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昭和の名コンテンツDVDマガジン大特集 [芸能]

昭和の名コンテンツが、DVDマガジンにして販売されています。書籍のコードでDVDを発売するものです。お菓子の体裁で、オマケのおもちゃが実はメインの食玩のようなものです。「東京スポーツ」(9月10日付)によると、それらは出版業界不況の折、「出版社側からしてもキラーコンテンツ」といいます。

同紙の記事ではまず、『東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(講談社)と、担当者のコメントを紹介しています。
東スポ・昭和のDVD.png
「高度経済成長期の日本人のエネルギー源となった“笑いのパワー”を再び皆さんにお届けしたいと刊行したので、大変うれしいです。不安なことが多い今こそ、腹の底から笑っていただきたい」
 確かに、昭和30~40年代に国民を大いに笑わせたクレージーキャッツの映画や社長シリーズなどの「東宝喜劇シリーズ」を見れば元気百倍。このシリーズでは傑作50作品が“復活”し、誌面で展開される「笑いのツボ」 「昭和の喜劇人列伝」などの読み物も、読者の気持ちを盛り上げてくれる。

さらに、過去にヒットしたものや、現在発売中のDVDマガジンも紹介しています。

具体的にそれらは以下のものです。(解説は『東京スポーツ』より)


『東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(講談社、隔週刊)
昭和30~40年代にシリーズ化された東宝の映画作品、植木等の無責任・日本一シリーズ、クレージー・キャッツシリーズ、社長シリーズ、てなもんやシリーズ、コント55号シリーズ。全50巻。誌面で展開される「笑いのツボ」 「昭和の喜劇人列伝」などの読み物も、読者の気持ちを盛り上げてくれる。


『よしもと栄光の80年代漫才』(小学館、月刊)
1980年代初めの漫才ブームの発端になったテレビ番組「花王名人劇場」(関西テレビ制作、フジテレビ系で放送)から、吉本興業の名コンビ7組の芸を収録したシリーズ


『新・刑事コロンボDVDコレクション』(デアゴスティーニ・ジャパン、隔週刊)
1968年から2003年まで放映された「刑事コロンボ」の新旧シリーズ全69作品を毎号1謡ずつ収録。DVDにはテレビ放映時にカットされていたシーンも収められている。読者から「DVDで全巻揃えられるのがうれしい」という声が届いているとか。


『燃えろ!新日本プロレス DVDでよみがえる名勝負コレクション』(集英社、隔週刊)
「入場曲や試合後のマイクパフォーマンス、乱闘、インタビューまでを極力収録。また、「70年代の猪木世代から90年代の闘魂三銃士世代まで、テーマ別に網羅しているので、集大成的なアーカイブになっているんです」と編集者は語る。11年10月に刊行が始まり、全50巻を予定していたものの、あまりに好評なので60巻までの続刊が決まった。


『男はつらいよ 寅さんDVDマガジン』(講談社)
過去に大ヒット。

DVDコンテンツというと映画が多いのですが、プロレスもコンテンツとしての価値は高いですね。

過去にも書きましたが、私のイチオシは『東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(講談社、隔週刊)です。

【東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン関連記事】
・東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン 高度経済成長時代の“笑い”
・桜井センリ、クレージーキャッツでのタブーも明かされた新盆
・オリンピック東京開催決定、テーマソング誰が歌う?

すでに50巻中12本が発売されていますが、以下は私が選んだベスト5です。


『クレージー黄金作戦』(2013年 6/18号)
シリーズ中のハイライトと言っていいと思います。ラスベガスの往来をストップさせて、クレージーキャッツの7人が歌って踊るシーンは最高です。何度観ても飽きません。これを見て以来、気分がいいときに口ずさむのは「とうとう着いたぜ、ラースべガース」という劇中歌です。渡辺プロが資金を出して制作しただけあり、渡辺プロのザ・ピーナッツ、ジャニーズ、ジャッキー吉川とブルーコメッツも出演。劇中のショーシーンに登場します。


『香港クレージー作戦』(2013年 9/24号)
クレージーの面々が日本を脱出して一旗揚げようとする香港上陸作戦。ヤマ場は、劇中で初めて、クレージーキャッツが楽器を持ち音楽コントを披露したこと。本格ジャズバンドの片鱗を見せるかとおもいきや、かなりナンセンスな仕掛けが待っています。クレージーはライブが一番おもしろかったという人がいますが、その頃は生まれてなかったので見ることができませんでした。こんな感じで盛り上がったんだろうなと思いながら見ました。


『クレージーメキシコ大作戦』(2013年 7/16号)
メキシコオリンピックで盛り上がる68年に制作されました。3日前の記事オリンピック東京開催決定、テーマソング誰が歌う?でも書きましたが、この作品がクレージー凋落のきっかけになったというマニアの声があります。私は、時代が70年代に入り、クレージーからドリフの笑いに移ったからだと思うのですが、ドラマや映画など量産によって飽きられたり、ストーリーが雑になったりといった面はあったと思います。


『クレージーの大爆発』(2013年 8/27号)
この『東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』は、全50巻中最初の10巻を、読者投票の順に刊行することになっていて、その10番目に滑り込んだのがこの作品です。69年当時、アポロの月面着陸や3億円強奪事件が話題になりましたが、さっそくその2つをストーリーに取り込んでいます。クレージーキャッツはかつて『おとなの漫画』というテレビ番組で時事問題を扱いましたが、映画にもそうした傾向があったんですね。


『ニッポン無責任時代』(2013年 4/23号)
シリーズ第一作です。クレージーキャッツは全員出演していますが、クレージーキャッツの映画ではなく、植木等主演の映画です。当時は、植木等主演のものと、クレージーキャッツをタイトルに入れる映画と、二通り並行して制作されていました。映画の中で、植木等が下宿のおかみさんに冗談半分でモーションを掛けて断られると、「こっちだって出世前の大事な体なんだから」と言い返すシーンがあるのですが、私の妻に大受けでした。

……といったところです。

いずれにしても、私の感じでは、DVDマガジンのタイトルや、今回の記事に書かれているような「爆笑」というのとは少しニュアンスが違います。

クレージー・キャッツはやはり、高度経済成長の時代にもっとも輝いた“大人の笑い”ですね。

たとえば、谷啓がシリーズ中に言うセリフ、「今に見ていろ」なんて、まあ現代でも使うかもしれませんが、手っ取り早く結果を欲しがり、情報化社会と格差社会の影響ですぐ先を読んでしまう今の若者の良くも悪くも“賢い”メンタリティには、なじみにくいような気がします。

やはり、高度経済成長時代の、やれば報われる右肩上がりの時代のおおらかで前向きな価値観でこそ、感情移入できる言葉だと思います。

その意味では、今、初めて見る若い人には対してウケないかもしれません。

ただ、そうした古き良き時代の健全な価値観を改めて見直すことで、現代の閉塞性に気づき、原点に帰ってものを考える“価値観の整理”ができるかもしれません。

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