SSブログ

森繁通り、千歳船橋商店街で森繁久彌の映画を思い出す [懐かし映画・ドラマ]

森繁通り

森繁通り(東京都世田谷区船橋)に行ってきました。俳優・森繁久彌の自宅が近くにあった商店街、京王線千歳船橋駅の北口・千歳船橋商店街がそう呼ばれるようになりました。通りには現在「森繁通り」の標識も設置され、お寿司屋さんは森繁久彌から贈られた色紙の看板を出しています。



京王線千歳船橋駅。

京王線千歳船橋駅

船橋3丁目に居住し、世田谷区の名誉区民である森繁久彌が利用した駅前北口商店街は、以前から“通称”で森繁通りと呼ばれていたそうです。

それが、森繁久彌一周忌を前にした2010年10月に、世田谷区より正式名称として命名されました。

森繁通り

商店街は、車が1台通るのも困難なところです。

商店街の真ん中あたりに、森繁久彌が生前行きつけの店だったという『寿司清』があります。

森繁通り

「森繁さんが好きだったくるみ、穴子、三ツ葉が決め手!ひさや巻一人前630円」と記されています。太巻きでしょうね。

森繁通り

「海鮮ちらし改め森繁通り丼、色とりどりの12種、タネが揃う、一人前1050円」と記されています。

森繁通り

まあ、あからさまな“森繁商法”ですが(笑)、非難するものではありません。

森繁久彌は国民栄誉賞も受賞していますが、国民栄誉賞だの、何とか殿堂だの“権威のあるもの”に政治的な都合を感じてしまう私は、それよりは世田谷名誉区民であることに価値を感じます。

なぜなら、「上から与える賞」ではなく、市井の称号だから。

森繁久彌が世田谷名誉区民になった経緯はわかりませんが、たとえば今年、新潟県三条市名誉市民になったジャイアント馬場は、市民の署名運動からはじまっています。

ジャイアント馬場、新潟・三条市の名誉市民
ジャイアント馬場、三条市名誉市民決定から改めて存在を思い出す

著名人が、自分と同じ町や区の出身だと、だからどうということはないけれど、ちょっと親近感を感じることってありませんか。

ビジネスの世界でも、たとえば「学閥」なんていうのは、一緒に学んだことはないのに、同じ学校の出身というだけで“仲間”という意識も反映していますよね。

スポンサーリンク↓

ナイーブで色気のある役


森繁久彌といえば、1960年代の東宝の屋台骨を支えた『社長シリーズ』(33作)『喜劇駅前シリーズ』(24作)、70年代以降はテレビに活躍の場を移し、『だいこんの花』(1970年~1977年、NET)『おやじのヒゲ』(1986年 ~1996年、TBS)向田邦子ドラマスペシャル(TBS)などに出演。

一貫して、ナイーブで、色気のある役を演じていたように思います。

私は、『喜劇駅前』シリーズと、

駅前旅館
東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.45)より

テレビでは『だいこんの花』シリーズが印象に残っています。



駅前シリーズは、喜劇とついていますが、もともと井伏鱒二の『駅前旅館』を原作とした、豊田四郎や久松静児らがメガホンを取っている社会派喜劇で、当時実際にあった出来事をシニカルに描いたものです。

つまり、爆笑というよりも、ストーリー全体から人間や社会の滑稽さを考えさせる「喜劇」です。

実際にドタバタのシーンもありましたが、それは主に伴淳三郎が担当し、森繁久彌はナイーブな役どころで、淡島千景に恋心をいだく、悩み多き設定でした。

上野
『駅前旅館』より

ここで一言させて頂くと、邦画、とくに喜劇とつくと頭から小馬鹿にする洋画崇拝者は我が国の、とくに高齢者に多いのですが、伊達や酔狂でシリーズ化されて映画会社の屋台骨を支えるほどのポピラリティは獲得できないわけですから、もうちょっと興趣をよく見てほしいな、と私は思っています。

『だいこんの花』は、竹脇無我と父子を演じましたが、亡くなった妻と、軍隊時代の部下の後妻(ともに加藤治子)がうりふたつで人知れぬ葛藤があったり、水の江滝子にフラれたりと、老いてますます盛んな色気のある役でした。

みなさんの地域では、「森繁通り」のような「おらが郷土の名士」を名前に残す場所はありますか。

あの日あの夜 - 森繁交友録 (中公文庫)

あの日あの夜 - 森繁交友録 (中公文庫)

  • 作者: 森繁 久彌
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2005/04/25
  • メディア: 文庫


nice!(287)  コメント(25) 
共通テーマ:映画

nice! 287

コメント 25

そらへい

森繁久弥さんを最初に見たのは、多分「七人の孫」
だったと思います。
白髪のお爺さん役でしたが、実際は髪が黒くて
若かったので驚きでした。
日本の喜劇、私は、「男はつらいよ」ですね。
「駅前シリーズ」から繋がるものがありそうですね。
by そらへい (2017-08-07 20:19) 

pn

知床旅情のイメージが強いかな俺は。
実際知床半島でテント張ってみたけど白夜では無かった(笑)
by pn (2017-08-07 21:30) 

nikki

思い出してみると、通りの名前より、銅像が多いかな。

500円ロースカツ画像は、スマホ携帯で撮影してます。
by nikki (2017-08-07 21:57) 

