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『お星さまのレール』改竄に見る文芸作品の表現に対する息苦しさ [社会]

『お星さまのレール』改竄に見る文芸作品の表現に対する息苦しさ

『お星さまのレール』は、日本に引き上げた女優・小林千登勢が戦中戦後の体験を綴り、1982年、金の星社より出版した日本の児童文学です。それを原作としたアニメーション映画もできましたが、「反日」「嫌韓」なる“対立”に捻じ曲げられているようです。



小林千登勢(1937年2月13日~2003年11月26日)は、テレビ草創期に、馬渕晴子、冨士眞奈美と「NHK三人娘」として売り出された女優です。

朝鮮京畿道京城府(現ソウル特別市)に生まれて、戦後日本に引き上げてきました。

戦後、その引き上げる頃の話を、『お星さまのレール』という本にまとめ、アニメ化もされました。

ところが、アニメ化された作品は、原作とは違い、創氏改名をさせられた少年が登場するなど、“日本がいかに朝鮮に悪いことをしたか”ということが強調されました。

一方、『お星さまのレール』のアニメ版を書籍化したものも上梓されましたが、それをコピーしたかのような体裁で、原作にもアニメにも全く存在しないシーン、少女の千登勢が、朝鮮人の憲兵に腰を動かされて「陰部の裂傷」をしたという記述が、アニメのセル画ごと捏造されてネットに拡散されました。

結論から言えば、後者は論外です。

そりゃそうでしょう。

完成された著作物を、第三者が改ざんするのはその主張内容以前の問題であり、著者、制作者を侮辱しています。

前者は、歴史的な評価の議論はどうあれ、創作物としては「あり」です。

『タイガーマスク』も『巨人の星』も『白い巨塔』も、原作にない登場人物やエピソードが出てきますし、『タイガーマスク』や『巨人の星』は結末が原作と異なり、『白い巨塔』は監督によって作風が全く違います。

原作があっても、そのドラマ版、アニメ版は独自の創作物であるからです。

ただ、いずれにしても、小林千登勢自身にとっては、決して嬉しい「対立」ではないと思います。

本作は、戦中戦後の引揚者の体験を個人の視点で語った、「反日」ではなく「反戦」の文芸作品ではないでしょうか。

もとより、どのような思想を表現するかは著者の自由です。

それを、「反日」だの「嫌韓」だのという視点で改ざんまでして対立することが不毛です。

かつて、宮本百合子ー夫は宮本顕治・元日本共産党委員長ーという作家が、『播州平野』という作品において、日本が戦争に負けて、朝鮮人は独立を勝ち取っていきいきと暮らしているかのように描いています。

ところが、在日韓国人の作家・李恢成は、逆に韓国人の立場からそこに留保を付け、当時の「普通の韓国人」は、そんなたいそうな意識は持っていなかったのではないか、少し韓国人を持ち上げ過ぎではないか、との感想を、宮本百合子の“ホームグラウンド”であるはずの『赤旗日曜版』のインタビューで述べたことがあります。

韓国人を褒める共産党員作家の作品を韓国人が同党の機関誌で懐疑する

なんでも「反日」「嫌韓」と、どちらかのレッテルを貼らないと気がすまない人たちには、敵と味方が互いに逆の主張をしているのでとうてい理解しにくい現象でしょう。

文芸作品というのは、表現も批評もそれほど自由であるということです。

歴史的、政治的な論争と、ひとりの人間の書かずにはおれない心の慟哭やその受け止め方は、区別しなければなりません。

もちろん、事実関係や、個人の感想として、そうではないと思う箇所について批判を加えることは全く自由です。

【関連記事】
これ一体なんなの!?小林千登勢著『お星さまのレール』---確信?故意?実は日本の貢献を隠した反日図書だ!&モラルなき捏造画像に憤慨!!
https://blogs.yahoo.co.jp/heartail/62458307.html

お星さまのレールを読み比べて!
https://terkira.exblog.jp/20849692/

ネット時代になって、本当は量質ともに豊かな情報を得て論考を深められるはずなのに、時としてあらぬ方向に逸脱するのは残念に思います。

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チョコとバニラの二層になったアイス


今日のオヤツは、『明治チョコレートアイスパフェ』です。

明治チョコレートアイスパフェ

チョコレートアイス、バニラアイスの層になっています。

チョコレートアイスにはチョコレートソースが折り込まれ、トッピングはほんのり苦いチョコレートチップです。

明治チョコレートアイスパフェ

バニラとチョコのバランスもいいですね。

ふたつの味が楽しめるので、食べ終わって満足できます。

イオン系の『まいばすけっと』で購入しました。

明治 チョコレートアイスパフェ 185ml×20個 -
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pn

