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三木・フォード共同声明

日本に大きな影響を与えてきたアメリカは、ベトナム戦争の敗北、ウォーターゲート事件など、国内外の威信を落としつつあった。

そうした中で日本の三木武夫内閣は、国内では「クリーン三木」や「対話と協調」を「売り」にしながら、その一方でアメリカの立て直し政策に加担することによってアメリカとの同盟関係をいっそう強固にし、支配の確保につとめる方針を打ちだした。

その確認で渡米した三木・フォードは、「共同声明」と「共同新聞発表」という2種類のステートメントを発表。

内容はどちらも同じ立場からのもので、日米の軍事・経済・文化などの各面での強化をうたい上げ、アメリカの「核のカサ」を「日本の安全に対し重要な寄与を行うもの」とした。

また、共同新聞発表については第三項で「韓国の安全が朝鮮半島における平和の維持にとり緊要」とした。

これは、以前の佐藤栄作・ニクソン共同声明で同問題を「韓国の安全は日本自身の安全にとり緊要」とした「韓国条項」をさらに拡大解釈した「新韓国条項」といわれた。

つまり、日本の防衛線を、旧項の「韓国」から「日本を含む東アジア」にまで広げることによって、従来の日米安保条約、米韓相互防衛条約、米台、米比などを結合させる構想だった。

まさに「ベトナム後」のアメリカ戦略に対応したものにほかならなかった(川越敬三『日本人にとっての朝鮮問題』大月書店)。

三木武夫といえば、クリーンな政治と鳩派的なイメージが強いが、それは「金権」の田中角栄や、「日米軍事同盟」重視の従来の自由民主党政権に対するアンチテーゼとしてのイメージアップ戦略という意味合いが強く、では三木政権がそれまでの自由民主党政権と本当にそれらの部分で大きな違いがあるのか、戦後史的、政治史的にはきちんと検証する必要があるのではないだろうか。
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かずっちゃ

ご訪問&nice!ありがとうございました。
by かずっちゃ (2010-10-28 13:55) 

よいこ

nice&ご訪問ありがとうございました>

by よいこ (2010-10-28 19:42) 

mokamoka

訪問頂きありがとうございました^^
by mokamoka (2010-10-29 08:55) 

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