末尾ルコ(アルベール)

>邦画、とくに喜劇とつくと頭から小馬鹿にする洋画崇拝者は我が国の、とくに高齢者に多いのですが、

こういう方たちは、まずもって映画の歴史をご存じなく、映画の本当のおもしろさをご存じないのでしょうね。例えば現在も欧州を中心に映画ファン、映画関係者に神のように崇められている小津安二郎監督の作品にも軽喜劇のような内容がけっこうあって、そのユーモア感覚は『喜劇駅前シリーズ』のユーモアと十分繋がっているのだと思います。そもそも『喜劇駅前旅館』のキャストを見ただけでも、当時の超一流がずらり。この俳優陣を見て、「鑑賞したい」と思わない方は、「映画ファンではない」と言っても構わないと思います。
日本人が日本映画を鑑賞するメリットは無数にありますが、「台詞のおもしろさ」と「詳細な当時の社会風俗を味わえる」という二つはとても大きいですね。特にかつての日本映画の台詞は、現在の日本映画の中にもほとんど残ってないもので、「日本語の可能性」を広げるのに大いに役に立ちます。現在の映画やドラマで使われている日本語がいかにも貧しく、つまらなく、品なく感じられてしまうくらい、豊かな日本語の世界がありますし、一級の俳優たちの所作にも目を奪われます。今は「一級の俳優」自体、ほとんどいないという状況になってますものね(笑)。
「一級」という関連で言えば、一級の俳優や歌手はどんどん「通り」などの名前にしてほしいですね。日本人は特に近年、俳優や歌手に対するリスペクトが足りないし、「誰が一級」かが分からなくなっています。「売れている者が一級」だというわけではないんですね、特に近年は。
「国民栄誉賞」は廃止にしてほしい、というのがわたしの偽らざる感想です。そもそも今の政治家の連中、じゃなくて(笑)、皆様に文化芸術のことなど理解できるわけがない。フランスなどであれば、文化芸術について語れなければ、「エリートではない」となりますが、日本の政治家はそうしたことは普段念頭になさそうです。はっきり言って、「国民栄誉賞」の選考基準はめちゃめちゃだと思いますので、「廃止」が妥当なのではないかと。

八代亜紀と五木ひろしに対するお考え、わたしもまったく同感でございます。特に八代亜紀に関しては、いっぷく様が「人間性」まで高く評価しておられて、わたしとしても心強い気分となりました。もうずっと前から日本歌謡史上屈指の大歌手に間違いないのですが、確かに最近歌番組へ出演する姿を観ても、若手の歌手たちに対して偉ぶる雰囲気はないし、常にポップなユーモアが出てくる楽しさも持った方だと感じておりました。歌に関してはもう、「八代亜紀がやることなら、何でもいい」くらいのレベルではないでしょうか。唯一無二のあの声で、しかも本物のソウルを感じさせる歌を聴かせてくれる。本当に素晴らしい歌手だと思います。浜美枝とのご比較も、興味深く拝読いたしました。「文化人」や「政治家」(笑)の方へ流れる芸能人って、どうも嫌ですね。まあ、稀にそちらが合っている人もいるようですが。

五木ひろしも現在は、日本歌謡史の中でおそらく空前絶後の存在になっているのではと考えております。何よりも、衰えぬどころかますます「技術」も「心」も誰も到達したことのない域を突き進んでいるかの如き歌唱が凄いし、後輩に対するアドバイスや激励などもおそらく非常にまめにやっているのだと想像します。さらに司会を務める番組などで、「日本歌謡史」を後世に伝えていこうという行いを常に実行しているようです。船村徹など、恩を受けた方々に対するリスペクトも常に語っておりますし、食事などの節制も素晴らしく、頭の柔らかさにも驚かせされます。
森進一は少々、「昔ながらの日本男性」のイメージが強すぎるのかなと感じます。話すときにもユーモアなどをなかなか発揮できるタイプではないですし。ただ、実績的には偉大な歌手の一人だったことは間違いないのですが、今回の『思い出のメロディー』にも出ていましたけれど、最盛期と比べると、歌の力も衰えた感じで、その点も五木ひろしとは大きな差ができてしまっている感があります。  RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2017-08-07 22:25) 

chima

森繁商法のお店、うちの近所にも2件もあります
撮影所が近いといえば近いからかなぁ…
by chima (2017-08-08 00:04) 

