三菱レイヨン・クリンスイCSPX-NWが、我が家が使っている浄水器であると以前書きました。今もカートリッジを定期的に交換しながらそれを使っています。今日は、水道水の安全性について私が調べたことを書いてみたいと思います。
我が家の浄水器が『三菱レイヨン・クリンスイCSPX-NW』であることは、2013年3月10日の記事「
浄水器を使って水道水の価値を再認識」でご紹介しました。
我が家の三菱レイヨン・クリンスイCSPX-NW
浄水器をとりつけた理由は、十分に沸騰させないまま火を落とすことによるトリハロメタン対策と、赤さびを取り除きたかったためです。
ですが、我が家の給水システムが給水管からの供給ではなくなったのと、十分な沸騰を心がけることで、もう浄水器も要らないかな、と考えつつあるところです。
本来、我が国の水道水は「生水で使える」だけの水質基準はクリアしています。
ということで、今日は水道水の安全性について書いてみたいと思います。
わかっていることに学ばない「批判精神」に意義はない
一昨日の記事、「
『「原発ゼロ」プログラム』研究者による未来に向けた提案」でも書きましたが、世の中には、はっきりと答えが出ていないことや、リスク自体は確かにあるのを口実に、危機を必要以上に煽る潮流があります。
たとえば、食品添加物や、水道水や、今なら電磁波や、PM2.5、原発による放射能・放射性物質などがそれにあたります。
科学的根拠があろうがなかろうが、危機意識を持つのはその人の自由ですし、“アンチ”の声は、BSEやアスベスト等の事件を考えると、抑止としての価値をもつかもしれないので、多様性尊重という意味から存在を否定はしません。
アスベスト対策に浄水器は必要か
ただ、せっかく科学で、“ここまではわかっている”ということがあるにもかかわらず、それまで否定してキケンを煽ることは、関係者を傷つけ、社会的な損失を招く行為であると私は思います。
げんに水道水は、残留塩素やトリハロメタンを口実に、否定する人たちがいますね。
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塩素が残留している水道水は危険か
水道水には、細菌などの病原微生物を消毒する目的で、一定量の塩素を加えることが、法律(水道法)で義務づけられています。
ところが、『水道水も危ない!』(中村三郎著、酣燈社)というキケン煽り本によると、塩素は危険だから、塩素が残留している水道水は危険だ、と書かれています。
本当にそうでしょうか。
塩素は消毒のためですから、もし、水道水が汚染されていれば、水中の塩素は消費されて残留しなくなります。
しかし、水道水には塩素が検出される。
ということは、我が国の水道水は、汚染されていない証拠(つまりそれだけ安全)なのです。
もちろん、塩素そのものに害があったら困るという心配はあるでしょう。
そこで私は、塩素の残留について直接東京都水道局に問い合わせています。
「残留塩素につきましては、1リットルあたり0.1㎎以上0.4㎎以下を目標として、今後とも低減化に取り組んでおります」(東京都水道局。サービス推進部広報サービス課)
水道水の残留塩素数値は、各水道局ごとに、ネットに公開されていますが、少なくとも都内131箇所の検査では、0.4㎎程度を維持しているようです。
いえ、東京だけではありません。地域によってバラツキはあるものの、全国的にこの数字は堅持されています。
WHOの飲料水水質ガイドラインでは、生涯にわたり水を飲んでも、人の健康に影響が生じない塩素濃度のガイドライン値は、5mg/リットルとされています。
つまり、我が国の水道水は、世界的に検証された安全といわれる数値よりも、桁がひとつ少ない優良なレベルを維持しているのです。
トリハロメタンは大丈夫か
もうひとつの「キケン」であるトリハロメタンは、水道水に塩素処理を行うことで生じる新たな有害物質です。トリハロメタン自体に発がん性が指摘されているため、煽り好きな人は、生水を飲むとがんになるかのような騒ぎ方をしています。
トリハロメタンは、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの4種類が該当し、それぞれの数値の合計である「総トリハロメタン」は、生涯にわたり水を飲んでも人の健康に影響が生じない水質基準が、我が国では0.1ppm以下と決められています。
これも、東京都水道局に尋ねました。
こちらも「水道水中に含まれる総トリハロメタンの量は、常に水質基準値(0.1ppm)以下」(同)といいます。
都内131箇所の水質検査については、塩素やトリハロメタンだけでなく、農薬類やウラン、臭気などの調査結果も公式サイトで公開されています。(
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/kekka/)。
キケン煽り本に書かれている虚偽
ところが、前出の『水道水も危ない!』(酣燈社)によると、「0.1ppm以下というのは果たして安全基準なのかどうか」と、我が国の基準値そのものに文句をつけています。
トリハロメタンの基準値が、WHOでは0.03ppm以下、ドイツは0.025ppm以下だから、「これらの基準値に比べれば日本の基準(0.1ppm)は大幅に超えており、飲料水として失格」と断じているのです。
一昨日書いた、社会にケチを付けて目立ちたい人たちにとっては、ここを見て鬼の首でもとったように「社会の危機」と騒ぎ立てるかもしれません。
しかし、実はこれほどインチキな文句もありません。
というのは、我が国が定めているのは「総トリハロメタン」です。それは前出の4種類の合計値であり、それが「0.1mg/リットル」と定められているのです。
ところが、WHOが定めた「0.03ppm以下」というのは、その中の一つであるクロロフォルムだけの値です(さらに、現在のWHOではクロロフォルムの数値自体「0.03」ではなく「0.3」になっていることも付記しておきます)。
WHOには、「総トリハロメタン」の基準値は設定されていません。
ひとつひとつの基準についてみると、我が国の基準が、WHOのそれを上回るものはひとつもありません。
WHOの基準4種類を合計した「総トリハロメタン」は0.46mg/リットルで、我が国の定めた「0.1mg/リットル」を超えています。
要するに、「大幅に超えている」のはWHOの方であり、実際は我が国の基準は、WHOよりもずっと厳しいのです。
「水道水がキケンだからミネラルウォーター」という選択は……
「水道水が危険」とさわいでいるあなた。
その根拠はどこにあるのか。もう1度自分の主張を検証してみましょう。
冒頭に書いたように、水道を供給される環境は地域によって、また建物によってかわります。
たとえば、給水管からの水道水供給宅の人が赤さびをとったり、すぐに使う水なので、最終的な塩素除去を行うために浄水器を利用することは間違ったことではありません。
しかし、それは水道水がキケンだからではありません。
生水の状態で、これほど安全性と、さらにいえば(好みもありますが)おいしさが揃った水道水の供給は、我が国が世界的に誇れることだと私は思います。
水道水と、非水道水(ミネラルウォーター、井戸水等)では、安全チェック項目が全く違い、水道水のほうがずっと厳格です。
ですから、水道水がキケンだからミネラルウォーターにしているというあなた。
科学的にそれは間違いではないでしょうか。
もちろん、味や好みの問題なら別です。
ただ、水道水で済ませるよりも、市販の水を使ったほうが高くつくのは間違いありませんから、お金をかけて、安全管理のより低いものを選ぶことになっているわけで、その点は気をつけられたほうがいいと思います。
健康情報・本当の話
- 作者: 草野 直樹
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2008/05
- メディア: 単行本
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