配偶者の写真が(^_^;)
原作から大幅に変える時って作者に了承取らないんすかね?
by pn (2018-03-08 23:08) 

うつ夫

宮本百合子の播州平野は著作権フリーになりました。

by うつ夫 (2018-03-08 23:22) 

末尾ルコ(アルベール)

『お星さまのレール』改竄に見る文芸作品の表現に対する息苦しさ・・・この問題は今の日本、あるいは世界全体にとっても極めて深刻なテーマですね。わたしは『お星さまのレール』という物語についてはほとんど知りませんでしたが、今の日本は、「親日か反日か」とか「親韓か嫌韓か」とかの「二つのうち、一つ取れ」という単純化した思考が幅を利かせすぎています。わたしはブログへもよく書いていますが、「日本や日本文化を愛している、けれど嫌いな部分もかなりある」という立場で、それが普通だと思うのだけれど、ちょっとでも日本や日本人の批判をすると、「反日だ!」になってしまうのですよね。馬鹿馬鹿しい話です。韓国についても同様で、同国の政治や国民性には気に入らない部分が多いわけですが、一部韓国映画は極めて優れていますし、韓国料理にも美味しいものが多い。「韓国全否定」なんてできるわけありません。
しかしことは日本や韓国、中国などの問題だけでなく、欧米に対する単純化された思考もかなり蔓延っておりまして、例えば、「日本における女性の社会進出レベルは極めて低い」というテーマを持ち出しても、「それは欧米の価値観だ!そんなのはもう過去の話だ」なんていきり立つ人たちがいるのです。これも過去の「欧米崇拝」の反動でもあるのですが、しかし欧米からいかに学んできたか、そして現在でも欧米には見習うべき点が無数にあるのに、「欧米全否定」で話を済まそうとする人たちが多くなっているので困ります。
いっぷく様のおっしゃる通り、文芸作品、そしてあらゆる芸術作品は、人間や世界の複雑性をどうにか表現しようと、時に命懸けで捜索されているものであり、「白か黒か」的単純な思考しかできない人間はそもそも「文芸について語るな」という話だと思います。

『明治チョコレートアイスパフェ』・・・これはちょいちょい食べています。わたしにはやや甘みが勝っているので、疲れた時などにちょうどいい感じです。最近はやや暖かくなってきたので、シャリシャリ感のある『エッセル スーパーカップ バニラ』の出番が多いです。

8日のNHK『ごごナマ』でプロレスを取り上げておりまして、予想通り(笑)非常に内容の薄い取り上げ方だったのですが、その中で「いたばしプロレスリング」という団体が紹介されておりました。文字通り、「板橋区」のプロレス(?)団体で、番組の中ではご高齢の女性たちが喜んで観戦している映像がありました。プロレスという名で「商店街の余興」にさえなっているというところでしょうか。まさしく「底が抜けた」状態ですね。
しかし「地元アイドル」や「地元ゆるキャラ」などもすっかり下火になりましたし、「地域プロレス」はそうしたものと比べてもグッとマイナーですし、いずれ試合中のトラブルなども起こる可能性が高いですし、ある種の文化としても定着するとは思えません。

映画館については、実はわたしも、「できるだけ行く」ようには心がけていますが、足を運ぶ頻度はぐんと落ちております。理由はもういたってシンプルで、時間的余裕がない(時に経済的余裕もですが 笑)が主です。それでも「映画館でしか鑑賞方法がない」ということであれば、無理してでも行くところでしょうが、やはり現在は「観たい映画を観たい時間に鑑賞できる」状況ができておりまして、「スクリーンで観るのが本来の鑑賞方法」だと分かってはいても、家庭での鑑賞が多くなってしまいます。
それと、「高知」なので、本当に観たい作品が観たい時に映画館にかからないこともありますね。高知市内に愛宕劇場という昔ながらの映画館はありますが、冬に行ったら寒いんですよ(笑)。結局、ある程度快適な環境で鑑賞できるのは、TOHOシネマズ高知だけで、上映作品はファミリー向け、アニメ、女子中高生向けラブコメが中心となってしまいます。

