倉本聰氏の『ドラマへの遺言』という『日刊ゲンダイ』の連載が好評なようですね。脚本家の倉本聰氏がネットのヤフコメでもお馴染みの碓井広義氏(テレビプロデューサー、上智大学文学部新聞学科教授)を聞き手に過去の仕事から「新事実」を暴露しています。
倉本聰氏のコーナーはデジタルでも読めますが、登録が必要です。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3212
『やすらぎの郷』(2017年4月3日~9月29日、テレビ朝日)というドラマが、実話をエピソードに構成されていることが話題になりました。
倉本聰氏は、『6羽のかもめ』(1974年10月5日~1975年3月29日、フジ)という劇団を舞台にしたドラマでも同じ手法を採り入れており、テレビドラマ界に対する批判精神と、カリカチュア精神が旺盛なようです。
テレビプロデューサーの碓井広義氏を聞き手に毎日連載をしているのですが、毎回、エピソードの「新事実」や、「ドラマの作り方」についての考え方が披露されていて読み応えがあります。
たとえば、1月26日発行(日付は27日)には、浅丘ルリ子と石坂浩二の“なれそめ”が書かれています。
その人の性格、とくに欠点を書かなければ個性にならないので、俳優とは深く付き合うようにしていたそうですが、八千草薫とは1年半かかったといいます。
1度は、「あの人のおならの音が分からないと書けない」と断ると、八千草薫は「でしたら、新珠さんのおならの音も分かりませんでしょう?」と言うので、新珠三千代に嫉妬心を抱いていることがわかり、書けるようになったと述べています。
余談ですが、聞き手の碓井広義氏は、2014年の御嶽山噴火の際、「心肺停止」という報道に物申して、期待させるような表現はよくないのではないか(ほぼ「死亡」なのにという意味?)、という旨のツイートをしていたので、私が絡んで、「心肺停止でも助かった者もいる。心肺停止は心肺停止で死ではない」と反論のツイートをしたことがあります。
私は気が小さいから、ツイートしてからドキドキしましたが(笑)、碓井広義氏は、何も反論せず私のアカウントをフォローしてくれました。
ま、その一方では、ありふれた異論を返しただけでブロックする、オウムで有名になったジャーナリストのような人もいますけど(苦笑)
SNSともいえないツールの、たかが140字のやりとりでも、その人のありようが垣間見えるもんですね。
それはともかく、ドラマ好きの方は、ぜひご覧いただきたい連載です。
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倉本聰ベスト5
私が倉本聰作品で、印象深かったものを順不同であげます。
『ぶらり信兵衛道場破り』(1973年10月4日~1974年9月26日、東映/フジテレビ)
『ぶらり信兵衛道場破り』第1話より
侍社会に愛想を尽かした剣の達人・松村信兵衛(高橋英樹)が、自分の身分は隠して「十六店(じゅうろくだな)」といわれる裏店長屋に暮らし、道場破りで金を作って長屋の人々を助けながら、人の心が通う暮らしとは何かを考えさせる話です。
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『ぶらり信兵衛ー道場破りー』剣の達人を隠す主人公の時代劇
『あなただけ今晩は』(1975年7月26日~9月27日、フジテレビ)
夫(藤田まこと)を残して先立った妻(若尾文子)が、幽霊になって夫の部下(仁科亜季子)との再婚までを見届ける話。
妻のことは、夫の兄(中条静夫)にだけ見える設定のため、若尾文子と中条静夫のツーショットが実現。
古い映画ファンならご存知と思いますが、かつての大映の主役と万年大部屋です。
つまり、映画時代の序列を倉本聰はぶちこわして、テレビに新しい価値観をもたらした点が素晴らしいと思います。
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中条静夫の俳優人生を変えた『あなただけ今晩は』
『6羽のかもめ』(1974年10月5日~1975年3月29日、フジテレビ)
ある6人の劇団を舞台に、テレビドラマや映画の制作、俳優や監督、脚本家などの実在のエピソードを1話完結で描いています。
子供の頃見ていて、パートナーのいる主演女優が、監督と関係してしまうことに衝撃を覚えました。
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『6羽のかもめ』業界裏話を描き映画の価値観を崩した倉本聰ワールド
『大都会 闘いの日々』(1976年1月6日~8月3日、石原プロ/日本テレビ)
『大都会 闘いの日々』第1話より
石原プロの刑事モノというと、派手な『西部警察』が有名ですが、こちらは、マル暴担当刑事(渡哲也)と事件記者クラブのキャップ(石原裕次郎)を中心とした地味な設定で、敵は暴力団という、従来の刑事物とは違ってリアリティを重視。
『大都会 闘いの日々』第1話より
