『家政婦は見た!子連れ秋子が政界の裏をのぞいた…女性の味方、女代議士、三つの顔の秘密』(2004年、大映テレビ/テレビ朝日)を観ました。主人公の家政婦が子連れで働いたり、物語の中心となる女性代議士の、異母兄弟や息子の子どもの認知がストーリーに影響する興味深い話でした。
ここのところ、このブログは『家政婦は見た!』の話が多くなっていますが、このシリーズは、1983年以来、ほぼ年に1作、合計26作放送された市原悦子主演のドラマです。
松本清張の原作を超えて、その時々の話題や流行をとりあげるオリジナルの風刺作品になっており、1980年代~2000年代を順番に思い出せるので、放送当時はそうでもなかったのに、DVD化された今はハマってしまい、順を追って観ています。
今回面白かったのは、子供や兄弟の認知、養子縁組といった話がテーマになっていたからです。
タイトルの「女代議士」五十嵐不二子は、山本陽子。
彼女は、職場の管理職に女性を30%にするという政策を掲げ、女性から圧倒的な支持をされています。
石崎秋子(市原悦子)が知り合った養護施設の子ども・タケシには部屋まで与え、“同伴出勤”を認め、「女性と子どもの味方」としての宣伝に利用。さらにタケシを養子にすることもバックアップすると言っています。
ところが、自分はどうかというと、父親(仲谷昇)と長く愛人関係にある女性(星由里子)の息子(小林滋央)や、自分の息子・不二彦(田中哲司)が以前交際していた由美(川越美和)の娘の認知には反対しています。
自分の父親(仲谷昇)はグループ会社の総帥ですが、年老いて弱気になっている父親に対して、「会社の管理職に女性を30%にするという会長としての意思表明に署名・捺印したら認知を認める」と言い、認めさせて、「ファミリー企業で実践した」と不二子議員の評判は上がります。
しかし、認知の話は時間が経つととぼけてしまい、秋子とタケシの養子縁組も口先だけです。
怒った秋子は、認知を認める会話を録音していたテープレコーダーを再生して不二子のウソを暴き、美和の娘の認知にも道を付けて「お暇」をいただきます。
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血のつながりとはなんだろう
観ていて興味深かったのは、まず、養子縁組というのは、当事者同士が望んでも簡単に実現できないということです。
簡単にできるようになれば、子の福祉にも叶うのに、という単純なものではなくて、いったん親子になると、合わないからやっぱりやめますというわけにはいかないので、やはり一定のハードルの高さは必要なのでしょうね。
もうひとつは、不二子議員が、自分の腹違いの「弟」や、自分の息子の「娘」の認知を、不二子議員なりの言い分から拒絶しているのに対して、「認知するのが自然な流れ」というセリフがあったことです。
認知は、血がつながっているのが、科学的にも明らかなら、自然、というよりもう必然でしょうね。
ただ、私が興味深かったのは、そこで正式な弟や娘(孫)になったとして、その後どうなるんだろうな、ということです。
法的にも肉親になった以上、一緒に住むのが「自然な流れ」という話になるのでしょうか。
こちらは、そうではないような気がします。
そこが人間関係のむずかしいところでしょうね。
たとえば、子どものいる親が離婚して、子がすでに新しい家庭を持っている別れた親と再会する。
事情があって別々に住んでいた実の親子が、すでに新しい家庭を持つ親と再会する。
こういうとき、「やっぱり親子なんだから、最初はギクシャクしても、いずれ打ち解ける」なんて第三者は言うのですが、当事者に聞いてみると、そうとは限らない印象があります。
たとえば、新しい家庭には、実の親と言っても自分の知らない顔がある。
それだけでも、実の親が他人に見え、長い間の空白を実感するとか。
そして、そこに子どもでもいたら、「ああ、自分が経験しなかった親の愛情はこの子が受けていたんだな」なんて思って寂しくなるそうです。
要するに、なまじ親と再会したばかりに、それまで心のなかに描いていたものまで崩れてしまうそうです。
かつて、小泉純一郎元総理が、3人目が生まれる前に離婚。その後、総理を退くまで、そのお子さんと会わなかったことを「冷たい」と論評する人もいましたが、私は、「会わない理由」も聞かないうちから、勝手に決めつけるべきではないと思っていました。
2004年に、認知や養子が話題になった出来事があったかどうかは覚えていませんが、いま観ても面白い話だと思います。
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