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NHK「100分de名著」ブックスブッダ真理のことば(佐々木閑著) [仏教]

NHK「100分de名著」ブックスブッダ真理のことば(佐々木閑著)

NHK「100分de名著」ブックスブッダ真理のことば(佐々木閑著)は、「お釈迦様の仏教」をその第一人者が『ダンマパダ』から解説。苦悩の現代にこそ「お釈迦様の仏教」の経典を読みたいものです。「異性の友だち」の是非問題についても後半で書きます。



このブログでは、仏教的に見ると……という話は書いたことがありますが、仏教の専門書はもとより、啓蒙書もほとんどご紹介したことがなかったですね。

ということで、今回は、仏教の入門書的な書籍です。

『ダンマパダ』というお経の意味を解説し、仏教について説明しています。

著者の佐々木閑さんは、京都大学の工学部から、大学院になって哲学に移った方なので、科学も仏教も精通されています。

私が、その人の著書なら必ず読む、という中のひとりです。

で、仏教の話を一から始めると、大変な分量となりますし、もとより私にはそんな能力も知識もないので、今回は本書のクライマックスのところだけ、抜粋してご紹介します。

もし大事な人が亡くなったら仏教的にはどうとらえるか


引用しているのは、もし大事な人が亡くなったら、仏教的にはどうとらえるか、という話です。

以下、「子」と書いてあるところは、「親」でも「配偶者」でも「兄弟」でも「恋人」でも同じです。

ご自身の立場で、「大事な人」に読み替えてみてください。

先に、要約を書きます。

1.お釈迦様の教えでは、残念ながら不滅の霊魂はない。
2.ただし、その人と関わったことによって受けた影響は、あなたの人格に必ず反映している
3.大事な人を亡くしても、あなたがその人の影響で心優しく生きたなら、心はその人と一緒に生きていることになる

という話です。

仏教では、「因縁」とか「諸法無我」という考え方に基づいています。
もし私たちが「不滅の霊魂」というものを信じているならば、たとえば子どもを亡くした親の場合、「死んだあの子の魂は一体どこに行ったのだろう」と、いろいろ思い巡らすことになります。(中略)
しかし、ブッダ(お釈迦様)の考えに従えば、これとは全く別の受け入れ方が見えてきます。 人を要素の集合体と見るなら、その人が死ねば、その集合体は雲散霧消して消滅します。
ですが、その人が存在していたことの意味は消えません。なぜなら、その人が生きていた時にまわりの無数の人たちに与えた影響は、そのままそういった人たちの集合要素の中に残っているからです。 子どもが生きていた時に、その子をかわいがり、慈しみ、抱きしめた親は、そのことによって自分自身も変わります。 子どもの存在が、親の在り方を変えて、子どもがなければ、これこれこういう姿になっていたはずの人の在り方が、子どもを持ったことで、それとは別の状態へと変化するのです。
その変化は自分ではわかりません。なぜなら、それは親という集合体を作っているあらゆる要素の中に、見えぬかたちで含まれているからです。
そしてその変化は、たとえその後、その子がなにかの理由で亡くなってしまっても、消えることなく親の姿の中に残ります。本人はそうと気づかなくても、親は子どもの存在を自分自身の中に引き継ぎ、引き受けて生きているのです。
子を亡くした親は、愛しい存在がいなくなってしまった悲しみで心を引き裂かれます。そしていなくなった子が、それでもどこかに以前のままの姿で生き続けているのではないかと考えて、いろいろな死後の在りようを想像します。それは親の情としてあたりまえのこと。しかし、そういった非日常的な神秘世界を考えなくても、子は親の存在そのものの中に生き続けているのです。
子を亡くした親が、人の命の尊さを深く感得し、自分と同じ境遇の人たちに共感し、心優しく生きていくなら、それは亡くなった子の存在がそうさせているのであって、子と親は一緒に生きているということになるのです。

ちょっと泣けてくる、切ない「教え」ですが、本来の仏教というのはこういうものです。

霊感商法なんて、本来の仏教とは縁もゆかりもないインチキですからね。

日本に普及した仏教=大乗仏教の中には、霊魂を認めている宗派もあります(日蓮宗や真言宗など)

ただし、それらも賞罰までは認めていません。つまり、親や先祖の霊が出てきて子孫にバチを当てるとか、現世利益を与えるということはありません。開祖のカリスマ性演出に利用したり、民俗由来の願望に話を合わせたりする程度のことだと思います。

以前も書きましたが、連れ合いに先立たれて以来、生きる気力をなくしたと言って、「あの世でも一緒」「来世も一緒」と投稿し続けている学生時代の同級生がいるので、ふとこの書籍を思い出しました。

生き方、人との関わり方、離別、愛欲、そうしたことに悩まれている方は、ぜひ本書をご覧ください。

あなたは、配偶者ではなく「異性の友だち」とシねるんですか?


