『いちばんやさしい新しいSEOの教本』(安川洋、江沢真紀、村山佑介著、インプレスジャパン)を読みました。SEO(Search Engine Optimization)については様々な意見や情報がありますが、企業コンサルを行っている著者が、1つのテーマについて2~3ページごとにまとめて解説しています。
このブログはSEOについて、2013年1月22日に書いた『
GoogleのSEO対策をso-netブログ当てはめ解読する!』以来、関連書籍のレビューや、Googleのリリース・アルゴリズムの変更など何度か記事にしてきました。
それに対して、「自分のブログは、会社や商店などの公式サイトのようにビジネス用途で開設しているわけではないから、いちいちSEOなんて気にする必要はない!」と思った方もおられるかもしれません。
もとより、SEOというのは、本格的にのめり込んだらキリがなくなってしまいます。
プロセスが詳らかになっているわけではない検索順位決定システムを、こうではないかと推理して、トライ・アンド・エラーを積み重ねながら対策していくものですから。
ただ、たとえ個人の趣味ブログであっても、検索エンジンに、自分のサイト(ブログ)の内容をきちんと認識してもらうための身だしなみと考えれば、実際にどこまで対策するかはともかくとしても、現在までおおむねわかっている初歩的なSEOの対策について知っておくこと自体は無意味ではないと思います。
SEOの基本は「自分のサイトを客観的に知る」ことです。
そこで、関連書籍には、必ずと言っていいほど、アクセス解析ソフトについての詳しい使い方がレクチャーされています。
So-netブログにも、アクセス解析機能は用意されています。
たとえば、その日のアクセス者は何人だとか、閲覧者はどんな文字列で検索してアクセスしているか、といったことがわかるようになっています。
SEO関連書籍は、そうしたデータをいかに解釈し、どう分析したらいいのか、という説明が書かれているわけです。
コンテンツ重視でもテクニックは無視できない
最近のSEOは、コンテンツSEOといって、検索エンジンに評価されるための雑多なテクニックよりも、記事内容を充実させることが何より肝要だという意見もあります。
検索エンジンが高性能化したことで、もう検索エンジンには“見せかけ”のテクニックなんて通用しないんだよ、というのです。
このブログでも、『
究極の内部対策 WebコンテンツSEO』や、『
SEOに効く!Webサイトの文章作成術』といった、コンテンツSEO派の書籍をご紹介したこともあります。
記事内容を充実させよという意見に、もちろん異論はありません。
それは当然のことです。
ただ、現在の検索エンジンは、まだ文芸的な評価はできません。
名文、名作が「良いコンテンツ」として評価されるだけのレベルにはきていないということです。
それに、順位をつける基準にはある程度明らかになっているルールがありますから、それに沿って記事を作っていく対策は必要だと思います。
つまり、よいコンテンツを作るということとと同時に、それをいかに検索エンジンに理解してもらうかというテクニックも大切だということです。
たとえば、ある映画やドラマなどについて、どんなに優れたレビューを書いたとしても、記事のタイトルにその作品名と無関係な文字列を入れてしまったら、作品名を入れた記事よりも下位表示される可能性は高くなります。
それは、タイトルには(その記事の)キーワードを入れるのが、SEOの基本中の基本対策だからです。
SEOは今現在でも、テクニックが求められる現象が存在しているのです。
初心者向けというより実践的書籍
『いちばんやさしい新しいSEOの教本』は、アユダンテというSEOコンサル会社の方々3名によって執筆された書籍です。
初心者がぜひ知っておいたほうがいい内容がたくさん含まれています。
たとえば、webマスターツールの使いかたについて書かれているLesson08、66、67など、検索1回にかかる経費(約2円)の試算をしながら、なぜ検索結果が重要なのかを説明するLesson54、不動産業のようにキーワードによる差別化がむずかしい業種も含めた業種別SEOを指南するLesson23~31、URLを変更したりコンテンツの重複があったりなど技術的な問題にどう対応するかを解説したLesson53~63などです。
ただ、有意義なことがたくさん書かれていると思いますが、「いちばんやさしい」とタイトルに書かれていることについては、う~ん。
私は、SEO関連図書をずいぶん読んでいると自分で思っていますが、正直、同書は1回読んでもパッと頭には入りませんでした。
Lesson01で、いきなり「SEOについて正しい理解を持ちましょう」というタイトルで、誤解されがちなことから書かれているのですが、構成としてどうなのかなと思います。
これは初心者をターゲットにした書き方ではないでしょう。
初心者は、誤解も何も、SEOについて知識がないわけですから、もっとオーソドックスに、SEOの対策で検索順位があがる、というところから説明したほうがよかったと思います。
初心者が一から学ぶ書籍というより、前置きなしでより実践的にレクチャーしますよ、ということなのでしょう。
あとは、企業・商店の公式サイトを念頭に置いているのか、アフィリエイターのサイトやブログを対象としているのか、そのへんが曖昧な気がしました。
たとえば、Lesson22では、「サイト構成はキーワードから考えましょう」とあります。
これ自体には反対ではないのですが、企業・商店の公式サイトと、アフィリエイターのサイトやブログとでは、キーワードをどのようにコンテンツ作りに活かすかについては若干違いがあると思うのです。
具体的に書くと、デキるアフィリエイターは、キーワードをそのまま使うのではなく、そのキーワードで検索するに至った検索者のニーズを忖度して記事構成を考えるので、単純に人気キーワードが入るだけのページとは限らないのです。
同書はおそらく、前者を対象としているのでしょう。
というのが同書についての私の感想です。とくにビジネス用途でサイト運営をされる方は、SEOのリファレンスマニュアルとして、読まれることをお勧めします。
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