『目を温めれば 視力はよくなる!』(中川和宏著、アスコム)を読みました。書名の「温める」というのは、目の体操やツボ押しなどで、目の血流を良くすることです。それによって、近視や老眼が改善されるという話です。簡単なトレーニングとともに、食べ物や日常生活の改善にも触れています。
これまで、中川和宏氏の寄稿や著作については何度かご紹介してきました。
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『驚異の視力回復法』で視力は回復するか
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ピンホールアイマスク、視力回復説の真相は?
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『進化版 視力アップアイグラス』で視力は回復するか!?
これまでの書籍は、簡単に述べると、眼は脳の影響を受けているので、脳までの一連の動きを鍛えるトレーニングをすることを説いています。
今回の『目を温めれば 視力はよくなる!』ですが、近眼や老眼は「目の冷え」が原因であるから、同書の提唱する「目の体操(ビジョン・フィットネス)」を行うことによって、「目の冷え」を解消、すなわち血流を良くすることで視力を回復させるというのです。
では、どうやって温めるのか。
それは、「たった3つのトレーニング」と「食べ物」です。
そして、目のトレーニングが脳も若返らせることができるというのです。
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3つのトレーニング
トレーニングというと、支度と準備と心構え、さらに持続できるかどうかが気になりますが、3つのトレーニングはいずれも、現在の日常生活の中にすぐに導入できることばかりです。
目のパチパチ体操(クロージング・オープニング・フィットネス)
目のパチパチ体操(クロージング・オープニング・フィットネス)とは、眼筋のストレッチです。
眼球の動きを支えるのに必要な外眼筋と、ピントを合わせる毛様体筋を総合的に動かす効果があるといいます。
これは、1~8までの動作で1セットですが、1セット10秒ずつ1日1回でいいのだそうです。
眼をギュッと閉じて→上を見る→眼をギュッと閉じて→下を見る→眼をギュッと閉じて→右を見る→眼をギュッと閉じて→左を見る
これだけです。
もちろん、「上を見る」といっても、首や頭を動かすのではなく、そのままの状態で目だけ上下左右に動かします。
同書では、図解でわかりやすく書かれています。
目のパチパチ体操によって、「目の周りの表情筋も使うので、目の冷えが解消し、血流が促進されて、血管の強化にもつなが」ると書かれています。
目のツポ押し体操(ビジョン・マッサージ)
これもタイトル通りで、目の周りに点在する眼のツボをマッサージすることで、血流を良くして「目を温める」ものです。
具体的に、目の周りのどこをどう押すといいのかは同書に詳しく書かれています。
指先追いかけ体操(シフティング)
動体視力を鍛える体操です。
右手か左手の人差し指を顔から30センチ話したところに出して、前後左右に動かして目で追う体操です。
これも同書では図解で説明しています。
パソコンやスマホを長い時間使うと、同じ所(画面)をずーっと見るために、目を動かす能力が衰えることから、早く動くものに目がついていけなくなるのです。
そこで、指先追いかけ体操をするといいそうです。
目を冷やす7つの原因
そして、「目を温める」のに何よりも大切なのは、普段から目を冷やさないことといいます。
中川和宏氏は、目を冷やす7つの原因をあげています。
1.至近距離のものを見続けて、目を酷使している
2.太陽光を浴びずに、人工光ばかり浴びている
3.目と脳に疲労が蓄積している
4.消化しきれないほど過剰な情報を摂取している
5.過度のストレスを溜め込んでいる
6.冷え性である
7.メガネ、コンタクト、オルソケラトロジー、レーシック手術に頼る
7については、目が冷えているのに、それを放置して矯正しても根本的な解決にはつながらない、という話です。
目に良い食べ物
食べ物によって、血流や血管の若返りをはかろうとも書かれています。
中川和宏氏いわく、現代人の食生活には2つの欠点があり、それは、
タンパク質不足
抗酸化物質不足
だそうです。
意識的にたんぱく質の食品を摂るということと、ロドプシン、イチョウ葉エキス、ルテインなどが具体的に紹介されています。
ただ、抗酸化といっても、それはヒトの体内でどのような作用をもたらすか、具体的にどんな疾病にどう効くのか、といったことはほとんどが明らかではないので、私は懐疑的です。
また、たんぱく質が、人間の体を作るのに必要な栄養素であることはわかっていますが、だからといって食べ過ぎては別の弊害があるかもしれません。
今日発売の『週刊文春』では、卵4つで糖尿病対策になるようなことが書かれていますが、卵の食べ過ぎは悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増やすという説もありますし、これまでの食生活のバランスを崩すことで、逆に不健康な方向に進まないとも限りませんから、注意が必要です。
結論
ネットのレビューを見ていると、実践したけれども視力は良くならないという苦情もあるようですね。
上記のトレーニングを少ししたぐらいで特効的な効果があるのなら、とっくにノーベル賞ものでしょう。
手っ取り早く結果を得たがる、読者の了見もいかがなものかと思いますよ、私は。
いえ、こんなもの効果があるはずがないといっているのではありません。
眼の筋肉や血流の改善というのは、目にとって間違ったことではないと素人でも何となくわかります。
ただ、中川和宏氏の直々の指導ならともかく、本を見て自分で試すだけで、今まで近視だった人が急になんでも見えるようになるかといえば、そこまで劇的な効果を短期的に期待するのはムシが良すぎると思うのです。
とりあえず、同書を、目のコンディションを守る、疲れさせないようにしていたわる、ための参考にすればいいのではないでしょうか。
そして、このトレーニング法が合う、もっと本格的にやってみたいと実感したら、この方のフィットネスセンターに通えばいいと思うのです。
関心のある方は、この『目を温めれば 視力はよくなる!』をご自身で御覧ください。
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