昭和だョ!全員集合(石原壮一郎・著、藤野美奈子・漫画、新潮社) [社会]
昭和だョ!全員集合(石原壮一郎・著、藤野美奈子・漫画、新潮社)は、昭和の高度経済成長時代の流行語から当時を思い出し元気になりましょう、という書籍です。以前も一部ご紹介しましたが、今回はもう少し掲載されている言葉を増やしてご紹介します。
『昭和だョ!全員集合』は、石原壮一郎氏が著し、藤野美奈子氏が漫画を担当した作品です。
昭和時代に流行した言葉やフレーズを集めた本で、昭和の雰囲気を再現しています。
そもそもタイトル自体が、ザ・ドリフターズが出演した昭和の人気番組『8時だョ!全員集合』(TBS)をもじったものです。
日常生活で使用することはないかもしれませんが、当時の流行語からその言葉が使われた当時を思い出し、元気になりましょう、というのが本書の趣旨です。
本書には、「あたり前田のクラッカー」「アッと驚く為五郎」「大きいことはいいことだ」「おれについてこい!」「あっしにはかかわりのねえことでござんす」「ニャンニャンする」「たたりじゃ~」など、昭和時代に流行したフレーズが収録されています。
高度経済成長時代を思い出せ!?
私はしばしば、文章に「昭和の薫りがする」といわれます。
まあ要するに、1990年のバブル崩壊以降、脳内の時間が止まっているのかもしれません。
本書は昭和の流行語44語を紹介、その解説をしています。
昭和といっても、もっとも古いものは、藤田まことがコメディ時代劇『てなもんや三度笠』(朝日放送)で番組の冒頭に言っていた「あたり前田のクラッカー」ですから、ほぼ昭和40年代以降のもの。
その多くは、高度経済成長時代、あとは1980年代のバブルの頃のものです。
たとえば、このようなものが出ています。
アッと驚く為五郎(ハナ肇)
トランジスタ・グラマー
大きいことはいいことだ(山本直純)
あっしにはかかわりのねえことでござんす(時代劇『木枯し紋次郎』で中村敦夫)
Oh!モーレツ(小川ローザ)
おせちもいいけどカレーもね(CM『ククレカレー』で結城アンナと佐久間まゆみ)
よっしゃ、よっしゃ(田中角栄)
なーんちゃって
アウト・オブ・眼中
たたりじゃ~
ちょっとだけよ
よろめき
三種の神器
新人類
新御三家(郷ひろみ・西城秀樹・野口五郎)
「アッと驚く為五郎」のようなギャグは別として、それぞれ流行する時代背景があります。
たとえば、「Oh!モーレツ」は、たんに小川ローザのスカートのめくれ方がモーレツだったというより、高度成長時代には「モーレツ社員」というサラリーマンを形容する決まり文句があったので、それをかけているわけです。
そうした解説が『昭和だョ!全員集合』には書かれています。
しかし、「新御三家」を出すのなら、元祖の「御三家」を出さないとおかしいですよね。
そもそも、「三」のユニットは、昭和の芸能史に「新御三家」以外にもたくさん登場しました。
ジャンケン娘(1955年)……美空ひばり・江利チエミ・雪村いづみ
七光会(1955年)……水谷良重、朝丘雪路、東郷たまみ
お姐ちゃんトリオ(1959年)……団令子、中島そのみ、重山規子
NHK三人娘(1959年)……馬渕晴子、冨士眞奈美、小林千登勢
三人娘(1961~1964年)……黒柳徹子、横山道代、水谷良重
スパーク3人娘(1960年代中頃)……中尾ミエ・伊東ゆかり・園まり
渡辺プロ新3人娘(1967年)……木の実ナナ、奥村チヨ、伊東きよ子
日活3人娘(1967年)……浅丘ルリ子、松原智恵子、和泉雅子
東芝3人娘(1968年ごろ)……黛ジュン・奥村チヨ・小川知子
新3人娘(1970年代前半)……小柳ルミ子、南沙織、天地真理
ホリプロ3人娘(1973年)……森昌子、石川さゆり、山口百恵。
花の中三トリオ(1973年)……森昌子、桜田淳子、山口百恵
フレッシュ三人娘(1979年)……榊原郁恵・清水由貴子・高田みづえ
角川三人娘(1982年)……薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子
なんだかんだいって、これだけ羅列できるということは、私はいかにテレビっ子で芸能雑誌を穴が空くほど熟読していたか、ということですね。
本書の趣旨は、緊縮財政下で「失われた30年」のこんにち、「日本も自分たちもやたらと張り切っていた「昭和」という時代、とくに高度経済成長時代」を思い出しましょう。
そして、昭和に育てられた自分たちがもっと生き生きとした毎日を送るためにも、昭和に流行したフレーズやモノから昭和のパワーの秘密を学び、明日への勇気や希望を授かりましょうというものです。
ですから、「昔はよかった」「今どきの若いもんはダメだ」というお説教本ではありません。
