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『SEOに効く!Webサイトの文章作成術』は本当にSEOに効くの? [パソコン・ネット]

『SEOに効く!Webサイトの文章作成術』(ふくだくみこ著、鈴木将司監修、C&R研究所)という書籍を読みました。SEOを標榜するもっとも新しい書籍なので、なにか新しい情報でも出ているかなと期待したのですが、そもそもSEOの書籍といえるのか、という点で懐疑的な読後感が残りました。

SEOの書籍といえば、全日本SEO協会代表理事・鈴木将司氏が必ず監修していますね。



「私たちがSEO対策します。するとグーグルは、SEO対策対策してきます。ですから私たちは、SEO対策対策対策しなくちゃいけないんです」

あの独自の鈴木節。その真偽に関わらず聞きたくなってしまうのは、鈴木将司氏が自らのブランディングに成功したということなんでしょう。

さて、今回の『SEOに効く!Webサイトの文章作成術』。ネットを使った販売戦略が成功している商店や企業の具体的なテクニックを紹介しながら、Webライティングの指導を行っている著者が、買いたくなる文章の書き方を指南する、という構成です。

seo

たとえば、ベネッセコーポレーションが「複合キーワードでロングテールSEOを実践」していることや、ハンコヤドットコムが「専門サイト化でビッグキーワードを攻略した」ことなど、企業・商店のSEO戦略が書かれています。

ただ、そこから具体的なロングテール戦略についての解説やノウハウ指南をしているわけではなく、後半は著者の本職のWebライティングの話にうつっています。

「文章の書き方」の指南自体は真面目で役に立ちますが、わざわざ「SEOに効く!」とタイトルにつけるのはどうなのかなと思います。

SEOというのは、その良し悪し評価にかかわらずシステマティックなテクニックです。

たとえば、キーワードを文中のどこにどれぐらいの割合で入れるとか、H1タグをどう使うかとか、ライバルサイトの被リンクはどうやって調べるとか……。

Google検索エンジンがサイトを評価するであろう点について、そこをちゃんとやろうよ、という話です。

せっかくロングテール戦略の話が出ているのですから、アクセス解析のどこを見てどういう記事を作ってという指南こそが、SEOを標榜する文章指導のはずです。

しかし、著者のライティング指導は、直接検索エンジン対策となるものではなく、飽くまでも人間(閲覧者)が対象です。

どうすればそのサイトを読んだ人が購入する気になれるか、というライティングのノウハウが中心になっています。

たとえば、SEOらしい「グーグルが好むタグ、嫌うタグ」という解説は、同書の中ほどに2ページだけしか書かれていません。

キーワードの選び方も一応書かれてはいるのですが、ネットを検索すれば出てくるレベルの話ばかりで、とくに目新しさはありません。

わかりやすく言い換えますと、本来のSEOといわれるものは、「検索エンジンが高い評価をつける書き方」を目指します。

ところが、同書は「閲覧者を惹きつける書き方」に眼目が置かれています。

狙ってるところが全く違うんですね。

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SEOとライティングをつなげる説明を


例をあげますと、同書では、映画の感想に「感動した」という主観を書いてもダメだと指摘しています。

「手にハンカチを握り、何度も何度も目にハンカチをあてました」と書いたほうが、読む者は感情移入しやすいというのです。

まあ、たしかにそうかもしれませんが、その話はあくまでも読む人にウケる書き方であって、SEO上の改善ではないんですね。

検索エンジンのロボットはどう書こうが感情移入はしません。

ただ、それによってサイトが多くの支持者を集めて閲覧数が増えることで、結果的に検索エンジンもそのサイトを高く評価することはあり得ます。

そのへんを説明しないと、「SEO」と「ライティング」はなぜつながるのかがわかりません。

このブログでは、6月5日に『究極の内部対策 WebコンテンツSEO』という書籍について書きました。

やはり鈴木将司氏が監修をつとめている、「コンテンツSEO」を標榜する書籍でした。

本来、「コンテンツの充実」と「SEOテクニック」は別の話のはずですが、同書はちゃんと冒頭に、コンテンツの充実は、SEOのひとつの対策である「内部最適化」や、アクセス増による検索エンジンの評価の高まりにつながることを説明しています。

ですから、読んでいてもすんなり納得出来ました。

しかし、今回の書籍は、そのへんの結びつきについての説明がスムーズに行われていないように思われます。

SEOとネット集客とコピーライティングが強引に雑居しているようなイメージですね。渾然一体としていないのです。

ですから、SEOテクニックを期待して書籍を読んだ人は、もしかしたらがっかりするかもしれません。

著者のふくだくみこさんのWebライティングの手練れを否定しているわけではありません。

最初から、アクセスアップ、閲覧者に読まれるコンテンツ作り、と狙いを絞って書籍を作るべきだったのでは?と私は思ったということです。

SEOに効く! Webサイトの文章作成術

SEOに効く! Webサイトの文章作成術

  • 作者: ふくだ たみこ
  • 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
  • 発売日: 2014/02/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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