「一人で生きる」が当たり前になる社会(荒川和久/中野信子、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、独身研究家と脳科学者が、“ソロ”の生き方を深掘りしています。2040年には人口の5割が独身、64歳までの既婚者は3割と、ソロ社会化していくというのです。
本書を一言で述べると、これからの日本は、従来のような家族・職域・地域・血縁・その他友人&知人といった人とのつながりのあり方がかわり、どんどんソロ社会化していく、ということが書かれている書籍です。
そこで、これまでは「職場」や「家族」などに「所属するコミュニティ」でしたが、これからは個人個人が、結婚とかソロとかの状態にかからわず、個人として「接続するコミュニティ」へ進むという提言を本書は行っています。
おりしも、先日は「一人を志向する人たちが大幅に増えたという調査結果が先日発表された。」という報告が話題になっています。
ABEMANEWSの記事から引用します。
博報堂生活総合研究所が25~39歳の男女を対象に行った調査によると、この30年で「ひとりでいるほうが好き」の割合が「みんなでいるほうが好き」を逆転した。56.3%の人が「ひとりでいるほうが好き」と答えている。
「どちらかと言えばひとりで行きたい」と答えた場所で、前回1993年の調査より一番増えたのが喫茶店・カフェで、前回20%だったが今回は53.4%になっている。(複数回答)
「どちらからといえば映画館に1人で行きたい」と答えた人は、前回調査は18.1%だったが、30年で37.5%に増えている。
ただし、「1人で食事するのは淋しいと感じる人が減る一方で、ペアルックを好んだり、誰かのために生きたいという人が増えている。」というそうです。
つまり、
人と切れたくはないけれど、自分の世界、自分の時間は大切にしたい ということらしいです。
独身であることや孤独であることが「悪」ではない
人との諍いで、こんな捨て台詞を聞いたことはありませんか。
「あんな奴、どうせ友達なんかいないんだ」
友達がいない=悪、という前提で、あんな奴は「悪」だと言っているわけです。
「友達がいない」からどうしたというのでしょうか。
中崎タツヤさんという漫画家は、「友だち」にこだわるやつは「友情kojiki」と、漫画の中で蔑んでいましたね。
表現としては、差し障りがあるかもしれませんが、言い得て妙です。
「友達」なんて、そもそも基準が客観的ではないですけどね。
たとえば、「あいつは、いい奴だ」と言われている人がいたとして、そんなもの、しょせん「どうでもいいやつだ」という意味か、「自分にとって都合のいいやつだ」というどちらかでしょう。
自分の自分に対する評価、自分と他者の相互評価なんて、そんなもんです。
私が思うに、日本の社会の「人の付き合い方」には、鬱陶しい文化があります。
・「親孝行」だの、生まれた順番だのに支配される家族関係
・明文化されていない「空気を読む」礼儀
・先輩後輩、目上目下という縦の人間関係
・同世代では意味のない根拠によるマウント取り合戦
つまり、いつも誰かに気を使い、相手との関係性を前提に話をシていかなければならない。
疲れますよね。
現代人は、そういう対人関係に疲弊してしまったのではないでしょうか。
ソロ化社会とソロ人間をどう見るか
本書はまず、今後は、夫婦とか家族とか会社とか、従来の帰属的立場を離れた「ソロ社会」化すると述べています。
日本は離婚率が高く、かつ、「一人でいたい」と考えるソロ度の高い人は、全体の40%にものぼるそうです。
独身だと、「孤独死する」と言われることがありますが、実際に孤独死しているのは「元既婚者」が多いといういます。
つまり、「結婚しないと孤独死する」のではなく、独身・既婚に関係なく孤独死のリスクは有るといいます。
何をもって「孤独死」というかにもよりますが、単身赴任もあるし、家庭内別居で、2階で亡くなっていたのに、階下にいたからずっと気づかなかった、なんてことだってあるんですよ。