そういう意味では、なかなか興味深い書籍だと思います。
ただ、流行語というのは、その時代の文化や価値観ですから、今、初めてそれらを見聞きしても、「だからなに?」と思われるだけでしょう。
その時代にその言葉を使った人が、当時を思い出して気持ちを新たに頑張る、ということが本書の主たるねらいになります。
まあ、これを読んで語彙を増やすということもないわけではありませんが、今やみくもにそれらの言葉を使っても、私のように「昭和の薫りがする」とコバカにされるだけかもしれません。
そういう意味では、本書はもう少し「今も使えそうな言葉」を選んだほうがよかったかもしれません。
いくつご存知ですか
ということで、もう少し使えそうな言葉として、私がしばしばこのブログでご紹介していた1960年代東宝喜劇映画では、なかなかユニークな言葉が出ているので、劇中から抜書きしてみました。
たとえば、
腰がない(根気がない)
ひょーろく玉(愚か者)
狭い日本にゃ住みあきた(貿易自由化の頃流行)
シの商人(軍需産業)
顔パス(手続きの必要な場所を信用だけでクリアすること)
ジェラシッてる(嫉妬する)
アプレ(奔放で無責任、アプレゲールの略語)
しょってる(うぬぼれる、いい気になる)
柳腰(美人)
率じゃない?(効率がいいじゃない?)
出雲の役(仲人)
こんなかんじです。
「出雲の役」というと、たんなる「仲人」より意味が深そうですし、「ジェラシッてる」なんて、今使っても意外と面白いかもしれませんね。
それに該当する表現のとき、カギカッコづきで使うことで、珍しがられて、言葉をたくさん知っている人のように思われるかもしれませんよ。
私のブログに巡回されている方は、どちらかというと昭和生まれの方のほうが多いような気がしているのですが、いかがですか、覚えている言葉、使ったことのある言葉はありますか。
昭和だョ!全員集合 - 石原 壮一郎, 藤野 美奈子
三だとおさまりがいいのかな。相撲も三役だし。あれ? 四役か(*^^*)
by 赤面症 (2024-01-25 01:27)
顔パスとしょってるは普通に使ってます(^◇^;)
by pn (2024-01-25 06:19)
おはようございます^^
下に行くほど知らない言葉が多いですね。
「アッと驚く為五郎」あたりから「ちょっとだけよ」までかな~
その中にも割合頻繁に使ったものと聞いたことあるけれど使ったことない、というものまでありますけれど。
by mm (2024-01-25 06:42)
以下あくまで私見です。「昭和元禄を作ったのは、我々が
居たからだ」という某勢力が法外の強い令和時代が、私に
は、実のところ、余りお気に入りにはなれません。
by df233285 (2024-01-25 06:54)
いちいち納得したり懐かしかったりしました♪
「しょってる」って確かに昔つかっていましたよ♪
長い楊枝を飛ばす練習したりしてました♪
by Rchoose19 (2024-01-25 07:53)
こんにちは!
昭和のど真ん中に生まれ、育ちました!
平成やまして令和には馴染めずままです (^-^)!
by Take-Zee (2024-01-25 10:22)
昭和の言葉かなり知っていますが、
テレビはあまり見なかったですし、
芸能界にも興味なかったですね。
by 猫またぎ (2024-01-25 15:03)
「顔パス」は使ってましたし、今でも口にするかも(笑)。
by newton (2024-01-25 15:59)
懐かしいフレーズがたくさんあって、その当時の記憶がよみがえって来ました^^。
by drumusuko (2024-01-25 16:56)
シの商人は死の商人だと思います。
現在でも使われているのでは?
by A・ラファエル (2024-01-25 18:20)
80年代までは一つを除いて知っています。
年代ははっきりしませんが
「ヒデキ、感激!」
とか
「美しい人はより美しく、そうでない方は」「そうでない方は?」「超それなりに」
とかも印象に残っています。
by センニン (2024-01-25 18:35)
3人ユニットだったら、やはりキャンディーズ。
ダサいは現役ですけど、ナウいは死語ですね。
by tai-yama (2024-01-25 23:00)
あの頃は自分にとっても良い時代でした。
by コーヒーカップ (2024-01-25 23:41)
今のテレビ界はサイクルも早いので、流行も作りにくいですね。
by おっつぁん (2024-01-26 01:02)
昭和人間には懐かしい言葉の連続ですが
いつごろからですかね。
女子高校生の言葉が流行するようになったのは。
by そらへい (2024-01-26 20:02)