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『ありがとう』第2シリーズ、3部のうち視聴率が最も高かった理由 [懐かし映画・ドラマ]

ありがとう第2シリーズタイトル

『ありがとう』第2シリーズ(1972年1月27日~1973年1月18日、TBS)が、無料のBS放送局『BS12トゥエルビ』で10月5日から放送することが発表になりました。同作は、高視聴率歴代ランキングに今も名を連ねる「お化けドラマ」ですが、現在までDVD化されておらず、ファンはBSやCSでの放送を待つしかありませんでした。私もTBSチャンネルで放送されて以来、13年ぶりで視聴することになります。

『ありがとう』第2シリーズの第48話(1972年12月21日)は、視聴率56.3%を叩きだしました。

水前寺清子が、密かに想っていた勤務先の医院の息子(石坂浩二)と遂に結婚する回です。

ドラマの視聴率ランキングは時代ごとに区切られていることが多いので比較が難しいのですが、過半数の数字というのはいずれにしてもスゴイですね。

塚原俊平という元運輸大臣が、電通のサラリーマン時代、『ありがとう』を観たいから残業を拒否したというエピソードを聞いたこともあります。

『ありがとう』というのは、石井ふく子プロデューサー、平岩弓枝脚本によるホームドラマで、全4シリーズ放送されました。

うち、1~3までが、水前寺清子、山岡久乃の母子家庭を中心とした物語でした。

第1部は、母子が九(いちじく)保育園に住み込み、水前寺清子が婦人警官、山岡久乃は保育園のまかないに従事していました。

第2部は、十(つなし)医院に住み込み、水前寺清子が看護婦(看護師)、山岡久乃が准看護婦(准看護師)として働いています。

第3部は、母子が商店街で魚屋を営み、精肉店、青果店、酒屋、荒物店、電気店、焼き鳥屋などとの交流を描いています。

第1部の頃は、山岡久乃が、水前寺清子に教え諭すシーンが多かったのですが、シリーズごとに母子の関係に変化があり、第3部になると、山岡久乃が再婚し、水前寺清子が一人で魚屋を切り盛りするなど、水前寺清子が子として、人間として成長していきます。

私は個人的には、第3部がいちばん好きなんですけどね。

第4部は、京塚昌子と佐良直美にバトンタッチ。

姉妹作といわれる『明日がござる』(1975年10月2日~1976年9月30日)では、水前寺清子、山岡久乃が嫁と姑の関係を演じました。

今にして思うと、『明日がござる』は、『渡る世間は鬼ばかり』の初期の雰囲気と似ています。

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女性にとっての「星の王子様」と「玉の輿」


第1部~第3部まで、水前寺清子の相手はいつも石坂浩二で、すべて結婚することになっています。

その中で、今回放送される第2部がどうしてそれほど視聴率が高かったか。

星の王子さま+玉の輿に乗った設定

だからだと思います。

第1部は、石坂浩二は九保育園の夫婦に引き取られて育った孤児でした。

第3部は、青果店の息子で、魚屋の水前寺清子とは、同じ商店街で店を構える「対等の関係」でした。

第2部だけは、医院の跡取り候補である医師と、片や母子家庭の住み込み看護婦という、「身分の違い」がわかりやすく描かれていました。

このドラマの放送された1970年代といえば高度経済成長時代。

それでもまだ、「どんな男性と結婚できるか」が、女性の人生には最重要項目だったのですね。

『だいこんの花』向田邦子が描く父親と“星の王子様”のドラマ

私は昨今の婚活事情はわかりませんが、今もそうなのでしょうか。

だとすれば、本作はおすすめですね。

男の側から見ても、家や名誉のための政略結婚ではなく、愛情で相手を選んだという心地よさを感じるのでしょう。

女性に希望をもたせ、男性の“度量”を見せることで、お茶の間の庶民に夢と希望と感動を与え、人気を獲得したわけです。

子供の頃からクヨクヨすることが多かった私は、このドラマで、水前寺清子が、主題歌を歌いながら明るく仕事をしているシーンを観て、元気を出していました。

今回もまた、このドラマを見て元気を出そうと思います。

ありがとう、またね…

ありがとう、またね…

  • 作者: 石井 ふく子
  • 出版社/メーカー: 廣済堂出版
  • 発売日: 2012/08/17
  • メディア: 単行本


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