SSブログ

『サプリメントの正体』が語る「人毛で作ったサプリ」 [健康]

『サプリメントの正体』(東洋経済新報社)という書籍を読みました。著者の田村忠司氏は、医療機関に提供するサプリメントメーカーの代表です。といっても、タイトルの通り、サプリメントの宣伝ではなく、市販されているサプリメントには危ないものがある、といいます。2兆円ともいわれるサプリメント市場を揺るがす警告の書です。



『サプリメントの正体』には、「まえがき」から「あぶないサプリメント」の例を挙げています。

・有効成分(栄養素)は1%未満、あとの99%は添加物
・その成分量は普通に食事をすれば、摂れる程度のものである
・栄養素の原料として、中国人の人毛が使われている
・飲み続けると、アレルギーを発症する可能性がある
・価格に見合った効果が得られない
・「○○伝来の秘薬」には、科学的根拠(エビデンス)が希薄なものが多数


同書によると、市販されているサプリメントの中にはこのようなものが多くあるといいます。

サプリメントについては、日頃から、

「必要なものは医師に処方してもらえばいい」

「普通に食事をすれば摂れる栄養素はサプリメントで摂る必要はない」

と、サプリメントを否定している「科学的」な人たちもいるのですが、私はその意見には賛成できません。

何らかの事情で「普通」に足りない、もしくは過剰な人が、ではそれをどうやって補おうかという手段としてサプリメントがあるのです。

「普通」じゃない人が、「普通の人」になるための対策を考えている時に、「普通の人はこうだから」と居丈高に叱りとばしても、何の解決にもなりませんよね。

家庭にある絆創膏や常備薬と同じで、補助的に利用することは、国家の医療費を抑えることにもなるでしょう。

ただ、上記のような問題あるサプリメントについては、やはり手を出さないほうがいいと思います。

そのために、具体的にどういうものがあるのかを同書を手にとって確認されるといいでしょう。

妊婦に葉酸サプリメントは「定番」ではなかった!


たとえば田村忠司氏は、流行している「酵素ドリンク」を「意味をなさない」といいます。

酵素は経口摂取しても、胃酸で分解されてアミノ酸がつながったペプチドになってしまうからだそうです。

アミノ酸なら、肉や魚を食べていればいいわけです。

そもそも人間の体は酵素を3000種類作っており、たとえば酵素の一種である消化液だけでも1日7リットルも生成。経口摂取の酵素サプリメントがかりに体内で働けたとしても、とてもコップ1杯ぐらいで足りるものではないといいます。

ただし、全面否定ではなく、消化力の弱い人が「消化酵素」で補う摂取なら有用としています。

妊婦が推奨されている葉酸サプリメントは、99.9%が添加物だそうです。乳糖やショ糖脂肪酸エステルなど、味や形を整えるための材料がほとんどというのです。

葉酸自体は水溶性だから、多少摂りすぎても排尿によって体内には残りませんが、添加物についてはその限りではありません。

厚生労働省は2006年2月、「妊産婦のための食生活指針」という報告書を発表しています。

妊娠可能な年齢の女性(18~49歳)は1日あたり240μgの葉酸摂取を、妊娠した場合にはそれに200μgを加えた質量(440μg)を推奨しており、そのための具体的な副菜メニューを示しています。

つまり、サプリメントなしでも葉酸を摂れるような指導は行っているわけです。

そして、乳糖はアレルギーの原因になると指摘しています。

乳糖不耐症。日本人には多いそうですね。

乳製品の発がん性を主張する人は、乳脂肪と乳糖がその原因だといいます。

>>牛乳論争の戦後史

葉酸にかぎらず、多くのサプリメントの賦形剤として乳糖は使われています。

中国人の人毛で作られたアミノ酸系サプリメントも


女性自身・中国人サプリ.png

書店にはもう売られていないと思いますが、先週号の『女性自身』(12月17日号)にはサプリメントに関する記事で田村忠司氏がコメントしています。

アミノ酸のサプリメントには4,中国人の人毛由来のものがあるというのです。
「サプリメント製造の企画書に『原産地・中国』『原料起源・人毛』と明記されているケースも実際にあります。
 原料が人毛なんて気持ち悪いと思われるでしょうが、そうした感覚的な問題以上に安全面が懸念されます。髪の毛には水銀やヒ素などの有害重金属が含まれているからです。魚などの食品には、微量ながら有害重金属が含まれます。これらは便や尿のほか、髪の毛からも排出されます。
 そんな髪の毛を摂取するのは、人体が排出した有害物質をわざわざまた、口に入れることになります。
 現在、中国は大気汚染や水質汚染が深刻です。そこに暮らす人々の髪の毛を原料にするなら、有害な物質が含まれていないか厳しくチェックされなければ不安です。
 こうした視点からも、あまりにも価格が安いアミノ酸のサプリは避けたほうがいいと思います」
「アミノ酸のサプリ」。スポーツドリンクなども含まれるのでしょうか。

詳しくは同書でご確認ください。

同書には他にも、ウコン、ごま、グルコサミン、酢、ヒアルロン酸、カルシウム、プラセンタ、コエンザイムQ10、マカ、青汁など、最近の市場に定着したサプリメントの真相が書かれています。

また、眼精疲労、男性機能、ストレス解消などの最新サプリメント事情も詳しい。

摂取することで逆に健康被害を受けないために、サプリメントのどのような点に注意したらいいか、お悩み別栄養素の摂り方などもわかりやすく書かれています。

サプリメントを利用する機会が多い方は、お手元に一冊用意されたほうがいいかもしれません。

サプリメントの正体

サプリメントの正体

  • 作者: 田村 忠司
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2013/09/20
  • メディア: 単行本


nice!(328) 
共通テーマ:学問

nice! 328

Facebook コメント