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男女7人秋物語、“理不尽”ストーリーとシャカタクのBGM再び [懐かし映画・ドラマ]

男女7人秋物語、“理不尽”ストーリーとシャカタクのBGM再び

男女7人秋物語といえば、鎌田敏夫脚本、明石家さんま&大竹しのぶによる大ヒットドラマ「男女7人夏物語」(1986年)の続編です。成瀬巳喜男作品をモデルとした男女7人秋物語は、観るものに理不尽と思わせる展開と、シャカタクによるBGMで独特のドラマに仕上がりました。あなたは「男女7人」といえば、夏物語と秋物語のどちらをまずイメージしますか。



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男女7人秋物語の舞台となった、国道駅の釣り船荒三丸(あらさんまる)を訪ねたことは以前書きました。

荒三丸の釣り船

荒三丸のお店

もっとも、放送されてから四半世紀たちましたから、ドラマ自体ご存じない方も多いと思います。

ということで、まず男女7人夏物語のあらすじを公式サイトと「テレビドラマデータベース」から引用します。
鎌田敏夫脚本、明石家さんま&大竹しのぶ共演による恋愛ドラマの傑作「男女7人夏物語」。男30歳、女27~28歳…なぜか人生定まらずに、未だに青春の名残を捨てきれずにいる男が3人、女が4人。大都会に生きる結婚適齢期の男女7人が、少々遅い青春を不器用にも懸命に生きていこうとする姿が感動を呼ぶ。(ホームドラマチャンネルより)
第4回ATP賞'87グランプリ受賞作品。「海外旅行添乗員の今井良介(明石家さんま)と商社マンの野上君章(奥田瑛二)、結婚式場に勤める大沢貞九郎(片岡鶴太郎)は大学時代のボクシング同好会の仲間。ふとしたことで知り合った女性グループ4人はフリーライターの神崎桃子(大竹しのぶ)とカストマディーラーの浅倉千明(池上季実子)、照明設計事務室勤務の沢田香里(賀来千香子)、野球場のウグイス嬢の椎名美和子(小川みどり)。男たちは30歳、女たちは二十代後半、青春の名残りを捨て切れない男女のラブストーリーは若い層を中心に圧倒的に支持された。(テレビドラマデータベースより)

「不器用にも懸命に生きていこうとする」「青春の名残りを捨て切れない」といった書き方がされていますが、私流に書き直すと、要するに異性に対する振る舞いがうまくいかない人たち、ということです。

ある人は、愛情の足りない両親に育てられたため、人を愛するということがわからない。

またある人は、好きになるとストップがきかない。

またある人は、単純にモテない。

たしかに、男女関係が上手でない人って、このいずれかに入りますよね(笑)

誰がどの役かは、作品でご確認ください。上記の俳優たちを知ってる人なら、だいたい想像できると思いますが。

何しろ、鎌田敏夫氏は、出演者たちと面談をしてキャラクターを設定。明石家さんまは脚本を絶賛して「ドキュメンタリー」といったとされるぐらいですから。

まあその7人がいろいろあって、今井良介(明石家さんま)&神崎桃子(大竹しのぶ)のカップルが出来てハッピーエンドかとおもいきや、桃子がマイケル・ジャクソンのルポを書きたいからと、結局アメリカに旅立って終わります。

半沢直樹と同じで、続編の道を残したわけですね。

そして続きが、今回の男女7人秋物語」です。

これから始まると言いながらも、四半世紀も前のドラマですでにストーリーはネットでさんざん書き尽くされていますから、いまさら「ネタバレ」呼ばわりなど気にせず書きます。

渡米した神崎桃子(大竹しのぶ)は、連絡を待つ今井良介(明石家さんま)に半年も連絡をせず。実は帰国して同棲していた。通勤のカーフェリーで偶然再会してそれを知った今井良介(明石家さんま)は、その後知り合った釣り船屋の娘・沖中美樹(岩崎宏美)と交際して立ち直ろうとするが、神崎桃子(大竹しのぶ)は今度は横恋慕。しかし、今井良介(明石家さんま)も神崎桃子(大竹しのぶ)を諦めきれなかったために、結局お互いの相手を捨てて元の鞘に収まるという、なんとも理不尽極まりない身勝手なストーリー(笑)です。

人気ドラマの「続編」ですと、“二匹目のドジョウ”狙いと揶揄されてしまうものですが、視聴率は初回の23.6%から1度も下がることなく回を追うごとに上昇。最終回は、「夏物語」(31.7%)を上回る36.6%に達しました。

このドラマを知っている人は、私と違い、「夏物語」の方が良かったという方が多いような気がします。

それでも数字は「秋物語」の方が高かったんですね。

さ、どうしてでしょうか。

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何より、神崎桃子(大竹しのぶ)が理不尽だからだと思います。もちろん、ドラマとしてはいい意味で。

恋人にアメリカに送り出してもらいながら、現地で別の男と親しくなり、自分の“捨てた”男が新たな出会いでやっと立ち直ろうとしているとき、またちょっかい出して元の鞘におさまる話なんて、もし当事者やその経緯を知っている人間だったら、そりゃ、ふざけんな、でしょう。

登場人物をそこまでわかりやすく「ひどいやつ」に落とすことで、見るものの多くは、理性や良心や優しさといった善意の気持ちを刺激され「許せん!」という気持ちになります。

一方では、やはり人間誰でも持っている脆弱で身勝手な気持ちから、むしろここまで「ひどいやつ」だと、逆に理解を示す気持ちにもなる人もいるようですね。

そこで、賛否が視聴者の間でアツい議論になり、話題と関心を呼んだのだと思います。

また、「夏物語」に比べて、人物の設定が落ち着いて現実に近くなっています。

たとえば職業。「夏物語」の為替ディーラー、商社マン、ウグイス嬢、テレビの音響係といった職業にかわって、「秋物語」は東京都職員(スポーツ振興)、プレイガイドチケット販売、風洞研究所の研究員と地味になっています。

「夏物語」では拗ねたピエロ役だった大沢貞九郎(片岡鶴太郎)が、「秋物語」ではずいぶん大人びて、神崎桃子(大竹しのぶ)の相談相手として貴重な役割を果たしています。

それと、個人的に印象深かったのは、シャカタクの音楽ですね。

私はドラマにBGMが流れると、自分の20代を思い出します。

まあ、四半世紀前ですから、今の暮らしや価値観とは微妙に違うと思いますが、ただ、異性を愛するというのは人間にとっては普遍的なテーマですから、今も十分に面白さは理解されるんじゃないかと思います。

この記事を12時15分以降にご覧になった方は、29(日) 後10:00から2度目の放送をご覧ください。

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  • 作者: 鎌田 敏夫
  • 出版社/メーカー: 立風書房
  • 発売日: 1987/12
  • メディア: 単行本



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