木村拓哉のアカデミー賞辞退には呆れましたね。どうせジャニーズがいろいろセコ委計算をして決めたのでしょうが、呆れてものも言えませんでした。
日本アカデミー賞は曖昧な部分、不備な点も多々ありですが、いっぷく様のおっしゃるように、でんでんなどが受賞して大いに励みになり、しかも大きな勲章になっているわけですから、立派な機能を果たしていると思います。でんでん、わたしも好きな俳優です。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-03-08 23:40) 

ゆりあ

森永のチョコレートサンデーは、近くのスーパーにあって良く食べるのですがこれは見た事がないです^^;
ほろ苦いトッピングがあって、おいしそうですね^^
by ゆりあ (2018-03-08 23:56) 

nikki

改ざんされるような文芸作品があったのですね。

チョコアイスパフェおいしそうです。
by nikki (2018-03-09 00:28) 

ナベちはる

二つの味が楽しめるチョコアイスパフェ、美味しそうです☆彡
by ナベちはる (2018-03-09 00:47) 

犬眉母

アニメ版の「改変」は、Twitterか
何かで見たことあります。
「対立」というより悪質ですね。
by 犬眉母 (2018-03-09 00:51) 

関谷貴文

あれは捏造だったの?
あちゃー
by 関谷貴文 (2018-03-09 01:23) 

ヤマカゼ

チョコパおいしそうですね。
こんど食べてみたいが増えました。
by ヤマカゼ (2018-03-09 06:44) 

Rinko

寒い冬に暖かい部屋で食べるアイスもいいものですが、こちらではだんだん「暑いからアイスでも」的な気温に移行しつつあります^^; 
by Rinko (2018-03-09 07:40) 

Take-Zee

こんにちは!
最近、メディアで見かけないと思われると
お亡くなりになっている・・こんなことが
多いですね。
 小林千登勢さんもとは・・!
by Take-Zee (2018-03-09 09:06) 

チャー

戦争を題材にしたアニメは色々ありますが
胸を打つものばかりです
子供たちには とても分かりやすく 戦争の怖さ 悲劇を伝えることができます
アイスはこれからますます美味しい季節ですね チョコレートパフェ 間違いなく美味しそう〜♪
by チャー (2018-03-09 09:19) 

アールグレイ

お星様のレール、知らなかったです。
ねつ造など、悲しいですね。
実際の話より、そちらが印象に残る怖さもありますね。
また美味しそうな、アイス(^_^)
by アールグレイ (2018-03-09 10:05) 

makkun

第三者が完成された著作物を改ざんするとは
言語道断で甚だしい侮辱です。
こんな事があったとは寂しい限りです・・・・・
チョコパフェ食べたいで~すd(*^o^*)b

by makkun (2018-03-09 11:00) 

johncomeback

小林千登勢さんは子供の頃によく観た記憶があります。
綺麗な女優さんでした。「お星さまのレール」は存じません
でした。原作者の意図を捻じ曲げる改ざんは酷いですね。
by johncomeback (2018-03-09 11:27) 

なかちゃん

お星さまのレール、知りません。
以前、ボクが創った歌を他の人が歌詞を変えて歌ってました。
それはいいんだけど、どうしようもないヘタクソな言葉遣いに変わってて、そんな変な作り変えはやめてほしいと言ったことがあります。
ボクも他の人の歌を作り変えることはありますが、必ず創作者に許可をもらい、良い意味で原作以上の作品にすることを心掛けますし、それが普通だと思っていました。

by なかちゃん (2018-03-09 11:51) 

caveruna

あったかくなってきたのか、最近ではコンビニに行くと、
買わないのに、ついアイスコーナーをチェックしている時が
多くなりました(笑)
by caveruna (2018-03-09 13:42) 

JUNKO

小林千登勢さんは、独特の雰囲気のある好きな女優さんでした。
by JUNKO (2018-03-09 14:29) 

kiki

『明治チョコレートアイスパフェ』明治チョコレートはよく買うので、アイスも食べてみたいですね。
by kiki (2018-03-09 16:04) 

sana

小林千登勢さん、感じの良い女優さんでした。
お星さまのレール、知りませんでした。
旦那さんは山本耕一、写真が山本耕史になってます^^;
チョコレートアイスパフェ、美味しそうです!^^
by sana (2018-03-09 23:04) 

そらへい

小林千登勢さん、しばらく見ない
どうされているのかと思ったらもうずいぶん前に
亡くなっていたのですね。
子供心にも、この人はほんとうにきれいな人だと
思ってました。
by そらへい (2018-03-11 19:47) 

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