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青春ドラマ夢伝説ー「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代 [懐かし映画・ドラマ]

青春ドラマ夢伝説ー「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代

『青春ドラマ夢伝説ー「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代』は、日本テレビのプロデューサーだった岡田晋吉さんの手掛けた青春ドラマ・刑事ドラマ制作回顧の書籍です。日本テレビの名プロデューサーとして、多くの人気番組を制作してきましたが、その背景や裏話をまとめています。



昭和ドラマファンの間では、かつての人気ドラマ『俺たちの旅』のDVDマガジン発売が話題です。

DVDマガジンというのは、DVDと簡単な読み物をセットにして、図書コードをつけて、つまりムックとして発売するものです。

「簡単な読み物」というのは、そのDVDのドラマ撮影の裏話・エピソードの類をまとめています。

人気ドラマや映画シリーズが、これまで売られていましたが、たぶん売れたんでしょうね。

『昭和傑作テレビドラマDVDコレクション』というタイトルだそうです。


さて、その『俺たちの旅』のプロデューサーは、岡田晋吉さんという方です。

岡田晋吉さんといえば、『青春とはなんだ』から『われら青春!』までの学園ドラマ、『俺たちの勲章』『俺たちの旅』『俺たちの朝』などの青春ドラマ、『太陽にほえろ!』や『大都会』『あぶない刑事』などの刑事ドラマを手がけています。


その回顧録が本書『青春ドラマ夢伝説ー「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代』です。

日本テレビの青春学園ドラマ


『俺たちの旅』や、多くの学園ドラマが放送された日曜日20時は、大河ドラマと競合する枠ながら、人気を博してシリーズ化されました。

この枠で、岡田晋吉さんは、合計8作の青春学園ドラマをプロデュースしています。

日本テレビといえば青春学園ドラマ。

これは、令和の時代でもFacebookの昭和グループで取り沙汰されることです。

岡田晋吉プロデューサーは、ここで主役に若い俳優抜擢して、ドラマ・映画界に送り出してきました。

第1作目の『青春とはなんだ』で主役に抜擢した夏木陽介さんは、すでに東宝の俳優として実績を作っていましたが、2作目の『これが青春だ!』は、芝居留学していた竜雷太さん、『進め!青春』では俳優座養成所出身の浜畑賢吉さん、『飛び出せ!青春』では文学座の村野武範さん、『われら青春!』では文学座附属演劇研究所(後に正式座員)の中村雅俊さん、『あさひが丘の大統領』では、やはり『太陽にほえろ!』のボン刑事に抜擢されていた宮内淳さんらを売り出しました。

有名なエピソードですが、文学座の村野武範さんが、文学座附属演劇研究所の松田優作さんを紹介して『太陽にほえろ!』に抜擢。

すると、松田優作さんは、やはり文学座研究生だった中村雅俊さんを紹介して『われら青春!』に抜擢したという「文学座つながり」のエピソードも本書では書かれています。


さらに、岡田晋吉プロデューサーは、抜擢した俳優をその一作で放り出すのではなく、仕上げとして「その次」のしごとまで世話をしました。

村野武範さんや中村雅俊さんは、当時日本テレビの人気ホームドラマだった『つくし誰の子』に出演。

文学座の杉村春子さんは、中村雅俊さんとの共演に、「あなたも文学座だったの」と驚かれたというエピソードもあります。

正式座員になったときには、すでに『われら青春!』に主演し、舞台俳優というよりドラマ俳優として活躍中でしたから、無理もないことかもしれません。

熱血先生は「体制内野党」だった



本書曰く、ドラマのヒーローは、体制派でも反体制でもいけないといいます。

私などは単純ですから、反体制の方が思い切った表現ができるじゃないかと思うのですが、そう単純なものではないのですね。

といっても、左翼だからと政治的に毛嫌いしているという意味ではありません。

現状維持(体制派)では面白くないし、かといって頭から体制を否定してしまう(反体制)のは、政治的な偏向のイメージがあるだけでなく、ルールも価値観も無視した無原則なものになってしまう。

だから根本的な葛藤が生じにくいというわけです。

要するに、ドラマというのは葛藤が基本なんですね。

善玉と悪玉のたたかいとか、恋敵との争いとか、出自の悩みとか、その活写から表現される苦悩やせつなさや挫折感などが視聴者に共鳴されるわけです。

青春学園ドラマでも、「型破りな教師」はいろいろ登場しましたが、学校の細かいルールには「型破り」に噛み付いても、学校の意義や教育行政を頭から否定はしないのですね。

岡田晋吉さんの話で、なるほどなあと納得しました。

そういえば、最近のドラマって、「せつなさ」を感じるものが少なくなりましたね。要するに葛藤が甘いのかな。

もっとも、閉塞して混迷した現代は、拠ってたつべき価値観もよくわかりませんから、その点でもドラマは作り方がむずかしくなっているのかもしれません。

青春学園ドラマファン必見の一冊です。

青春ドラマ夢伝説 ――「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代 (ちくま文庫) - 岡田 晋吉
青春ドラマ夢伝説 ――「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代 (ちくま文庫) - 岡田 晋吉
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赤面症

「俺たちの旅」は名作だったなぁ
も~の~なのですー
by 赤面症 (2023-08-25 01:11) 

コーヒーカップ

青春ものは両親がよく見てたと思います
こういうドラマは関わり合いが面倒なシーンが有りますが
その頃の私は精神的に幼いのでこういうドラマ観て
大人って面倒って思い見てました

by コーヒーカップ (2023-08-25 03:52) 

猫の友 メルティー

俺たちの旅、ドラマの頃、吉祥寺の近くに暮らしていました。マクドナルドが初めて出店、あの頃の吉祥寺が懐かしいです。
by 猫の友 メルティー (2023-08-25 05:42) 

pn

デジタルリマスターは妙に綺麗になっちゃうから記憶のイメージから離れちゃいそうで(^_^;)
by pn (2023-08-25 06:22) 

よいこ

むかしは振り返らない方なので、俺たちの旅は懐かしいなとは思うけど、見ることもないと思います。
真っすぐにひとに気持ちをぶつけることが良いとされた時代そのものが、もう過去になってしまいましたね
by よいこ (2023-08-25 08:25) 

Take-Zee

こんにちは!
”青春シリーズ”よくみました。。。

by Take-Zee (2023-08-25 09:28) 

十円木馬

1970年代の学園・青春ドラマは名作が多かったと思いますが、その主題歌もまた素晴らしいものでした。『これが青春だ!』の布施明さん、『飛び出せ!青春』の主題歌「太陽がくれた季節」、『俺たちの旅』の中村雅俊さん、『おれは男だ!』の主題歌「さらば涙と言おう」・・どれも忘れられません
by 十円木馬 (2023-08-25 14:29) 

tai-yama

竜雷太と峰竜太を間違えるのはあるあるネタと(笑)。
中村雅俊さんはヒット曲多いのに紅白は2回だけ・・・
by tai-yama (2023-08-25 22:01) 

エンジェル

「俺たちシリーズ」や「太陽にほえろ」は私の青春時代ど真ん中です!!中村雅俊さんは当時大ファンでしたo(*>▽<*)o
by エンジェル (2023-08-26 16:10) 

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