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4月8日はお釈迦様の誕生日、灌仏会、春まつり、花まつりなど全国寺院が開催 [仏教]

4月8日はお釈迦様の誕生日、灌仏会、春まつり、花まつりなど全国寺院が開催

日本全国の寺院では、宗派を問わず、4月8日、もしくはその前の1週間ぐらいを、『春まつり』とか『花まつり』という名称で参拝者が訪れます。本殿には、花を飾ったワゴンが用意されます。4月8日は、釈迦牟尼、つまりお釈迦さまがルンビニの花園で生まれた聖日(つまり誕生日)だからです。



4月8日に、寺院に行かれたことはありますか。

右手で天を、左手で地をさしている、お釈迦様の誕生仏像を、様々な花で飾った花御堂に安置。

甘茶を灌ぎかけるところから「灌仏会」ともいいます。

どうしてそういうポーズの仏像かというと、お釈迦様が生まれた直後に、東西南北に7歩ずつ歩き、右手で天を指し、左手で地を差して、「天上天下唯我独尊」と叫んだと伝えられているからです。

まあ、それはお釈迦様が、いかに偉大かということを宣伝するため、後から付け足した創作エピソードだと思いますけどね。

首も座っていない、目も開いていないかもしれない生まれた直後の赤ん坊が、さすがそんなことしないし、言わないでしょう。

ただし、誤解のないように述べると、「天上天下唯我独尊」というのは、「オレ様は唯一無二の偉い人だ」と言っているわけではありません。

人間に生まれたことは非常に尊いことであり、その生を有意義に生きることが大切であると、人々に訴えているのです。


寺院によっては、「灌仏会」の参拝者には、甘茶が振る舞われることがあります。

ところで、その釈迦牟尼(お釈迦様)の生涯には、様々なエピソードや教えがあり、それが仏教に宗派を作りました。

仏伝の虚実



お釈迦様の生涯は、仏伝といいます。

が、時代や宗派によって、仏伝には、新たなエピソードが加わります。

仏伝における釈迦牟尼(お釈迦様)の生涯は、もともとは以下のとおりです。

1.釈迦牟尼は、北インドの王子様でしたが、考えるところあって妻子と王子の座を捨てて出家しました。

2.そして、いくつか苦行にチャレンジしましたが、自分には合わず、菩提樹の下で瞑想して悟りを得たとわれています。

3.本当は、自分自身が悟ったことで完結だったはずですが、梵天という異教(バラモン教)の神があらわれ、その教えは他の人にも伝えるべきだとアドバイスしたので、釈迦牟尼は僧団を作って弟子に悟りの道を説きました。

それが仏教の始まりと言われています。

そして、時がたつと、これ以外に、また別のエピソードが加わりました。

「お釈迦様は、実は過去に何度も生まれ変わりを繰り返しており、宇宙に無数に存在する仏様と出会い、そこで『私も仏になります』と誓って、地球人で初めて仏になった」と。

まるでSFですが、大筋ではそういう話です。

これを、仮に「0」としておきましょう。

この「0」に登場する、他の無数の仏というのが、阿弥陀如来(浄土宗、浄土真宗)であったり、大日如来(真言宗)であったりします。

仏教というのは、煩悩を排して悟るための宗教ですが、そのお手本となるのが仏様。

日本に普及した大乗仏教各宗派は、大宇宙に無数にいるいずれかの仏様(如来ともいわれます)なのです。

仏の数は無数ですから、宗派もいろいろできるわけです。

つまり、新しい宗派を開くために、仏伝に「0」を加える必要があったのです。

なぜそうなったかというと、仏様であるお釈迦様はとうに亡くなっているわけですから、お手本がいなくなってしまったわけで、他にも仏様がいることにしなければならなかったから、という事情があると思います。

真偽という点から見ると、史実といえるのは「1」だけで、「2」は悟りを得たのは本当でもそれが菩提樹の下かどうかはわからず、「0」と「3」に至っては、フィクションと言わざるを得ません。

