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昭和歌謡がブームというがその定義は?真相は?平成の楽しみ方は? [芸能]

昭和歌謡がブームなのだそうです。『女性自身』(7月22日号)では、『人の数だけ「昭和歌謡」はあるんです』というタイトルの記事を掲載。1970年~1989年のオリコン売上ベストテンから200曲を選び、35歳~65歳の女性300人に3曲選んでもらうアンケート調査した結果を発表しています。

女性自身・昭和歌謡.png

ところで、昭和歌謡とはなんでしょうか


昭和歌謡とは、1945年から1989年までの昭和時代に発表された日本のポピュラー音楽のことを指します。この時代は、日本が戦後復興期に入り、経済発展を遂げた時期でもありました。

昭和歌謡は、歌詞が日本語であり、日本の民衆文化や風俗を反映しています。この時代の歌謡曲は、アイドル歌手や演歌歌手が多数活躍し、大衆音楽として親しまれました。代表的なアイドル歌手には、美空ひばりや森昌子、演歌歌手には、石川さゆりや三波春夫などがいます。

また、昭和歌謡は、西洋音楽やラテン音楽などの海外の音楽からの影響も受けています。そのため、ビートルズやエルビス・プレスリーなどのロックやポップスの影響を受けた楽曲も多数存在しました。

昭和歌謡は、時代を象徴する音楽として、今もなお多くの人々に愛され、カラオケなどで歌われることも多いジャンルです。

Googleで「昭和歌謡」と検索すると約907,000件も出てきます。

サジェストキーワード(グーグルが自動的に表示する複合検索のキーワード)として、「昭和歌謡大全集」(約536,000件)「昭和歌謡 歌詞」(約353,000件)「昭和歌謡レコード買い取り」(約58,800件)「昭和歌謡 アイドル」(約474,000件)などが表示されます。

私も「昭和○○」の世界に関心を持っているつもりです。

昭和の映画、昭和のドラマ、昭和プロレス……。

しかし、「昭和歌謡」がそんなにブームだとは、恥ずかしながら知りませんでした。

音楽評論家の富澤一誠氏が昨年監修した5枚組CD『大人の歌謡曲』は、通販限定(1万800円)にもかかわらず2万セットを超すセールスを記録。『「大人の歌謡曲」公式ガイドブック』(言視舎)まで急遽上梓されたと記事には書かれています。

昭和歌謡とは幅広いジャンル


「昭和歌謡」といいますが、「歌謡」に限らず、「昭和○○」の指すものは、たいてい、1945年より前は含まれません。

憲法も文化も違う戦前は、もはやひとくくりにはできないということでしょうか。

たいていは、高度経済成長の60年代、もしくはそこから陰りが出てきた70年代あたりからとなっています。

記事によると、「昭和歌謡」とはこう定義されています。
「『昭和歌謡』という名称は10年ほど前に、60年代から70年代にかけて、演歌に対抗して生まれた邦楽ポップスをイメージして生まれたもの。今回のアンケートでいえば尾崎紀世彦、ちあきなおみ、布施明、ヒデとロザンナ、小柳ルミ子あたりでしょうか。でも、音楽の境目はもともとあいまいですから、今ではJ-POP初期の曲まで、幅広く昭和歌謡と呼ばれています」(富澤一誠)
当時の歌番組で歌われていたもののなかで、演歌はのぞくそうです。

でも私の認識では、歌謡曲という言葉は本来、ポピュラー音楽のほとんど全てを含むと考えていたので、これはちょっと意外でした。

だって、当時の「歌謡○○」とついた歌番組で、別に「演歌は別枠」と思ってみていた人はいないでしょう。

森昌子も八代亜紀も五木ひろしも森進一も松田聖子も殿さまキングスも小泉今日子も西川峰子もゴダイゴもサザンオールスターズもピンクレディーも、みんな同じ番組に出てほぼ同じ時間をもらって持ち歌を歌っていたわけです。

八代亜紀

そこから今になって演歌だけを除く「新ジャンル」に何の意味があるのでしょうか。

富澤一誠氏によると、昭和歌謡は、「60年代半ば~70年代初期」「70年代半ば~70年代末」「70年代末~80年代はじめ」「80年代半ば~80年代後半」「80年代後半~」という区分ができるそうです。

これは、ポップス、フォークソング、ニューミュージック、アイドル、バンドブームという当時の流行を見た分け方です。

人によっては、85年を「85年代」と、80年台前半のアイドル時代とは分ける人もいますけどね。そう、おニャン子クラブが異常に売れた時ですが……。

で、順位は?


そんな前置きはともかく、順位の方は、「意外」(富澤一誠氏)な歌が1位に入っています。

ネタバレになるので書きませんが、ベスト10入りした歌手を順不同で挙げておくと、五輪真弓、イルカ、オフコース、風、久保田早紀、小林明子、プリンセス・プリンセス、松任谷由実……。

1970年代、80年代、90年代、そして21世紀と、40年にわたってオリコンベスト10に入った中島みゆきが入っていません。ちょっと不自然ですね。

それだけではありません。

記事のベスト200を見ると、前述のような定義であることから演歌がそっくり抜けているのはもちろん、かつてブームだったGS(グループサウンズ)、さらにはムード歌謡も一切入っていません。

ブルコメ.jpeg

ムード歌謡というのは、ボーカルが1人か2人いて、その後ろでコーラスが「ワワワワー」というグループのことです。

内山田洋とクールファイブとか、鶴岡雅義と東京ロマンチカとか、黒沢明とロス・プリモスとか、そういう人たちのことです。

内山田洋とクールファイブ.jpg

演歌やムード歌謡を「昭和歌謡」から“ガイにした”のは、それらが男の世界で、女性相手には商売にならない、からではないかと私は考えています。

要するに「昭和歌謡」なる定義は、純然たる歌謡史上の歌という意味よりも、商業的(ターゲットは女性)な意味合いが強い「ジャンル」という気がします。

私はムード歌謡が好きなので、正直、興ざめですね。残念でした。

まとめ


いずれにしても、本来、歌にしても歌手にしても、その時代の価値観の象徴です。

もちろん、時代を超えた普遍的な魅力もあるでしょうが、過去の歌が蒸し返されるように“ブーム”にまでなってしまうというのは、歌謡曲や歌謡番組を失った平成時代の不幸という見方もできるでしょう。

仕事を終えて帰宅し、『ザ・ベストテン』でご贔屓の歌手の順位に一喜一憂する。

そういう生活とともに、当時の自分も思い出しているのかもしれません。

たんなる懐古ではなく、ルネサンスとしての何かが生まれるといいですね。

女性自身 2014年 7/22号 [雑誌]

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