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原発事故被害の現在 [社会]

戦後史上、未曾有の大事故となった福島の原発。1年以上たつが、まだ問題は解決していない。たとえば、「日刊ゲンダイ」(6月29日付)は、原発関連で2つの記事を掲載した。福島から200キロ以上離れている都立水元公園の汚染状況と、原発訴訟は被害者である国民に不利な判決が続いているという内容である。

まずは水元公園。東京都が6月25日に複数の地点で放射線量を測ったところ、複数の地点で1時間あたり1マイクロシーベルト以上の空間線量が確認された。

水元公園については、今年2月に日本共産党都議団が調査して、「土壌から最高1キログラムあたり2万3300ベクレル(セシウム134、137の合計値)と、国の焼却灰などの管理型最終処分基準(8000ベクレル)を大きく上回る放射性物質が検出された」と発表していたはずである。

にもかかわらず東京都は、都議会野党の日本共産党のいうことをコバカにして「除染は必要なし」とトボケてきた。今回の報道は「ほらみろ」であり、東京都の深刻なコメントも「何を今更……」である。
「都は本気で除染に取り組む気はありません。ヘタに動けば、水元公園だけでは済まず、足立区など『ホットスポット』と指摘される地域の除染も必要になるからです。今回の調査も、適当にやり過ごしてお茶を濁そうとする姿勢がミエミエだった。共産党や公園周辺の住民が調査の立ち会いを求めたことで計算が狂ったのです。作業を見守られていては計測数値をごまかしたくても出来ませんからね」(都政関係者)

同紙には、現場は測定予定の樹木付近だけに不自然な水たまりがあり、住民から「セシウムを水で流した跡ではないのか」「証拠隠滅を図ったのだろう」との声も出たという。東京都もいまだに発見されていない「ホットスポット」がたくさんあるのではないだろうか。

そこで、話題になった市販の測定器を先日買ってみた。使った感想は……、数字がややアバウトな上に、確定表示まで少し時間がかかるような気がする。ただ、自分の住むところにホットスポットはあるのかどうか、おおよその数字の確認にはいいかもしれない。

家庭用放射線測定器エアカウンターS ([バラエティ])

家庭用放射線測定器エアカウンターS ([バラエティ])

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2012/04/23
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原発訴訟の方は、石川、富山の両県の住民ら120人が北陸電力を相手取り、志賀原発の運転差し止めを求めて提訴したことが報じられている。

しかし、日本の原発訴訟で勝訴したのは85年の「もんじゅ」2審判決、99年の「志賀原発」1審判決の2回だけで、いずれも上級審で敗訴しているから、要するに住民原告の原発訴訟は勝てないことになっている。

その理由は、ひとつに原発の運用は統治行為扱いになっている(ように思える)のと、もうひとつは、原子力シロウトの、一般住民のいうことなど無知蒙昧の被害者意識という司法側の偏見もあるのではないだろうか。

ただし、今回の福島はその前提が崩れている。原子力物理学や原子力工学の専門家だからといって、今回のような原発事故問題の専門家として全面的に信用できるとは限らない。一方、インターネット時代になり、情報をきちんと精査した上で知識を蓄えて論陣を張っている良識ある「一般」の人もたくさんいる。

同紙は「いまこそ、原発差し止め裁判が有効」と結んでいる。石川、富山は画期的な判決を出すことはできるだろうか。
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