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『男たちによろしく』を佐藤友美の誕生日にリクエストする! [懐かし映画・ドラマ]

『男たちによろしく』(TBS、1987年4月10日~7月10日)というテレビドラマが、かつて通称「金ドラ」枠で放送されていました。3人の男性と3姉妹を中心にストーリーが展開しますが、その長女を演じていたのは今日誕生日の女優・佐藤友美です。作品は鎌田敏夫氏の人間観・ドラマ観が全面開花。今もネットではファンサイトを見かけます。

『男たちによろしく』男3人
『男たちによろしく』予告編より

佐藤友美は、昨日記事を書いた映画に出てきた長山藍子と同じ年齢なんですね。具体的に何歳かは書きませんけど、女優の肩書で仕事は続けているようです。

佐藤友美
佐藤友美が登場する相談薬局「アール堂」公式サイト
http://www.sizenyaku.com/syujii.html

この方は俳優座養成所13期生だから、佐藤オリエや真屋順子や石立鉄男や横内正や細川俊之らと同期になります。

石立鉄男が、当時の佐藤オリエを「綺麗だった」と『徹子の部屋』に出演した時に語っていましたが、デビュー後は、知的でかつ庶民的なイメージの役が多く、どちらかというと同姓の佐藤友美の方が、ルックスやスタイルをセールスポイントとする女優として活躍したように思います。

それで、ドラマの『男たちによろしく』の話です。

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かつて鎌田敏夫氏脚本の「金ドラ」といえば、『金曜日の妻たちへ』(1983年2月11日~ 5月13日)というドラマが話題になりました。

郊外の新興住宅地にある家庭。その既婚男女の人間関係を描いたドラマで、この作品から「金妻」「不倫」と言った言葉が流行しました。

が、鎌田敏夫氏は“不倫ドラマ”に見られることは本意ではなかったようです。

『来て!見て!感じて!』(海竜社)という書籍で鎌田敏夫氏は、『金曜日の妻たちへ』についてこう書いています。
ドラマを観て泣いたと、よく言われました。
 このドラマには、悲しいシーンも可哀そうな設定も一切ありません。それなのに、なぜ泣けるのか。このドラマは、登場人物のすることを、一切断罪していません。人間がすることには、すべて、そうしなければいけない理由がある。それがぶっつかる、どうすることもできない切なさを描いたから、視聴者が泣いてくれたのです。
「不倫」、そんな言葉から出発してしまえば、そこにある男と女の切なさをすべて見逃してしまうことになります。倫理、そんなものは現実に任せておけばいいのです。
 脚本家に必要なのは、現実に埋没してしまわない強靭な精神です。
不倫がいいか悪いかではなく、法律や倫理を超えてしまうプロセスと人間心理を描いているというわけです。

それを、不倫ドラマというレッテルを貼ってしまったら、不倫そのものの是非論が作品の評価に入ってしまいかねません。

そこで、「金妻」シリーズ3部作終了の翌年である87年に、今度は登場人物が、離婚歴はあるが誰も結婚していない設定で、男女の関係を切なく、でもどこかユーモラスに描いた『男たちによろしく』を鎌田敏夫氏は書きました。

ネタバレ御免のあらすじ


男3人は友人関係で田村正和、古谷一行、泉谷しげる。女3人姉妹として佐藤友美、森山良子、池上季実子。田村正和の恋人役に手塚理美、古谷一行への押しかけ女房役に春やすこ。

田村正和が古谷一行のマンションに居候することになりますが、階上にはその女性3姉妹が住んでいます。

田村正和は、古谷一行に言わせるとチャランポラン。しかし、古谷一行は真面目すぎて妻に逃げられています。

古谷一行は、何が不満なんだ、俺は真面目にやっているじゃないか、と思っていますが、別れた妻は、目的地に向かって脇目もふらず進むのではなく寄り道することも人生には必要だという考え方です。

池上季実子はこれまで真面目で男嫌い。ところが、田村正和に「綺麗だ」と言われると、エレベーターが故障した時、突然田村正和にキスをしてしまう自分でも抑えがきかない情熱家。その池上季実子を古谷一行は密かに想っているので、古谷一行は田村正和に嫉妬している面もありますが、嫉妬は自己否定になるのでそれを表現できず、2人はいつも喧嘩になります。

この関係、かつての『俺たちの旅』(1975年、ユニオン映画、日本テレビ)の、カースケとオメダのようです。

佐藤友美は、昔、田村正和と1度だけ関係したことを忘れられずに、ずっと結婚していない設定。

一方の田村正和にとっては、ありふれたいつものことなので(笑)そんなことは忘れていますが、佐藤友美はあるとき、6人全員の前でそのことを暴露。田村正和を罵倒します。

まあそれだけですと、いたたまれないし、ちょっとイタイですが、その後、遠くで仕事する機会を辞退して、田村正和へのストーカー人生を続行するという、彼女の役にしては意外な“格好悪い”居直りの展開は、むしろユーモラスでホッとします。

ドラマの見どころは、田村正和よりもまじめに生きている古谷一行のほうが、不器用で不自然で無理をしているように描かれていること。

佐藤友美が、第三者的に見るとイタイ女性のようでいて、本人の側からすると実はそうでもないこと。

男とは話もしない池上季実子が、ふとした拍子で人がかわってしまうこと。

これらの意外性を織り交ぜた6人プラス2人の関わり方が、実に絶妙で説得力がある大人の素敵なドラマです。

社会復帰の意欲をかきたててくれた作品


同作の登場人物の勤務地として、高層ビルがそびえ立つ新宿のシーンがしばしば登場します。

個人的には、ちょうど結核から社会復帰した頃だったので、ビジネス街が大変眩しく見え、「自分もこういうところで働きたいなあ」などと気持ちが前向きになりました。

そういう意味でも、このドラマは私にとって思い出深いものです。

以前、このドラマのあるファンがオフミを企画しました。

テレビの前にみんな集まって、黙って酒を飲みながらこのドラマを観るというものでした。

ファンならそれぞれ思いはあるだろうから、いちいち自分の価値観は押し付けず、でもドラマを通じてひとつになれるという鑑賞オフミ(笑)

残念ながら、その直後に私は火災を経験してそれどころではなくなってしまい、その話も雲散霧消してしまったようです。

でも昔の映画やドラマには、そういう楽しみ方やつながり方があるんだなあと思いました。

しかし、この作品はDVD化されていないために、今の私は、一人鑑賞すらできません。

そこで、出演者の佐藤友美の誕生日であるきょう、TBSチャンネルにリクエストをしました。

◆TBSチャンネル、ご意見・リクエストフォーム
https://cgi.tbs.co.jp/ppshw/tbs-ch/0065/enquete.do

これまでにも放送したことがありますし、TBSのCSチャンネルも増えましたから、80年代のドラマなら今後も十分放送の可能性はあると思います。

ぜひこのドラマのファンの方は、リクエストをお願いします。

来て!見て!感じて!

来て!見て!感じて!

  • 作者: 鎌田 敏夫
  • 出版社/メーカー: 海竜社
  • 発売日: 2013/06
  • メディア: 単行本


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