しかし、それはあまり視聴率に繋がらず、その反動から、エンタメ性の強いド派手な撃ち合いの『西部警察』に行き着いたのではないかと思われます。
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大都会 闘いの日々
『浮浪雲』(1978年4月2日~9月10日、石原プロ/テレビ朝日)
『浮浪雲』第1話より
元は武士でしたが、今は飛脚問屋を営む「夢屋」のカシラ・雲(渡哲也)一家(桃井かおり、伊藤洋一)の話。
カシラは昼はナンパ、夜は芸者・おちょう(岡田可愛)と酒を飲んで「あっち向いて、ホイ」や野球拳で遊んでいます。
時代考証など「デタラメ」さが程よく、肩の力を抜ける楽しいドラマに仕上がっています。
当時は、このドラマを見て楽しみ、気分転換をして日曜日を終え、新しい週の学校生活に気持ちを切り替えました。
⇒
『浮浪雲』渡哲也、桃井かおり、伊藤洋一、柴俊夫、石原裕次郎
次点は『前略おふくろ様』ですね。
ということは、全部「昭和のドラマ」でした。
みなさんは、倉本聰ドラマというと、どんな作品を思い浮かべますか。
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倉本聰さんって言うと、真っ先に出てくるのはやはり『北の国から』でしょうか^^
連続ドラマから、スペシャルまで楽しみに見ていました。
でも、知りませんでしたが『前略おふくろ様』や『浮浪雲』とかもそうなんですね。
知らないだけで、結構倉本作品見ているのかな~と思いました^^;
by ゆりあ (2018-02-12 23:38)
倉本聰ベスト5・・・残念ながら、一本も観ておりませんでした。
見てもいないのに、倉本作品よりも山田太一の方が好きなどと、これは一部の作品の全く個人的な感想ながら。。
「やすらぎの郷」は都合が合う時だけ見ていました。
「やすらぎの郷ロス」などと言う言葉もあったものの、彼のドラマは会話を楽しむものだから、毎日見ていないと理解できないものなのでしょうね。
by hana2018 (2018-02-12 23:47)
「北の国から」は私でもすぐ出てくるのですが、それ以外は全く出てきませんでした…
by ナベちはる (2018-02-13 00:10)
はぐれぐもは見たことあります。
by ヤマカゼ (2018-02-13 00:12)
倉本ドラマで思い浮かぶのはやはり北の国からですね。
テレビ朝日で放送されている昼ドラマ、3月終了後は1年間製作準備のため休止して、やすらぎの郷第2弾ともいえるドラマを1年放送するのだとか。
by nikki (2018-02-13 00:33)
「北の国から」がリストアップされてないのは可笑しい
by deepredcocktail2 (2018-02-13 01:23)
倉本聰『ドラマへの遺言』有名俳優結婚秘話や「おなら」の話・・・倉本聰は様々なエピソードがある人ですね。ただわたしはあまりその作品を観ておりません。八千草薫のエピソードがおもしろいですね。最近観た岸恵子主演の『雪国』に八千草薫も出演していたのですが、その綺麗なこと、可愛らしいこと。顔立ち自体に見惚れてしまいました。もちろん凛とした佇まいは若い頃もそのままで、年齢を経ても映画、テレビドラマとイメージを崩さずに活躍している姿にいつも敬服しております。年を取ると、イメージが激変してしまう俳優もおりますが、若き日のイメージを保持したままで年輪を重ねた充実の演技を見せてくれる人たちは素晴らしいですね。
>ありふれた異論を返しただけでブロック
困った似非ジャーナリストですね。「愚劣な人間性」を観察するには格好の人物の一人ではありますが(笑)。
『大都会』って、倉本聰なのですね。これはけっこう観ていたのですが、知りませんでした。石原裕次郎と倉本聰があまり繋がらなかったです。でも視聴率が取れなかったのですか。「いいもの」が評価され、「一般的人気」に結びつくような文化土壌が本当に必要です。日本もおそらく昭和70年代くらいまではそのような傾向が十分あったのだと思いますが、それが現在に至るまでにどんどん崩壊。ここ数年、映画興行は好調のようですが、ヒットする作品のほとんどは愚にもつかないものばかりです。
『浮浪雲』は何と言っても、渡哲也と桃井かおりのコンビが秀逸でした。「大人の俳優」だけが出せる軽妙さ、可笑しさだったと思います。なにせ今は俳優たちも「お子様」がほどんどなので、この二人のような境地は望むべくもありません。
『愛ふたたび』という作品は、わたしは観ておりません。と言いますか、若き日の浅丘ルリ子はまだほとんど観てないのです。
そう言えば、昨年のNHK『思い出のメロディー』に小林旭、浅丘ルリ子の二人が出ていました。浅丘ルリ子はある時点から(笑)だいたい外見的にあまり変わってないのですが、小林旭の太り様には吃驚で、最初誰だか分かりませんでした。小林旭の映画もあまり観てないのですが、「カッコいい人」というイメージはずっと持っていて、歌も好きなだけに、(何で、こんなに太っちゃったの~~)でした(笑)。
