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日本人は飲み過ぎがキケンという話 [健康]

日本人は飲み過ぎがキケンという話である。ビール大手5社が4月のビール類の総出荷量を発表した。それによると、前年同月比で4.0%増の4083万ケース(1ケース=大瓶20本換算)。2か月ぶりに前年同月の実績を上回った。東日本大震災後は全ての面で停滞するのかと思ったが、被災した大手各社の生産体制が回復したために今年1~4月の累計でも、前年同期比0.5%増の1億2598万ケースとなったそうだ。

入学や入社、花見などの「酒席の季節」だったこともあるだろう。といっても、日本人の場合、飲み過ぎに注意!の人は多い……というのだ。

いわゆるビール類の総出荷量、4月の内訳はビールが5.2%増の2036万ケース、発泡酒は1.8%減の697万ケース。低価格で人気の「第3のビール」は5.3%増の1350万ケース。出荷量、ビール類全体に占める構成比(33.0%)ともに4月として過去最高だったそうだ。

「第3のビール」というが、従来のビールとは原材料も製法も違うのだから、カレーライスとハヤシライスの違いのようなもので、本当は別ジャンルではないだろうか。

という話は措いて、今回は飲む側の話だ。

日本酒やビールなどアルコールを飲むと、すぐ顔が赤くなる人が、日本人の場合約半分ぐらいいる。実は私もその一人なのだが、そんな人はよく、こう言われる。

「顔が赤くなる人は血流が良く、吸収したアルコールも早く抜けるから悪酔いしない」

一気飲みなど、酒の飲み方を間違えると、顔が青くなることがある。

それに比べれば、顔が赤くなることはいいことだというのだ。

もちろん、おふざけの一気飲みは論外だが、「顔が赤くなる」ことも実は健康上飲酒に向いていない証拠である。

顔が赤くなるのは酒が弱い人であり、早く抜けるどころか、代謝の速度が遅いから顔に出て赤くなるのだ。

つまり、180度真相は異なるわけである。

アルコールは胃や小腸で吸収され、肝臓内のアルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドに、そして次にアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に、最後に水と二酸化炭素になって体外へ排出される仕組みになっている。

アルコールそのものは、血管を収縮させるはたらきがある。

一気飲みのような急激なアルコールの摂取によって、その状態が起こることがある。

つまり、アルコールを口にすると、赤くなる人と青くなる人がいるのではなく、急にアルコールを摂取すれば誰でも青くなり得る。

一方、分解されたアセトアルデヒドは、逆に血管を広げる効果がある。

人によってはアセトアルデヒド脱水素酵素が弱いため、アセトアルデヒドがなかなか分解されず、その血中濃度が上がって血管を広げる。それが、外見的に顔を赤くする。

アセトアルデヒドは人体にとって毒性の強い物質で、建築材のシックハウス症候群はアセトアルデヒドが原因になっているほどだ。

筑波大学の原田勝二准教授によると、アルコールに強いか弱いかは、ALDHの一種であるALDH2をつくる遺伝子の型の違いが大きく関係しているという。

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具体的には、分解能力が高いとされるN型、突然変異で分解能力が低下したD型があり、誰でも両親からいずれか一つずつを受け継ぐことで、たくさん飲める酒豪タイプのNN型(活性型)、そこそこ飲めるND型(部分失活型)、ほとんどアルコールを受けつけないDD型(失活型)の3パターンあるという。

ALDH2が強い(活性型)か弱い(失活型)かは、地域や人種によって傾向に違いがある。

アジア人、とりわけ日本人は失活型ALDH2の人が多く、東北地方(秋田、山形、青森)や南九州(鹿児島、沖縄)地方、四国南部などは活性型が多くなっている。

国立病院機構久里浜アルコール症センター・横山顕主任研究員らの研究では、部分失活型ALDH2が食道がんや咽・喉頭がんの発生リスクを高めると考えられるという報告もある。

もっとも、活性型ALDH2の人は大量のアルコールを摂取できることで飲み過ぎる危険性もあり、それは脂肪肝やアルコール依存症につながる。

お酒と上手に付き合っていけるかどうかは、ALDH2の型を知るとともに、それに対して自分をどう律していくかにかかっているといえる。

健康情報・本当の話

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  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本


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