大津のいじめ自殺問題で、ここのところネットはもちきりである。すでに遺族側が加害者3人を刑事告訴したという。
この件で、「J:COM」(インタラクTV投票)が「警察捜査」の是非についてアンケート調査を行ったところ、95パーセントが「納得」したものの、5パーセントが「やりすぎ」と答えている。
「やりすぎ」の根拠は、「いじめは教育現場で解決すべきこと」「加害少年を罰しても、いじめはなくならない」といったことらしいのだが、この理屈はおかしいのではないだろうか。
なぜなら、「やりすぎ」の根拠になっていないからだ。
たしかに、教育の問題、社会の問題としてどうとらえるかという視点は大切かもしれないが、警察捜査と並行してできないことではないだろう。
加害者の親は、開き直りと言い訳のビラを配っていたそうだ。この事件に限らず、これまでにもいじめ問題で加害者側の親は、全員がそうではないにしてもそのほとんどは、開き直ったり逃げたりして、子どもの過ちをきちんと見ようとしないことが多かった。
だからそんな子どもになってしまったのかもしれないが、親権者には賠償責任が発生する。親としての責任もきちんと追及することが必要ではないだろうか。
さて、その一方で、自分の子供であっても、過ちについては甘やかさずに厳正に処してくれと、自ら警察に突き出した女優が8年前にいた。
かつて萬屋吉之亮という芸名の俳優だった淡路恵子の四男が、2004年5月9日に淡路恵子の留守宅で金品を物色中に逮捕。いったんは処分保留とされたが、淡路恵子が厳罰を求めて告訴したため、同年7月9日、四男には懲役6月の実刑判決が下った。
四男はその前にも罪をおかしていたので、併合罪の適用で執行猶予が取り消され、あわせて2年の懲役に服することになった。
本来なら、親のものを子供が盗んでも「親族相盗例」によって刑罰は受けないはず。家庭で解決してくれ、ということである。
親なら、もちろん子供の更正を願わないわけがないが、だからといって収監してもらおうとは普通は思わないだろう。
それをわざわざ、「愚息にクサイ飯を食わせてください」と母親が警察に突き出したわけだから、当時の、というより今考えても淡路恵子の対応は思い切ったものといえる。
淡路恵子は息子の荒れように、自分の存在が甘えの原因と気づき、その前の年に弁護士立ち会いで親子の縁を切る念書まで書かせていた。
会見で淡路恵子は、「親子だからと簡単に済むと思われては本人のためにならない。私が警察に何としても逮捕してくださいと、お願いしました」「他人に迷惑をかけるのが大嫌い。刑に服するのが立ち直るきっかけになれば。面会には行きません。刑を終えても1人で生きてほしい。本当に真人間になるまでは絶対に会うつもりはない」などと語っている。
四男は時代劇役者の大御所だった萬屋錦之介の唯一残った忘れ形見だが、その6年後に自殺。だが、淡路恵子は葬儀に参列しなかった。四男は淡路恵子が認める「真人間」にならないまま自殺してしまったのだろうか。
淡路恵子の突き放した対応に、いろいろ意見はあるかもしれないが、息子を好き好んで突き放す親はいない。
少なくとも淡路恵子は、息子の罪と向き合うにはそれしかないと判断したのだろう。
さて、もしあなたが今回の加害者の親権者だったら、どのような態度をとりますか。
凛として、ひとり
- 作者: 淡路 恵子
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: 単行本
2012-07-20 04:21
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ご訪問ありがとうございました
昔のように 子供同士で解決する時代ではなくなりましたね
まあ イジメにせよ事件にせよ政治にせよ
責任のなすり付け合いですね。
by ayasolo (2012-07-20 07:33)
立派な態度だと思いますが、もう方法がなかったのかも。
自分の責任を感じたのでしょう。できれば社会で育てたいです。
by momiji (2012-07-20 17:40)
はじめてコメントします。
「自分の子供が被害者だとしたら……」という前提で物事を考える人は多いと思います(私はそうでした)。しかし、そんな中で、「もし加害者の親権者だったら……」といういっぷくさんの問題設定に、“誰が加害者で誰が被害者になるか分からない”といういじめの本質というか、恐ろしさを思い出しました。
これからも貴ブログで勉強させていただきたいと思います。
by ばたお (2012-07-20 22:19)
ayasoloさん、コメントありがとうございます。
そうですね、人間は弱いものなので
自分がその立場になったら、誰かのせいにして
逃げてしまうかもしれません。
でも、他人をそこで傷つけてしまうと、後悔の
再生産のようになってしまうので、それは
ホント、さけたいですね。
by いっぷく (2012-07-21 03:58)
momijiさん、コメントありがとうございます。
親子のことは外から見てもわかりにくいものですが
まあ、淡路恵子さんの場合は、そこまで
決意するいろいろなことがあったんでしょうね。
by いっぷく (2012-07-21 04:01)
ばたおさん、コメントありがとうございます。
私の場合には、いじめの加害者親のように開き直りもせず
かといって淡路恵子さんのように突き放しもせず
コウベをたれつつも、逃げ道がほしくなる、という
俗人中の俗人的な行動をとるような気がします。
by いっぷく (2012-07-21 04:07)
淡路恵子さんのお話を読ませていただき、
最近の出来事である、
酒井法子さんの元夫・高相氏の事件を思い出しました。
高相氏のお父さんが、
高相氏の所に不審な荷物が届いたと、
自ら警察に通報したという、
あのニュースです。
やはりお父さんも、淡路さんと同じで、
何か痛い目に遭わないと息子は更生しないと
判断したのでしょうね。
どちらも、通報には勇気が要ったと想像します。
もし私が加害者の身内だったら・・・。
まずは本人から事情を聴くでしょうが、
たとえそれが嘘でも(嘘だと気付いても)、
信じてしまう(信じたい)という気持ちになってしまう
かもしれない、弱い人間です・・・。
by 青山実花 (2012-07-22 00:07)
青山実花さん、コメントありがとうございます。
そうですね、子に情があることは親として当然のことであり
むずかしいところです。
私は自分では判断がつかなくなり
いろいな人に相談するかもしれません。
今も、ちょっとわからないことがあると
ネットのokwaveとかすぐ使ってしまいますし(笑)
by いっぷく (2012-07-22 05:33)