話は変わりますが、先日、『「配偶者」「恋人」「友人」のハザマ』という記事を書いたら、猛烈な反論がメッセージに来ました。


配偶者のいる人に、「異性の友だち」は必要かという話への反論です。

メッセージを要約すると、自分たち夫婦は、お互い異性の友だちを認めているけど、別に不都合いはない。「『そうなの?楽しんでおいで』で、おしまいな話。」異性の友だちを否定するなんて「ゾッとします。」と、それはすごい剣幕なのです(笑)

自分の生き方を否定されたと思って、字面でカッとする単細胞……いやいや「単語脳」の典型な人みたいです。

そのやり取りに時間を取られて、いいね巡回&コメント書き込みが数日間十分にできなくなって、大いに困りました。

夫婦が同じ価値観なら、それでいいんですよ。「友だち」でもセ◯クスフレンドでも好きにしてください。それを否定する話ではありません。

記事の内容はですね。片や「異性の友だちはいてもいい」、片やそうではない、という夫婦の場合は価値観の違いで、夫婦関係に齟齬が生じるという話です。

その前提で、私は「異性の友だち」を否定する側から意見を書いています。

松任谷由実の『一緒に暮らそう』っていう歌はご存知ですか。


「やがて来るNewYearが待ち遠しくてはじめて二人同時に年とっていくのよ」という歌詞が、お正月になったらみんな一斉に年を取るという「数え年」の考え方なんだけれども、大切な人と記念すべき時間を共有することの喜びが歌われています。

そこでふと考えました。

既婚者が、配偶者以外の「異性の友だち」と軽い気持ちでドライブをして、 もし間違ってトラックに突っ込まれて絶命したら どうなるのか?

人生の 最期を その人と迎えたことになります。人生の総決算がそれでいいのか?

どうしてもいいと思うなら、そのドライブもいいでしょう。

でもそうじゃないのに、それをやったら? 永遠にそれは取り返しがつかない。

夫や家族は、それをどう思うか?折り重なるように「友達」と 倒れている亡骸を見て、私だったら汚らわしいと思い引き取らないかもしれません。無縁仏になっちゃうかもねー

「いや、シんだ後のことはわかんないからどうでもいいよ」

と思う方。どこまで無責任なのですか。

残された配偶者や子供はどう思いますか。

先程の、佐々木閑さんの「仏教の教え」にあるように、亡くなった人と、心のなかでともに生きることしかできない遺族にとって、それはどれほどつらいことか。

私に言わせれば、そんな不潔な人を、心のなかに残して、ともに生きていくのは遺された者にとってとんだ二次被害です。

とにかく、「異性の友だち」とのデートはそういうリスクだってあると。

「いや、そんなわずかなリスクなんか気にしてたら何もできない」と言うかもしれませんが、それはその時時を甘く見て真剣に生きていない証拠。

我が家は12年前、その日の夕方まで何でもなかったのに。 一瞬の火災で 妻は心肺停止になってしまいました。

人は、いつどうなるかわからないのです。

誰と最期を迎えられるのだったら、最期であっても納得できるのか、その相手をよく考えてみることです。

もちろん、配偶者だからといって24時間一緒にいることは難しいけれども。 なるべくその時間を作ると。 となれば、自ずと、曖昧な関係の「友だち」なるものとのリスクのある時間なんてとっていられなくなると私は思うのですが。

「男女の友情もわからないのか」みたいな言い分もあったのですが、今日は字数が多くなってしまったので、それはまた後日機会があったら書かせていただきます。

NHK「100分de名著」ブックス ブッダ 真理のことば NHK「100分de名著」ブックス - 佐々木 閑
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赤面症

いろいろやかましい人いますねえ(T_T)
by 赤面症 (2023-10-03 01:08) 

pn

中学の時同級生が事故で逝って以来何人も見送ってきたけど確かに心に居るんだよねまだ。

by pn (2023-10-03 06:26) 

Take-Zee

おはようございます!
難しいです・・・
ときどき、妻の声が聞こえます・・・
by Take-Zee (2023-10-03 08:46) 

tai-yama

既婚者だからと言って、配偶者と必ずしもうまくいっている
とは限らないとも言えたり(笑)。
まぁ、そこは難しいところですよね。
by tai-yama (2023-10-03 23:10) 

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