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レーシック手術のリスク、広告塔たちは伝えたのか [社会]

レーシックの集団感染事件が解決した。銀座眼科でレーシック手術を受けた患者639人のうち、67人が感染性角膜炎などの健康被害を訴えた事件である。

東京地裁で、レーシック手術で角膜炎などに感染した被害者54人が、すでに刑事では実刑の確定している溝口朝雄元院長に計約4億3000万円の賠償を求めた訴訟で、溝口元院長らが被害者計60人に総額約2億6000万円を支払う和解が成立した。

近年、近視矯正にレーシック、またはイントラレーシック手術が流行している……ような印象がある。

スポーツ選手や芸能人、その他、高い視力が必要な職業の人々が広告塔になって「体験談」を語ることで、レーシック手術が、安全でかつ視力矯正のトレンドであるかのような宣伝がサイトなどでも盛んに行われてきた。

だが、レーシック手術は、レンズの屈折度がマイナス8D以上の人(つまり超強度の近視)は、1度の手術ではすまない再手術のリスクがある。たとえば、タイガーウッズもレーシックの再手術組である。 

角膜をけずる手術なので角膜が薄い人はできない。老眼の始まる40代以上の人は適さない、緑内障で眼圧管理が求められる人にも不向き、などの問題点もあるという。

実は私も、コンタクトはマイナス8.5Dでやっと普通免許がパスできる(汗)極度の近視である。そのため、レーシックについては関心がなかったわけではないが、適応に疑問がある(タイガーウッズと同じで再手術のリスクがある)のと、だからけちをつけるわけではないが、スポーツ選手やタレントが次々広告塔になる宣伝が気に入らないので様子見をしていた。

レーシック手術には、そんな派手な宣伝をしなければならないほど人が敬遠せざるを得ない弱点があるのか、とかんぐらざるを得ないし、少なくとも、その宣伝費が施術代にのっていることは間違いないからだ。

ちなみに、かつらや育毛、植毛産業も宣伝費が桁違いに多い業界なので、私はなるべく将来もその世話にはなりたくないと思っている。

それはともかく、レーシックに限らず、今回のようなトラブルについて、広告塔の人たちに責任はないのだろうか。

たとえば、水道橋博士は、「ロシアンRK=角膜放射状切開術」という、一昔前のレーシックに似た手術しかしていないくせに、レーシック手術の広告塔を演じた。

「博士の異常な健康」(アスペクト)という、いまでいう「ステマ」本でレーシック手術を褒めちぎっている。

ネットでは、唐沢俊一氏との対談で、「近視矯正手術に対しては、これだけ安全なのにも関わらず定期的に叩き記事みたいなものが出てきます」「医学的見地からの警笛というより、業界的な圧力という色合いが強いんじゃないのかな。メガネ業界が大打撃を受けるじゃないですか、ものの10分の手術で半永久的に近視が治るんであれば......」などとマスコミの慎重な報道を批判していた(http://www.aspect.co.jp/hakase/02.html)。

しかし、そんなに安全で確実なものなら、一般の眼科クリニックがなぜレーシック科を作らないのだろう。

人も技術の設備も整っている大学病院なら、レーシックを取り扱えばいいと思うが、そうはならない。

要するに、「医学的見地」からリスクとベネフィットが見合わないと判断されているのだろう。

といっても、レーシック手術を否定しているわけではない。先に述べたように、近視であることのハンデは、私はよくわかっているからだ。

私はたまたま適応に疑問があっただけで、そうでなければ、派手な広告のことは目をつぶって、手術をしていた、かもしれない。

ただ、私が言いたいのは、この情報化時代に、きちんと事実を伝えない。情報の量はおびたたしくとも、質が伴わない。その点を残念に思うのだ。

だから、その手伝いをしている広告塔の責任が気になってしまうのである。

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タグ:レーシック
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コメント 4

pandan

娘がコントクトでレーシック手術は
気になっていました、しっかり情報などが
必要ですね。
by pandan (2012-07-21 06:10) 

hnhk

>広告塔の責任が気になってしまうのである。

個人の健康や財産に関わる広告出演には、慎重になってほしいですね。
小学生の頃、ひいきにしていたタレントがベルギーダイヤモンドの販促をやっていて、軽いショックを受けたのを思い出しました。

by hnhk (2012-07-21 07:41) 

いっぷく

pandanさん、コメントありがとうございます。
そうですね。トラブルになった眼科のような
ところばかりではないでしょうし
技術はだいぶよくなっているのでしょうが
失明などの心配もしてしまいますし、
納得のいく決断をするためにも
客観的で詳細な情報はほしいですね。

by いっぷく (2012-07-22 05:01) 

いっぷく

hnhk さん、コメントありがとうございます。
タレントのコマーシャルにおける立場って
永遠の課題ですよね。
たんなるアイ・キャッチャーなのか
それともアドバイザーなのか
前者でも、道義的責任ぐらいは
感じてほしいなと思います。
by いっぷく (2012-07-22 05:02) 

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