スジャータは、苦行でシにそうになったお釈迦様に乳がゆを供した娘の名。カルピスは、カルシウムとサルピス(古代インドの発酵乳の名称)を足した命名です。どちらも飲料メーカーとしては有名で、とくにカルピスはそれ自体が商品名になっていますね。
今日も仏教の話です。
お釈迦様が悟りを得るキッカケになったのは、成果の得られなかった苦行で心身ともに衰弱した状態で、スジャータという村娘の差し出した乳粥をもらったことにあるといいます。
国民的飲料と言われるまでになったカルピスも。仏教用語のサルピス(熟酥)に、カルシウムのカルを組合せたものです。
スジャータ
お釈迦様ことゴータマ・シッダールタさんは、紀元前563年4月8日に、現在のネパールにあるルンビニー園で生まれました。
4月8日は、各寺院で灌仏会という花祭りが行われますが、あれはお釈迦様の生誕祝ということです。
この日は、各寺院で甘茶が振る舞われることがあります。
お釈迦様の誕生時に、龍が降らせたとされる甘露を表現しているのです。
お母さんは、マーヤー夫人といい、お父さんは、シャッカ族(今のネパール南部)の王である浄飯王でした。
各地でしばしば見かける、摩耶寺という名称の寺院は、この釈迦母の名前から命名したのではないかと思います。
要するに、お釈迦様は王子様(ヴィパッシン王子)だったわけです。
ところが、ある占い師が、「息子さんは将来出家しますよ」と占い、王様を慌てさせます。
そこで、王様はお釈迦様には何不自由無い暮らしをサせ、結婚もさせます。
が、29歳のお釈迦様が、王城の東西南北の四つの門から郊外に出掛け、それぞれの門の外で老人、病人、シ者、修行者に出会い、人生の苦しみを目のあたりにして、出家を決意したとされています。
これを四門出遊(しもんしゅつゆう)といいます。
そして、6年間の修行の末、悟りを開いたわけですが、その間、苦行をいろいろヤッたみたいです。
草だけまたは苔だけを食べる、常に立っている、常にしゃがんでいる、鉄の針の上で立ち臥すなど。
でも、体ばかり痛い思いをしても、心は何も変わらず、断食したときは、やせ細るだけで「こりゃだめだ」と、とある村の中に逃げ込むように入りました。
そのとき、乳粥を飲ませてくれた娘がスジャータと言います。
元気を取り戻したお釈迦様が悟ったのは、菩提樹の下で静かに瞑想したときでした。
「なんだ。それでいいのかい。だったら最初から痛いことしないで菩提樹に行けば」
というのは結果論で、色々ヤッてうまく行かなかったから、そこにたどり着いたわけですからね。
スジャータめいらくグループの公式サイトにも、「スジャータのひみつ」というタイトルで、社名の由来は「修行中にお釈迦様に乳粥を差し上げたインドの娘さんの名前」と明記されています。
乳粥が直接悟りに繋がったわけではありませんが、乳粥で元気になったということで、この娘の名前も歴史的な名前になったというわけです。
苦行が苦しみばかり先立ち成果をうまなかったので、仏教の教えは中道です。
実践を第一としながらも、極端な自己抑制もよしとせず、均衡と調和のとれた生き方をするという教えです。
カルピス
カルピスというのは、「カルシウム」と「サルピス」を足して造られた名です。
ラクトー(現,カルピス食品工業)を創立した三島海雲(1878‐1974)が,モンゴル人の常用する飲料にヒントを得て発明、創製した日本最初の乳酸飲料を言います。
カルピスは、乳酸菌を含む、独特の甘酸っぱい味わいが特徴日本の乳酸菌飲料で、1919年に発売された日本最初の乳酸菌飲料だそうです。
公式サイトによると、三島海雲さんは、教学寺という浄土真宗お寺の長男として生まれました。
西本願寺文学寮で学んだ後、英語の教師になり、仏教大学(現在の龍谷大学)に編入しましたが、入学後間もなく、大学から中国へ渡ることをすすめられ、中国で教鞭をとっていたところ、北京から内モンゴルに入り、カルピスの原点である酸乳と出会ったそうです。それがカルピスのもとになったわけです。