いずれにしても、孤独死を恐れて結婚する、ということは第一義的に考えなくていいということです。
また、本書では、ソロ男とソロ女には共通項があるといいます。
彼らは、既婚男女に比べると、一人でいることが好きであるといいます。
しかも、ソロ男よりもソロ女のほうが、一人好き率が高いそうです。
そして、ソロ女は既婚女よりも、お金に対する価値が高いそうです。
脳科学者の中野信子さんは、男女の脳の構造から、男性にとって「愛は見た目」、女性にとって「愛はお金」ということを論証しています。
家庭を持たない「ソロ」は、家族がいないために社会帰属欲求が満たされていません。
そこで、ゲームやアイドルに走って、社会帰属意識を満たそうとしているといいます。
アイドルは疑似子育て、ゲームは疑似出世として、自分は社会の役に立っているのだ、という達成感を手に入れようとしているそうです。
そこで、冒頭のアンケートの考察、「人と切れたくはないけれど、自分の世界、自分の時間は大切にしたい」は辻褄が合ってくるわけです。
つまり、人や社会に自分の爪痕は残したいんですね。
結婚については、いくら独身研究家の荒川和久さんの著書だからといって、「お一人様の時代」を是と強調しているわけではありません。
ただし、家族とか夫婦のあり方が、今後はかわってくるといいます。
従来のような、家族、職場、地域という大勢の人が所属するコミュニティで協力しあうことだけでなく、個人が互いに接続し合うことで、結果としてコミュニティの役割を果たす「接続するコミュニティ」の時代であると説いています。
「コンビ」ではなく「ユニット」という感じかな。
たとえば、結婚もせず親戚づきあいも一切しないから、孤独死対策のサービスに加入するとか、子どもの世話にならないようにグループホームに入るとか、仕事も会社員をやめてフリーの集団で仕事をするとか、趣味の会に入って上下関係なく楽しむとか、そういうことですね。
私も妻も、身内の態度が悪いので親類とは概ね絶縁状態ですが、たとえば一族郎党当たり前と考える地方の旧家の方は、そんな私を軽蔑します。
でもね、社会は「接続するコミュニティ」の時代に入っている、という本書の内容は、私どもが著しいヘンタイではなく、むしろ社会の変容にかなっている存在であることを確認させていただきました。
みなさんは、家庭・地域・職域・血縁・友人&知人コミュニティとどんな関係を取られていますか。「接続するコミュニティ」は意識されていますか。
「一人で生きる」が当たり前になる社会 - 荒川和久, 中野信子
「一人で生きる」が当たり前になる社会 (ディスカヴァー携書) - 楽天ブックス
一族郎党当たり前
親戚なんて、冠婚葬祭に呼んだとか呼ばないとか
席順がどうだとか、とにかく面倒です
by 赤面症 (2023-12-15 01:06)
おはようございます^^
我が家はあまり縁を持たない方ですね。と言っても夫は自分の兄の面倒を見ているし、義姉にもたまに健康確認をやっています。わたくしの実家関係はもうほとんど個人で生きている感じです。普通に縦に家族がつながっているので、わたくし自身あまり実家関係は気にすることないし、「個」が好きなわたくし^^
by mm (2023-12-15 06:08)
地域や血縁は勘弁して欲しい、と言うかほぼ切ってるか俺は。
自分の面倒見させるためにお前産んだんだって言っちゃう親が多すぎたんじゃ無いかね(^◇^;)
by pn (2023-12-15 06:25)
おはようございます!
ほんとは一人ではないんですが・・・
平素、ひとり暮らしですね・・・(^-^)!!
by Take-Zee (2023-12-15 08:59)
独り身が楽でいいです。
今は、ちょっと働いて社会と繋がる。
一番いい感じです。
by コーヒーカップ (2023-12-15 17:51)
俺の住んで居るマンション、
独身の高齢者多いですよ。
圧倒的に女性が多いです。
by 猫またぎ (2023-12-15 17:56)