「仏教」実践“超”入門(川辺秀美著、impress QuickBooks)は、仏教について独学で学びたい人のスタートアップブックです。仏教がいかに役立つのか、仏教が人生の支えとなる教えを提示してくれるかを解説。密教や般若心経についても書かれています。
著者の川辺秀美さんは、高野山大学大学院修士課程密教学中途退学、コミュニケーションと仏教を専門とする書籍編集者です。
高野山大学については、以前、2021年度の開設以来定員割れが続き、2025年度に規模を縮小する方針という情報をご紹介したことがあります。
東京で仕事をもっている人が、和歌山の大学に学籍を置くことは、やはり学修が難しかったのかな。
その川辺秀美さんが、たんなる研究者ではなく、在家信者として、仏教について解説しています。
まあ厳密には密教ですね。
「祈り方」と「般若心経」について紹介しています。
三密が修行の密教
密教とは、大日如来(だいにちにょらい)に帰依し、秘密の教義と儀礼を伝えていく仏教のことです。
身口意の三密が修行です。
身口意の三密とは、密教の教えで、自分の行動(身)、言葉(口)、心(意)を仏と一致させることを指します。
身密は、身体や行動に関する教えです。他者や生き物を傷つけない、盗みをしない、酒や薬物に溺れないなど、身体を清浄に保ち、自己を律し、他者を尊重することを目指します。
口密は、言葉や呪文などを通じて自己を制御する教えです。うそをつかない、噂話をひろめない、誹謗中傷を言わないなど、言葉の力を認識し、他者を傷つけることのない言葉を選ぶことを目指します。
意密は、心を鍛える教えです。心に起こる様々な感情や思考に注意を払います。こだわらない、執着しない、自己中心的でない、憎まない、妬まないなど、心を清浄に保ち、慈悲や感謝の気持ちを持つことを目指します。
その三密ができたことで、自分自身が仏であることに気づき、生きたまま仏になることができるとされます。
密教というと、タントラの聖典とか連想しますし、なにかものすごい荒行や超能力的なものを想像されたかもしれませんが、目指す所は、大乗仏教の基本的なことばかりです。
教えを身につけることで成仏することを目指していることから、仏教の一宗派というわけです。
密教はインドで発生し、チベットや中国、日本に伝わりました。
日本では空海と最澄が中国から密教を伝え、天台宗や真言宗などの宗派が形成されました。
高野山大学・大学院は、日本で唯一、密教学の学位を認定する大学です。
修士の通信課程ですと、修了まで80~90万円ぐらいかかります。
まあ平均より少し安いぐらいの額だと思います。
これが、早稲田大学大学院のEスクールだと、1年でそれぐらいとられます。
有名大学だと、看板料が乗っかるんでしょうね。
学歴を売り物に仕事を成功して回収してくれ、ということらしいです。
ま、その話はともかくとして(汗)、もし皆さんの中で、仏教に関心があるとすれば、実は「人としてどう生きたらいいか」と哲学的に考えたいというよりも、「眼の前の悩み事が解決したり、願い事を叶えたりするために」宗教(仏教)の力にすがりたい、という場合が多いのではないでしょうか。
神道や仏教の書籍を見ると、「努力もしないで拝まれても困るでしょ」ってことで、そういうものには警鐘を鳴らして、「すがり方」は明言していないですよね。
もちろん、本書も「努力もしないですがりましょう」などとは一言も書いていません。
ただ、具体的な密教の「拝み方」は書かれています。
それを口にするだけで、不思議なことが起こるそうです。
「信じるものは救われる」ということで、詳しくは本書をご覧ください。
写経でおなじみの般若心経
みなさんは、『般若心経』はご存知ですか。
本書では、『般若心経』についての解説も掲載されています。
写経と言って、お経を書き写す修行があるのですが、そのときに使われるのが『般若心経』です。
『般若心経』はブッダの弟子の一人であるシャーリプトラに、観音菩薩が教えを説くというシチュエーションで全文が構成されています。
訳文は、すでにネットでは幾通りも出ています。
この世の中で不変のものはない。
物質は、構成する物が集まってできているだけで変化する。
物も心も同様である。
だから実体はない。
シぬことも変化の一つである。
それゆえ、そのことで悩んだり恐怖を感じたりすることはない。
心安らかにシぬことを受け入れよう。
というようなことが言われています。
仏教学的には、お経の中の「色即是空、空即是色」は、釈迦仏教の『阿含経』とは違うことを言っている、つまり般若心経は、お釈迦様の仏教とは違う(大乗非仏説)という議論もあります。
また、以前ご紹介したように、他力本願の浄土真宗は、般若心経を読まないし、写経もしません。
一言に仏教といってもいろいろありますね。
しかし、そのバリエーションこそが、仏教の真髄だと私は思っています。
絶対創造主(神様)がなく、原因と結果で世の中のすべては成り立っている、あとは自分で考えろ、というのが仏教ですから、変容や分派の発生は必然ではなかったかと思うのです。
密教も、仏教というジャンルとしては異質だという見方もありますが、救われる人がいるのなら、それもまた良しということだと思います。
般若心経の写経は、されたことはありますか。
「仏教」実践“超”入門 電子書籍で読む”大人の教科書” (impress QuickBooks) - 川辺秀美
ギャーテイギャーテイというところが呪文みたいですね
by 赤面症 (2024-02-10 01:15)
ともかくの話が何となく悲しみを誘いますね(^_^;)
by pn (2024-02-10 06:22)
昔々^^般若心境の写経を試みたことはあります。今でも道具だけはあります。
でも時間が取れないと、心落ち着かず写経は出来ないです。
by mm (2024-02-10 06:27)
私は浄土真宗ではないので般若心経は仏壇に毎日唱えています。友人の葬儀では宗派を確認してから唱えています。
by 我流麺童 (2024-02-10 06:35)
こんにちは。
昔宗教にハマって、仏教、キリスト教、イスラム教の本を
読み漁った事があります。
その時般若心経も憶えましたが、
日蓮さんでは般若心経使わないので
いつの間にか忘れてしまいました^^;
by 安奈 (2024-02-10 09:21)
密教とは一般の国語、算数、理科、社会のような学問は
不要なんですね、試験無しで入学しても卒業後の就職は
仏教のみで他ではつぶしがきかないわけですね。
by お散歩爺 (2024-02-10 10:20)
父親を亡くした時、正法眼蔵随聞記を簡約した本を読んだことがあります。仏教は奥が深くあまりよく理解できませんでしたが、何となく読んでよかったなと思っております。
by drumusuko (2024-02-10 11:13)
般若心経の写経は若い時にしました
上から紙を被せて下の般若心経を丸写しです
どういう心境だったのか?何かに不安があったのでしょう
by ムサシママ (2024-02-10 15:00)
仏教の教えは自分の至らなさを感じさせられます。
by コーヒーカップ (2024-02-10 18:00)
法事に行くと、浄土宗や浄土真宗の僧侶から
いろいろお説教を聞きますが
確かに死に直面したら
それしかないのかもしれません。
by そらへい (2024-02-10 18:34)
修士が80〜90万で取得できるとは。かなり安いっ。
通常の大学は1年で100-120万、理系や医療系はさらに
高いはず。中退も学歴になる時代と・・・
by tai-yama (2024-02-10 22:51)
絵文字で書かれた般若心経柄のエコバッグ買いました。
by mau (2024-02-11 00:41)