原辰徳監督の1億円スキャンダルは、「週刊文春」の第2弾記事でますます波紋が広がっている。原辰徳監督の連絡先を求めたのは、現役プロ野球選手K(楽天・川岸強投手といわれる)の父親であり、用件を知りながら連絡先を教えたのは横浜DeNAベイスターズ・中畑清監督というのだ。
しかも、中畑清はそれ以来その人物とは会っていないと会見で答えているが、実はそれはウソで、翌年のKの結婚式に出席しているではないかと「東京スポーツ」(6月29日付)につっこまれている。
表の報道はすでにネットでもいろいろあれこれ意見が書き込まれているから、ここでは少し別の視点から書いておこう。
川岸強の父と思われる人物は、東声会の流れをくむ東亜会のヤクザだったという。東声会といえば、銀座を拠点とする町井久之会長の組織で、町井会長は力道山との関係から日本プロレス協会の副会長をつとめていた。
原監督がゆすられる原因となった元カノの日記は、同僚女性から「山本正志」という山口組系心腹会元組員、その舎弟の元組員に移り、さらにその舎弟から川岸父に渡り原監督にアプローチ(2006年)。原監督は金を払ったにもかかわらず、2009年に「山本正志」がまたゆすったという経過である。
ピカレスクロマンに興味のある方は、出身が心腹会と東亜会というテリトリーも違う元ヤクザが、何らかの理由で日記を回す関係であることに興味を覚えたのではないか。
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心腹会といえば、尾崎彰春初代会長が山口組直参としては相談役的立場であり、その前身である安原会は、田岡組長に仕えた最初の若頭である安原政雄(後に舎弟に直る)率いる保守本流の系譜であるといわれている。
安原政雄若頭は、実年齢も渡世人としても自分より若い田岡組長を売り出すために自ら風呂屋で背中を流し、鶴田浩二のマネージャーが無礼なことをしたからといって、山本健一若衆らは制裁を加えに行き、あの山一抗争のきっかけとなった竹中正久四代目組長擁立について、三代目の意向をくみ真っ先に支持するなど、安原会系は山口組の前面に立って、つねに任侠と武闘を打ち出したとヤクザ物語には描かれてきた。
破門が絶縁かは定かでないが、その「本流」出身の元ヤクザが、プロ野球人相手に何のひねりもない恐喝を行うことについて、ピカレスクロマンのファンの中には、意外というか、がっかりしてしまった人もいるかもしれない。
それだけ、今の世の中は「元」も含めたヤクザのシノギが制約を受けている、ということもいえるし、そんなことをする人物だからヤクザ稼業からも追い出されてしまったのか、という見方もできる。
しかし、それ以上に勘ぐってしまうのは、リスクを承知でダイレクトな金銭の要求をしたくなるほどの仕打ちを、原監督は元カノに対して行ったのではないか、ということである。
いくら原選手がスターだったといっても、1億円というのは浮気にしてはあまりにも高すぎる。1億円にふさわしい、もっといろいろなことがあったのではないかと多くの人が疑っている。
もちろん、ゆする方が「相場」を理解しておらず、行為と釣り合わない金額をふっかけた可能性もないわけではない。だとすると、原辰徳は世間から誤解されていることになる。
だから、そのような勘ぐりをクリアにする意味でも、1億円の経緯について、原辰徳と巨人軍は明らかにすべきである。
破門や絶縁といっても、それは組と個人の関係であり、個々のヤクザの関係までが切れてしまうとは限らない。つまり、相手が巨人の主張通り今はヤクザでなかったとしても、1億円が反社会的勢力に流れた可能性がなくなったわけではないのだ。
2012-06-30 03:58
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コメント(2)
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ご訪問とniceありがとうございました。
>川岸強の父と思われる人物は、…
こんな背景があったのですか。なるほどです。
『東京アンダーグラウンド』の世界を髣髴させられました!
by hnhk (2012-06-30 09:58)
hnhkさん、コメントありがとうございます。
そうですね、川岸投手には何の責任もないのですが
父親はもちろん、つないだ中畑監督も軽率のそしりは
まぬがれないような気がします。
by いっぷく (2012-07-01 03:22)