『男はつらいよ』のリリーさんは有名ですね。しかし4回も出てたのですね。わたし、『男はつらいよ』はだいたい観ているのですけれど、どうも大雑把な鑑賞をしてきたようで、「その作品がどう」とか、ほとんど説明できないのです(とほほ)。寅さんがウィーンへ行った作品だけはとても印象が強かったのですが(笑)。だから少しずつ復習もしていかねばと思っています。なにせ日本映画黄金期がとうに終わった後も、ずっと人気シリーズとして続いていた凄い映画ですからね。渥美清がもっと長く元気であれば、まだまだ回を重ねていたのでそうね。その意味ではとても残念です。でも山田洋次監督がいまだにバリバリなのは頼もしいところです。
石坂浩二が「泣き出した」というエピソードもスゴイですが(笑)、それ以上に倉本聰が「森光子に馬乗り」という図が脳裏に浮かんでは消え(笑)、少々病みつきになりそうです。
布施明はオリビア・ハッセーと「意味不明婚」をしただけあるのですね(笑)。オリビア・ハッセーは米国ではB級、C級クラスの女優でしたが、日本では『ロミオとジュリエット』のイメージで人気がありました。しかし布施明、今でも声はなかなかのボリュームを保っております。わたしは歌手としては、尾崎紀世彦の方が好きでしたが。
『愛の渇き』の石立鉄男はよかったです~。調べたら、映画もけっこう出てるんですね。わたしもアフロヘア姿のテレビドラマを何本も子どもの頃に観ており、あのキャラクターが「=石立鉄男」と思っておりましたから。それにしても渥美清は偉大ですね~。いやホントに、いますぐ寅さんを観たくなりました。
>その俳優人生全般を評価する読み物があればなあと思いますね。
同感です。もっと俳優たちのキャリアを的確に評価できる日本であってほしいですね。その意味でも、いっぷく様のこのブログは、俳優たちの様々な側面をいつも教えてくださり、本当に素晴らしいと常に敬服いたしております。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2018-02-13 02:08)
みなさん、コメントありがとうございます。
>「北の国から」がリストアップされてないのは可笑しい
>by deepredcocktail2 (2018-02-13 01:23)
「可笑しい」という表現こそ可笑しい
誰が何の作品をどう評価するかは自由のはずです。
「北の国から」は後半観ていないので、全部観ていないものをエラソーに論じる厚かましさは持ち合わせていません。
ということは、ご紹介したものは全回目を皿のようにして見た上で書いているということです。
by いっぷく (2018-02-13 02:57)
浮浪雲だね浮浪雲、たまにしか見れなかったけどあの雰囲気好きだったなぁ。あとで原作読んだけどイメージが(^_^;)
by pn (2018-02-13 06:19)
浮浪雲観てました~これで
渡哲也さんのファンになりました
桃井かおりさん素敵でした~
憧れましたねぇ
前略おふくろ様も欠かさず観てたなぁ
懐かしい~(^^)/
by みうさぎ (2018-02-13 10:02)
南こうせつの歌に『なんて倉本聰の台詞はいいね~♪』ってのがあったから名前だけは知っていましたが、ドラマは全く知りませんでした。
でも、どれも好きなドラマばかりです(^^;
by なかちゃん (2018-02-13 11:49)
倉本聰さん ドラマへの遺言
作品への想いと演じた俳優さんのこぼれ話 山程ありそうですね
アイスプラントを自家栽培していたお店
笑っちゃいました^ ^
by チャー (2018-02-13 13:51)
ベスト5ですか、「浮浪雲」しか観ていませんでした。
倉本聰氏といえば僕にとっては「北の国から」です。
by johncomeback (2018-02-13 14:33)
こんにちは!
”やすらぎの里”は見ましたが
つまらん・・でした!!
by Take-Zee (2018-02-13 14:56)
倉本聰氏ですが、私は「拝啓、父上様」しか見ておりません。シナリオ本も近所の図書館にありましたので、読みましたが、プロの書き手とはこういうものなんだろうな、という印象を持ちました。そういえば、おばあちゃん役は八千草薫さんでしたね。
「あなただけ今晩は」は、ビリー・ワイルダーとジャック・レモンの名コンビによる名作映画は知っておりますが、同名のドラマを倉本氏が書いていたとは…
「ぶらり信兵衛…」の松村信兵衛はどっかで聞いたようなと思ったら、NHKのBS時代劇で高橋克典がやってました。
by えくりぷす (2018-02-13 15:19)
北の国からで名前を知りましたが、大都会も浮浪雲も前略おふくろ様よく見ていました。
by ヨッシーパパ (2018-02-13 19:18)
脚本・倉本聰を目にすると
硬軟・心・想いを巧みに表現する
プロ中のプロと思っている私です。
by makkun (2018-02-13 20:20)