュージカルぼーいずは、グループとしてはそれほど当たらなかったと思いますが、のちに再編成された中小企業楽団バラクーダというコンビで『日本全国酒飲み音頭』(約72万枚)をヒットさせましたし、殿さまキングスは、『なみだの操』(約250万枚)や『夫婦鏡』(約150万枚)が有名です。
「酒が飲める、酒が飲める、酒が飲めるぞ」という歌です
もちろん、それらもかなり誇れる実績ですが、ぴんからトリオの『女のみち』は、なんと420万枚という桁外れのセールスを叩き出しました。
なにしろ、3ヶ月1度は新曲がリリースされる時代に、オリコンの年間シングル売り上げ枚数が2年連続第1位だったのですから、いかに
ベストセラーかつロングセラーだったかがわかります。
その後、「トリオ」のひとりだった並木ひろしが抜けますが、ぴんから兄弟になっても、続いて発売された『女のねがい』が170万枚、『女のゆめ』も80万枚売れています。
いったいぴんから兄弟で、いくら稼いだんだろうなんて思っちゃいます。
『歌謡曲だよ、人生は』
『
歌謡曲だよ、人生は』(2007年、ザナドゥー)は、以前もご紹介した映画です。
1960~70年代のヒット曲をモチーフにした、オムニバス形式の10編のドラマで構成されています。
オープニング……ダンシング・セブンティーン(オックス)
第1話…… 僕は泣いちっち(守屋浩)青木崇高、伴杏里、六平直政、下元史朗
第2話…… これが青春だ (布施明)松尾諭、加藤理恵、U.K.、池田貴美子、徳井優、田中要次
第3話…… 小指の想い出 (伊東ゆかり)大杉漣、高松いく、中山卓也
第4話…… ラブユー東京 (黒沢明とロス・プリモス)正名僕蔵、本田大輔、千崎若菜
第5話…… 女のみち (宮史郎)宮史郎、久野雅弘、板谷由夏
第6話…… ざんげの値打ちもない(北原ミレイ)余貴美子、山路和弘、吉高由里子、山根和馬
第7話…… いとしのマックス/マックス・ア・ゴーゴー(荒木一郎)武田真治、インリン・オブ・ジョイトイ、久保麻衣子、矢沢心、希和、長井秀和
第8話…… 乙女のワルツ (伊藤咲子)マモル・マヌー、内田朝陽、高橋真唯、梅沢昌代、山下敦弘、エディ藩、鈴木ヒロミツ
第9話…… 逢いたくて逢いたくて (園まり)妻夫木聡、伊藤歩、ベンガル、江口のりこ、堺沢隆史、寺部智英、小林トシ江
第10話…… みんな夢の中 (高田恭子) 高橋恵子、烏丸せつこ、松金よね子、キムラ緑子、田山涼成、本田博太郎、鈴木ヒロミツ、北見敏之、村松利史
エンディング……東京ラプソディ(渥美二郎、オリジナル:藤山一郎)瀬戸朝香、田口浩正、中村咲哉
出演者は、名前の売れた方もずいぶん出演されていますが、正直なところ、1つ1つの作品はほとんどおもしろくありませんでした。
ただ、その中で、宮史郎自身が主演の『女のみち』だけは、シンプルなストリーで気分良く観ることができました。
あらすじ
銭湯のサウナ室で、若い男(久野雅弘)がそろそろ出ようかと思っていたところに、彫り物をした宮史郎が入っています。
宮史郎が、『女のみち』を諳んじ始めましたが、「すがって泣いた」の後の歌詞が出てきません。
そこで、男(久野雅弘)を脅しながら歌詞を思い出させようとしますが、歌がリリースされた頃、生まれてもいない男がスラスラ歌える歌ではありません。
男は、外に出て聞いたらどうかと言いますが、宮史郎は、外に出るとテンションが下がって歌いたくなくなるから、この状態で思い出して歌いたいと駄々をこねます。
そこで男は、だったら自分が外に出て聞いてくる、というと、「あかん、お前は逃げそうやから行かせん」と、それも拒否します。
そのうち、宮史郎は放屁をして、それをもろに受けた男が、「うっぷ」と口を抑えたので、宮史郎はそこから「ウブな私が……」という歌詞を思い出します。このへんは少し強引かな(笑)
クライマックスシーンは、銭湯の客の前で、歌詞を思い出した宮史郎がフルコーラス歌い、拍手喝采されます。
まさに音楽コントです。
シンプル・イズ・ベスト
ね、どうってことないストーリーなんです。
でも、それで1つのドラマを作り上げるのは、宮史郎が巧かったのだと思います。
考えてみれば、『女のみち』もシンプルな歌詞と曲調です。
だからこそ、老若男女が気軽に口ずさめ、多くの人の心をつかんだのかもしれません。
私も、久しぶりにこの歌を聴いて、不思議と元気が出てきました。
リアル世代のみなさん、『女のみち』、歌えますか。
※劇中画像は以下のDVDから
歌謡曲だよ、人生は [DVD]
女のみち
宮史郎全曲集 女のみち
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2012/10/17
- メディア: CD
殿さまキングスとごっちゃになっているかもしれないが多分歌えると思う。けど岸壁の母を歌っていると途中から花街の母になるからあんま自信無い(^_^;)
by pn (2019-11-19 13:24)
この顔は絶対忘れえぬ方ですね。紅白にも出場されていて見たことあります。
by ヤマカゼ (2019-11-19 17:36)
お笑い芸人みたいな、演歌の上手な人でしたね。
by ヨッシーパパ (2019-11-19 18:27)
ぴんからトリオ、女のみち、キャバレー等々懐かしいですね。
by たいちさん (2019-11-19 18:43)
こんにちは。
ぴんからトリオ「女のみち」、記憶定かでないですが・・・
大晦日の紅白で初めて聴き、それから大ヒットした記憶あり?
シンプルで「これぞ演歌」な感じです。
今聞いても意味深な歌詞ですね!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2019-11-19 22:41)
全員集合で
加藤茶さんが警官の格好で
女の道を歌いながら自転車に乗ってくる
ギャグを思い浮かべます
by gardenwalker (2019-11-19 22:43)
ぴんからは、トリオの時はあまり知らず兄弟になってからの方が知っています。
でも、女のみちは知っていますが。
あと、殿さまキングスも懐かしいな(^^)
by なかちゃん (2019-11-20 07:08)
ぴんからトリオの『女のみち』は小さい頃に聞いただけなのに、なんとな~く口ずさめるというのは、やっぱり「シンプル」だからでしょうね~^^
by Rinko (2019-11-20 08:30)
歌だけでなく、声や風貌も忘れられませんね
by 犬眉母 (2019-11-20 14:35)
若い頃は、演歌が嫌いで
なぜ売れるのかわかりませんでした。
by そらへい (2019-11-20 21:19)
流行りましたねぇ、久しぶりにカラオケで歌ってみたくなりました
by よいこ (2019-11-20 21:25)