余談ですが、龍谷大学と云えば、本願寺派の教学者の多くを輩出してきた“浄土真宗の拠点”で、現在「仏教大学」を名乗る佛教大学は浄土宗系なんです。
さて、「サルピス」は、梵語(古代インドの文語であるサンスクリット語)で「仏教の五味の熟酥」を意味します。
当地の遊牧民たちが毎日のように飲んでいた酸っぱい乳をすすめられるまま口にしたところ、そのおいしさと健康効果に驚きを受けました。長旅ですっかり弱っていた胃腸の調子が整い、体も頭もすっきりしてきたのです。その酸っぱい乳が乳酸菌で発酵させた“酸乳”だったのです。(カルピス公式サイトより)
「サルピス」という言葉は、仏教で乳からチーズのような発酵食品を作る過程を表わす5段階(乳⇒酪⇒生酥⇒熟酥⇒醍醐)のうち1つを指す単語です。
カルピスの元になっている醍醐は五味で最高位にあたり、サンスクリット語で「サルピルマンダ」と呼ぶため、そこからカルピスとなったそうです。
カルピスは、脱脂した乳に乳酸菌と酵母からなる「カルピス菌」を加えて一次発酵し、「カルピス酸乳」となったものを熟成。そこに砂糖などを加えて二次発酵をさせることで、やさしい甘さと爽やかな酸味の味が出るそうです。
ちゃんぽんが、福建省の、さまざまな物を混ぜ油で炒めたチャポン料理を日本的に「翻案」してできたように、多くの日本人の口に合うように、モンゴルの乳酸菌飲料を改良したものがカルピスというわけです。
さて、この話を知って、飲むと仏の心になりますか?
気になる仏教語辞典: 仏教にまつわる用語を古今東西、イラストとわかりやすい言葉でなむなむと読み解く - 弘潤, 麻田
紀元前の時代から、乳酸菌飲料があったというのがスゴイ(*_*)
by 赤面症 (2024-01-20 01:09)
おはようございます^^
モンゴルのこの飲み物、モンゴルに行ったとき飲みましたが、特に美味しいと言うものでもなかったです。もう舌が肥えてきているからでしょうね。でも、カルピスのもとになったと言われると、あの酸味は確かにそうですね^^
乳粥もイギリスでライスプディングとしていただいたことが。トルコでもありましたね。古くからある食べ物なんですね。それは知らなかった・・・
by mm (2024-01-20 06:18)
スジャータもカルピスも飲まなくなったから心が荒んだんだろうか(^◇^;)
by pn (2024-01-20 06:20)
おはようございます!
ふむふむ、なるほどと思いながら拝見
しました!
by Take-Zee (2024-01-20 08:04)
こんにちは。
仏教用語は、それと知らずに
意外と身近にあるものなんですね。
by 安奈 (2024-01-20 09:40)
終戦後初めて口にしたのが叔父が持ってきたカルピス
冷蔵設備のない時代時間が経っていて、腐敗?していた
腹痛・下痢を起こしたことがあり敬遠を・・・
拝読してカルピスを飲んでみようと思いました(*'▽')
by 侘び助 (2024-01-20 11:41)
スジャータやカルピスの語源、良く分かりました^^。
仏教用語から来ているとは、驚きです(^^♪。
by drumusuko (2024-01-20 11:46)
カルピスについては「カルピスをつくった男 三島海雲」という本で読みました。
お釈迦さまについては手塚治虫の『ブッダ』で。
by センニン (2024-01-20 18:04)
ペットボトルのカルピスウォーターなら、いまでも飲みます。
by コーヒーカップ (2024-01-20 18:33)
カルピスは健康によかったのかー。
カロリー高そうだけど、ヤクルトと同じ感じなのかも。
by tai-yama (2024-01-20 18:38)
五味については少し知っていましたが、スジャータと
カルピスは日常的で気にも留めていなかったです。
意外ですね。面白いです。
by t-yahiro (2024-01-21 23:30)