『面倒くさがりやでもうまくいくラクな段取り!』(悠木そのま著、かんき出版)を読みました。人(脳)は物事を、楽で楽しく達成できると幸せになれる。そのためには段取りをどうしたらいいか、という話です。本書は、段取りはアバウトでも大丈夫、脳にはストレスを与えず手間を省いて、直感でいこうと書かれています。
新入社員の研修やビジネス系セミナーでは、自己管理が大切だと諭されます。
しかし、自分で自分を律するというのはなかなかむずかしいので、私はうまく実現できないと感じます。
その原因は、やはり「面倒くさがりや」ということだろうと思います。
「ねばならない」の目標や予定をいくらまじめに立てても、実践できなければ何もなりません。
そもそも、「ねばならない」と立てるから苦痛なのかもしれません。
本書によると、「ねばならない」で課すようなことは脳が楽しくないからできない。
脳は楽で楽しいことが好きだから、ストレスを避けるためにアバウトな目標や段取りをたて、迷走しないように手順を可視化し、達成可能な課題を用意して適時適切なご褒美を上げようと述べています。
脳はイメージと現実の区別がつかないので、つねに肯定的なイメージを描くといいそうです。
たとえば、何かをしようとするとき、まずはほしい結果をイメージします。
達成感を、段取りに先駆けて味わうためです。それによって、脳は喜び動機づけられます。
そして、脳にストレスを与えるようなことは避けること。
慌てないこと、不要なことは忘れること、メモを取って脳をラクにしてやること、時間管理はタイマーに任せること……。
段取りは、習慣化したい行動は1つずつ実践すること。足踏みしたら別の行動に挑むこと、お酒が好きならヤケ酒をやめること(好きなことはご褒美にすること)、何かを決めることは(決めたこと以外を)捨てること、数分でできることはすぐに処理すること……
とにかく、脳に負担をかけないことを心がける。
それが、同時に適切に物事を処理をすることにもつながっているわけです、
本書では、時間を本棚に見立てています。きちっと棚に詰め込まれたら、新たに本を入れるのも抜き出すのも大変です。そこで、適度な隙間(クッションタイム)を用意せよといいます。
私は冒頭に書いたように、面倒が苦手で自己管理ができない人間ですが、これはよくわかります。
人は往々にして、予定を詰め込みたがるものですが、余裕がないと、一見効率的に動いているようでも、決してうまくはいかないものです。
物事は必然と偶然で動いています。いくら事前に計算しても、想定外の出来事だってあり得るわけですから、実はアバウトである部分が入ってちょうどいいのだと思います。
詳細は本書をご覧ください。
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ノウハウの前には「きっかけ」も必要か?
とくに目新しいことが書かれているわけではありませんが、どうしてそうなのか、といった理念や、脳の立場や働きを根拠として解説されているので、説得力やわかりやすさが際立っている、とAmazonのレビューにも書かれています。
ただ、「努力することも天分のうち」といわれるように、「こうすれば段取りよく仕事ができる」と平易に解明されても、「こうすれば」を実践できる人とできない人がいるので、その場合はどうするか、という意地悪なツッコミもあるかもしれませんね。
たとえば、メモを取れば脳が楽になると書かれていますが、いちいちメモをとるよりも、覚えておけることは覚えたほうが面倒ではありません。
達成した時のイメージを描けとか、その都度ご褒美を作るとか、それはそれで十分面倒です。
……と考えてしまうと、そこで終わってしまうでしょうね。
こうした分野の書籍は、かならず読むという「真面目な人」がいるらしいのですが、そういう人は往々にして、読むこと自体が目的化した「ノウハウコレクター」で終わってしまい、その人自身は何も変われない、ということがあるようですね。(変われないから、次々新しいノウハウを求める)
世に出ている啓蒙書やノウハウ書が、たんなるお飾りの知識ではなく、実践できるようになるには、どのようなすぐれたノウハウや技術にしても、まずは実践のための「きっかけ」が必要かもしれません。
きっかけというのは偶然突き当たるものなので、こういうことをすればこの点で意識が改革できる、という具体的なことはいえませんが、たとえば、ふだんから時間を作って書籍を読む、映画を見る、友達と話をするなど、多様な価値観や情報に自分を晒し続けることではないでしょうか。
それによって、自分の価値観がいつの間にか変わるということはあります。
本書を読んで、「こんなことできるかぃ」と思っていたのに、自分が一目置く人がそれを実践していたら、自分もやってみよう、という気になるかもしれません。
映画のあるシーンに感動し、自分も心を入れ替えて頑張ろうと思い、実践するようになるかもしれません。
それこそ、本書を読んだら、ただちにやら「ねばならい」と自分を追い込まずに、ひとつの情報として読みながら、できそうと思ったところから実践し始めたらいいのではないかと思います。
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