うつ夫

観光客の気持ちも満たされれば、森繁商法も悪いことではありません。
by うつ夫 (2017-08-08 00:33) 

yamatonosuke

ひさや巻き食べてみたいです〜
by yamatonosuke (2017-08-08 01:05) 

ナベちはる

看板に書いてある言葉、とてもいい言葉だと思いました。
by ナベちはる (2017-08-08 01:20) 

斗夢

よく見ました。
地縁と云うんでしょうね、東北・・・山形県生まれの伴淳の
ほうが好きでした^・^。
by 斗夢 (2017-08-08 05:29) 

yumibaba

森繁の社長シリーズ、父親と一緒に見に行き
ました。いい俳優でしたね。
若い頃の森繁は父親とだぶるので、いつ見ても
うれしくて頬がゆるみます。
by yumibaba (2017-08-08 05:42) 

なかちゃん

森重久弥の主演映画はまだ観たことないんです。
まぁ、今はDVDとかがあるからいつかは観るとは思います ^^;
おらが郷土の…は、聞いたことがないですね。
県西部の高岡市と氷見市には藤子不二雄のそれぞれのミュージアムがあるようですが、街全体がそれを商売のネタにしてもいないようです。
両市を繋ぐ万葉線にはドラえもん電車が走っているくらいですかね(^^)

by なかちゃん (2017-08-08 07:32) 

kou

森重さんと言えばやはり「知床旅情」ですね。
若いとき、北海道をバイクで旅したことを思い出します。
by kou (2017-08-08 07:38) 

Take-Zee

こんにちは!
森繁さん、寅さん・・昭和が遠くなりましたね。

by Take-Zee (2017-08-08 08:23) 

チャー

森繁通り 狭い通りですが おつな味が漂う通りですね 世田谷区名誉市民 役者さんは特に 人に支えられてのお仕事 こちらの方が 素敵です
森繁さん お茶目なエロさが魅力的な役者さんでした 笑顔と歌声 思い出しますね

歩道橋 揺れていますよねー(^^)
足元が 時々 モコモコって地震のように感じる時もあります
by チャー (2017-08-08 10:50) 

johncomeback

「だいこんの花」観てましたが内容は殆ど覚えていません。
僕が住む多賀城市出身の有名人は一昨年のロッテの
ドラフト1位だった平沢大河選手くらいかな?
俳優の安田顕は高校の後輩ですが10歳以上年下で面識はありません。
by johncomeback (2017-08-08 10:59) 

JUNKO

私もよく映画見ました。そんな通りがあるんですね。みんなに愛され親しまれていたからでしょうね。
by JUNKO (2017-08-08 11:30) 

まめ

枚方の名誉市民でもありましたよね、たしか・・・
うろ覚えだぁ。

by まめ (2017-08-08 12:22) 

Rinko

森繁久彌さん、とても優しい字を書くのですね^^
ひさや巻き、食べてみたいですね~!
by Rinko (2017-08-08 12:41) 

ミムラネェ

こんにちは
森繁久彌さんの字の看板 温かみがあっていいですね~
美味しさの秘訣の最後が おやじの手あかってのが・・・
店主への信頼感が垣間見えて ほっこりしますね^^
by ミムラネェ (2017-08-08 14:04) 

makkun

私はSAKURA系の現像所の営業マンの時に
千歳船橋駅界隈を開拓しまわっていたのですが
今から45年位前ですので
森繁さんは現役で活躍していた頃ですね~
今は「森繁通り」と言うのが出来たんですね~(^^
虫刺されに塩を刷り込む事は知ってました~
蕁麻疹には朝顔の葉を揉んで汁を塗るとか・・・
子供の頃に教えて貰ってました。
by makkun (2017-08-08 15:33) 

えくりぷす

森繁さんの映画といえば、3年くらい前によく見てました。最初NHK-BSで「三等重役」(原作:源氏鶏太)を見て面白くて、その後BSフジが、三等重役の続編である社長シリーズを土日にやってたので、時々録画していました。まあ、マンネリでしたが、あんなサラリーマンならなりたいものです。
by えくりぷす (2017-08-08 16:55) 

アールグレイ

森重通りなるものがあるのですね。
色紙もあじわいがありますね。
おちゃめで、何でも許せるようなところがあるのが、
森繁久彌さんでしたね^^
by アールグレイ (2017-08-08 17:05) 

ヨッシーパパ

名言かもしれませんが、やはり「てあか」には、マイナスのイメージしか湧きません。orz
by ヨッシーパパ (2017-08-08 19:03) 

うっかりくま

西荻窪にかつて通称「丹波哲郎通り」と呼ばれた
小道がありました。家が見えないよう高い塀が
張り巡らされ、芸能人は私生活を守るのも大変
なんだなあと思っていました。

by うっかりくま (2017-08-09 00:45) 

ヤッペママ

森重久弥さんや昭和のスターを知らない方も多くなりました。
by ヤッペママ (2017-08-09 19:16) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます