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藤真利子、『文子とはつ』から『青春ド真中!』『飢餓海峡』出演、母親介護 [懐かし映画・ドラマ]

藤真利子、『文子とはつ』から『青春ド真中!』『飢餓海峡』出演、母親介護

今日は藤真利子さん(1955年6月18日~)の誕生日です。おめでとうございます。大学在学中に『文子とはつ』に抜擢され、『飢餓海峡』での熱演を機に女優の実績を積み上げていきました。が、50歳過ぎて実母の介護のため女優としてのキャリアは停滞してしまいました。



藤真利子とは誰だ



藤真利子は、聖心女子大学在学中に、TBSがお昼の時間帯に帯で放送していた『文子とはつ』(1977年10月3日~1978年3月31日)に抜擢されて本格デビュー。

タイトルどおり、ダブルヒロインで話題となりましたが、メインはもうひとりの女性、香野百合子の方でした。

老舗の俳優座の女優ですから、そりゃ大学生の藤真利子よりも格上なのは当然のことです。

藤真利子が、一躍注目度を高めたのは、フジテレビ系列の「ゴールデンドラマシリーズ」(土曜22:00~22:54)枠で放送された『飢餓海峡』(1978年9月2日~1978年10月21日)に出演したことです。

戦後まもなく、台風の日に北海道で起こった質店放火・強盗事件と、10年後に起こった殺人事件が、ある女性を接点に繋がっていくという水上勉の推理小説のドラマ化です。

すでに、三國連太郎、左幸子という、これ以上ない適役で映画化されており、ドラマ化に対する期待と注目も高まっていました。

その女性役を、最初は多岐川裕美がキャスティングされましたが、ヌードになるかどうかで揉めたため、結局降板して藤真利子が抜擢されたといわれています。

しかし、多岐川裕美はデビュー作の『聖獣学園』(東映)で脱いでいるので、私はそれだけでなく、失礼ながら映画版の左幸子を超える自信がなかったのかな、と勘ぐってもいます。

一方、引き受けた藤真利子はここがチャンス、と思ったのでしょう。

難しい役だけに、引き受けたのは、何がなんでも女優としてやっていくという決意が感じられました。


そのおかげで、この仕事以来女優生活が軌道に乗り、大河ドラマ、NHK連続テレビ小説、火曜サスペンス劇場、その他連続ドラマ、単発ドラマなど30年以上にわたって数多く出演。

Wikiによると、「火曜サスペンス劇場最多犯人役出演俳優」だそうです。

青春ド真中!


『飢餓海峡』の直前に、藤真利子は『青春ド真中!』(1978年5月7日~9月24日、ユニオン映画/NTV)に出演しています。

このブログとしては、1度ご紹介しておきたいと思っていましたが、意外にもまだ1度もご紹介したことのない、中村雅俊主演の青春学園ドラマです。



このブログでよくご紹介する『ゆうひが丘の総理大臣』と出演者がかぶるため、違いがわかりにくいともいわれていますが、『ゆうひが丘の総理大臣』は全40回にわたるため、人物の設定が深く、たとえば実母に捨てられたとか、その実母との再会に悩むとか、学園ドラマとしてはめずらしく登場人物の生き様の陰翳が深い構成になっています。

一方、『青春ド真中!』は、中村雅俊が産休補助教員という設定でわずか13回のため、より明るい学園生活らしい話を優先的に取り上げています。

現在、倍賞千恵子の夫である、小六禮次郎が音楽を担当しました。

藤真利子は、中村雅俊の教え子(井上純一)の姉役です。

新任の男性教員が来るとお熱を上げるのですが、すぐにメソメソするので、メソというあだ名を付けられていました。

ドラマの構成上、必要な役ではあったのですが、もっと重い役ができるようにとこの時に考え、『飢餓海峡』に出て勝負しよう、と思ったのかもしれません。



介護生活11年でも『ママを殺した』



上のOGPはAERAのインタビューページですが、藤真利子さんは、実母が2005年に脳梗塞で倒れ要介護5の認定を受けたことで、2016年11月に亡くなるまでの11年間、生活の全てが母親の介護に明け暮れました。

演技も円熟期を迎える一番いい時期に、女優業はほぼ休業状態に陥ったのは、第三者的には本当にもったいないと思います。

インタビューでは、11年にわたる介護生活は経済的な困窮ももたらし、ユニクロの服を買うのも高くて躊躇したと告白しています。

しかし、「つらかったことは1つもない」と言い切り、その心境を書いた本のタイトルは『ママを殺した』(幻冬舎)。


大事な11年間も人生を犠牲にしたのに、まだ自分の力が足りなかったといわんばかりのタイトルです。

また本の中身は、介護そのものよりも、母娘のそれまでの思い出に紙数がさかれていたように思いました。←ですから、具体的な介護を読みたい人には期待はずれです

思うに、父である直木賞を受賞した人気作家の藤原審爾と、小さい時に別居してしまった藤真利子にとって、一人だけ残った親である母親に対する思いは、おそらく両親揃った普通の家庭に育った人以上の重みがあるのでしょう。

そして、父・藤原審爾のもとには、映画監督や有名な女優が訪ねて来る環境だったことから、別居してしまった父に近づきたいという思いもあって、自身も女優の道に進んだのではないかと思いました。

さらにいえば、幼少時に温かい家庭に恵まれなかったことが、結婚に対するご自身の否定的な価値判断に影響を与えているようにも思いました。

つまり、両親に囚われた人生なのです。

よく、人生は本人の努力がすべてのように啓蒙したり、成人すぎたら親の影響のせいにするのはおかしいと居丈高に叱り飛ばしたりする意見を聞きますが、それはきっと、親で苦労したことがないんじゃないのかな。

子は、親の生き方や育て方で人格形成されており、ほんとうの意味で「親離れ」するのは、なかなか困難を極めることだなあと、藤真利子さんの生き様を見て改めて思いました。

ただ、藤真利子さんの場合は、たとえ親子であろうが人格も人生も別なんだ、と割り切る価値観と向き合うこともあってもよかったんじゃないかという気もします。




アブラカダブラ+1 - 藤真利子
アブラカダブラ+1 - 藤真利子

ママを殺した (幻冬舎単行本)

ママを殺した (幻冬舎単行本)

  • 作者: 藤真利子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/11/08
  • メディア: Kindle版



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コメント 13

ヤマカゼ

太陽にほえろはなんとなく記憶にあります。華やかな感じではない女優さんでしたね。
by ヤマカゼ (2020-06-18 12:52) 

pn

辛くはなかったって言い切れる位全力だったのかな、俺には出来ないだろうなぁ。
by pn (2020-06-18 16:43) 

なかちゃん

藤真利子さん、ん~~ん、名前しか知りません。
青春ど真ん中というのもNTVなのに観た記憶が無いし、飢餓海峡も残念ながら・・なんです。
とても素敵なお話が書かれているので、観る機会があれば観てみたいです(^^)

by なかちゃん (2020-06-18 18:33) 

ヨッシーパパ

聖心女子大学出身とは、高学歴のお嬢様だったのですね。
by ヨッシーパパ (2020-06-18 19:19) 

犬眉母

介護で第一線から退く芸能人が、どれほど多いことか。
稼いでるんだから人を雇えば、という声もありそうですが、
やっぱり親子の介護は、人任せにできない泥臭いもの
なんでしょうね。

by 犬眉母 (2020-06-18 20:06) 

ミケシマ

飢餓海峡は原作を読んだことがあります。
映画もみてみたいなぁ。
この方、藤真利子さんとおっしゃるのですね。
ママを殺した… すごいタイトルだなぁ。
親の生き方や育て方で人格形成されている。
わたしもそう思います…
母親の嫌いだった部分、悩まされた部分にふと自分が重なることがあり
自分を叱咤することがあります。
by ミケシマ (2020-06-18 21:12) 

mau

長生きしたらまったくもたない…そうですよね。
by mau (2020-06-18 21:44) 

モッズパンツ

火曜サスペンス劇場の最多犯人役出演俳優というのが凄いですね。驚きました。w

⊂(^ω^)⊃
by モッズパンツ (2020-06-18 23:05) 

ナベちはる

11年と長いことやっていると必ず1つは「辛いこと」があってもおかしくないと思うのですが、それが無いとはただただ驚いて言葉が出てきません…
by ナベちはる (2020-06-19 00:39) 

Rinko

最近お見掛けしないと思ったら、介護をなさっていたんですね。
ステキな色気のある方なので、これからまた活躍して欲しいです。
by Rinko (2020-06-19 08:10) 

旅爺さん

藤真利子????どんな映画やテレビに出ていたのか、
記憶にないです。写真写りを変えたら分かるかな?。
by 旅爺さん (2020-06-19 08:59) 

coco030705

こんばんは。
飢餓海峡、自粛中にBSプレミアムシアターでちょうどやっていて、こんなにすごい映画があったんだと、観てよかったとおもっていたところです。左幸子さんの役を、TVでは藤真利子さんがなさったのですね。きっと上手に演じられたことでしょう。多岐川さんでは、迫力が足りなくてミスキャストになっていたことでしょうね。
by coco030705 (2020-06-19 23:22) 

そらへい

華奢な体つきに似合わずガッツのある女優さんだったような気がします。作家藤原審爾の娘さんというのは聞いたことがありました。
by そらへい (2020-06-20 21:23) 

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