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『砂糖菓子が壊れるとき』若尾文子、藤巻潤、志村喬、田村高廣

砂糖菓子が壊れるとき

『砂糖菓子が壊れるとき』(1967年、大映)を観ました。マリリンモンロー伝の翻案作品とのことで、曽野綾子の同名小説(講談社刊)を橋田寿賀子が脚色。今井正監督です。最初のシーンから、千坂京子(若尾文子)はカメラマン(根上淳)相手に、お金目的のヌード撮影をします。(画像は劇中より)



京子(若尾文子)は、恋人の監督を待っている時に、石黒監督(成瀬昌彦)に認められ、大きな役が付きます。

資産家でもある映画制作者の工藤(志村喬)には求婚もされますが、なかなか踏みきれません。

この頃は、映画プロデューサーは大金持ちになれたんですね。

過去のヌード写真発覚と、工藤の心筋梗塞による急死が重なったとき、彼女を支えたのは新聞記者の奥村(津川雅彦)でしたが、関係はしたものの、2人は友達のままでした。

京子(若尾文子)は、自分に学問がないコンプレックスから、大学の聴講生になりますが、憧れていた天木教授(船越英二)に体を求められ、失望します。

次に現れたのは、プロ野球選手の土岐(藤巻潤)。間もなく彼と結婚しますが、取り巻きの人や彼女の仕事で意見の違いがあり、結局別れます。

失意の彼女は、元女優で付き人の春江(原知佐子)と八ケ岳山麓のホテルを訪れ、作家の五木(田村高廣)に会いました。

五木は京子と暮らすようになりますが、五木の妻(山岡久乃)は引き止めません。

京子は五木の子を妊娠しますが、子宮外妊娠でした。そして五木とも別れることに。

京子は睡眠薬なしには眠れなかったのですが、こうした遍歴を重ねて薬の量はますます増えていき、悲劇的な最後に……。

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幸せな結婚をしたい人の自己矛盾


この映画は数年前、出演者の一人である藤巻潤が新聞のインタビューで、「また見たい映画」として語っていたことがあります。

ただ、私は、マリリンモンローのことはよく知りません。

ですから、翻案作品としての価値を判断することはできません。

映画の説明をネットで見ると、「千坂京子は美しく豊かな身体と愛すべき個性を武器にスターの座を獲得する。」「しかし、実際の彼女は、初心で、幸せな結婚生活を求めるただのひとりの女であった。」と書かれています。

しかし、たとえば野球選手の土岐(藤巻潤)は、専業主婦を望んでいたのに、仕事で派手なドレスを着て失望されたり、結婚を本気で望まれていた工藤(志村喬)には、婚姻届まで渡されたのに断ったり、「幸せな結婚生活を求めるただのひとりの女」とは、むしろ正反対のふるまいもあります。

そもそも、この時代、幸せな結婚をしたい人が、夫から言われても女優をやめなかったり、男遍歴を重ねたりするのは自己矛盾です。

たんに、相手の求めているものと、自分のその時の生き方が食い違う人ではないかと思いました。

それは、他人の気持ちを忖度するのが苦手なのか、もしくは逆にそれがわかりすぎて、なぜか逆のことをしてしまう女性なのかもしれません。

千坂京子(若尾文子)は、養護施設の出身だそうですが、相手の喜ぶことをする、がどういうことかよくわからない不幸を背負っている、ということを曽野綾子や橋田壽賀子は描きたかったのでしょうか。

もちろん、現実に不遇な環境にいる人が必ずそうだということではありません。

逆に、正妻から生まれなかった元プロレスラーのサンダー杉山のように、他人の求めることを考えるようになる場合もありますから、

『何度だって闘える』サンダー杉山、幼い頃に心を読み徳を積む

まあどちらかというと、千坂京子(若尾文子)のそうした描き方は、“ステレオタイプ”と見られるかもしれません。

最後に千坂京子(若尾文子)の遺体が運びだされるとき、過去の男で一人だけ駆けつけ、新聞記者を追っ払っていたのは土岐(藤巻潤)でした。

土岐(藤巻潤)こそが本当に愛した男だったということでしょう。

でも、「回転寿司のおいしい握りは2度は回ってこない」ということで、土岐(藤巻潤)と別れた時に、彼女の少なくとも男性関係は運の尽きだったのかもしれません

登場する男性の数を考えると、少し尺が短かったかも。いささか「遍歴」が駆け足という気がしました。

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