まあ日本の神道も、神様が海をかき回した泡で淡路島ができたなんて書かれている、『古事記』の前半がフィクションであるように、宗教として人に畏敬の念を抱かせるために、そこに創作が入ってしまうのは致し方ないのでしょう。

で、大事なのはその「創作」をどう見るかです。

自然科学はもちろん、史学とか考古学的も、真か偽を明らかにすることが大切で、その意味では、「1」と「2」の一部は真で、あとは偽、というのが「正解」なわけです。

でも、仏教学とか文学は、そこからが真骨頂なんです。

つまり、いつ、誰がどのような時代背景で、仏伝に「0」のような話を盛ったのか、盛る必要があったのか、ということを調べるのが人文科学の仕事なのです。

「偽の中にある真」とでもいいましょうか。

いずれにしても、仏伝というのは、非常に奥が深いものなのです。

今年は月曜日



とまあ、そういう面倒な話はさておき、良い気候のときに、寺院に出向いて、花祭りに参加すると、信仰のあるなし関係なく、なんか気持ちが良いですよ。

すでに寺院によっては、祭りは始まっていると思います。

「その日」は月曜日ですが、土日は多くの参拝の人々で賑わうことでしょう。

お近くの寺院に足を運ばれてはいかがでしょうか。

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コメント 11

Take-Zee

おはようございます!
子供二人(40代)は仏教系の幼稚園でた。
はなまつり、やってましたね!

by Take-Zee (2024-04-06 07:02) 

夏炉冬扇

お寺。お西さんです。御経あげればよし、と思っています。悩みを聞く、そういうレベルではありません。
今は野菜の少ない時期ですが、畑は気持ちよいです。
by 夏炉冬扇 (2024-04-06 07:37) 

もーもー

我が子も お寺の幼稚園で 花まつり、甘茶やってました
花を持たせるので  苦労しました・・・
by もーもー (2024-04-06 07:44) 

ミケシマ

天上天下唯我独尊…
ほんとうはそういう意味だったのですね。
by ミケシマ (2024-04-06 13:36) 

ムサシママ

お釈迦様はインドでお生まれになったのに
そのインドは今はヒンズー教、
遥か彼方の日本で受け継がれ栄えています
不思議です
仏教徒ですが花まつりは参加したことはありません
仏教と言うとお葬式のイメージが強すぎます
by ムサシママ (2024-04-06 16:30) 

コーヒーカップ

幼い頃、母に連れられて行った記憶があります。
座敷にたくさんの檀家さんが集まって、座ったところの前には
御膳か置いてあって、精進料理はなんか苦手でした。
お寺に行く母でしたが、その後何故かキリスト教会の付属の幼稚園に
入園させられました。
by コーヒーカップ (2024-04-06 17:13) 

tai-yama

4/6(今日)に花まつりをやっているお寺さんがありました。
4/8のお釈迦様の誕生日にちなんでいるんですね。
by tai-yama (2024-04-06 19:18) 

mau

甘茶が気になりますが、平日なので無理そうです
by mau (2024-04-07 00:31) 

南無

灌仏会は日本の他の地域や東アジア圏、世界各地の華人社会でも異なる日付で行われています。例えば、中国では旧暦の4月8日に行われます。この行事は、仏教が中国を経由して日本に伝わった際に、中国の文化や習慣と融合して現在の形になったと考えられています。
by 南無 (2024-04-07 03:42) 

pn

仏ゾーン(ブツゾーンだったかな)って漫画の作者が調べれば調べるほど仏教の世界は深すぎて描けないみたいな事言ってたなとふと思い出した。「偽の中にある真」を見出す時歴史が見えそうですね。
by pn (2024-04-07 09:10) 

そらへい

子供の頃、近所のお寺で花祭りがあり
甘茶をいただいた記憶があります。
いつの間にか無くなって、今ではそういう話も出ませんね。
by そらへい (2024-04-07 20:57) 

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