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永島慎二、『漫画家残酷物語』『柔道一直線』など昭和の漫画界で活躍 [懐かし映画・ドラマ]

永島慎二、『漫画家残酷物語』『柔道一直線』など昭和の漫画界で活躍

6月10日は漫画家・永島慎二さん(1937年7月8日~2005年6月10日)の命日でした。貸本時代の漫画家として実績を残し、『漫画家残酷物語』『柔道一直線』などのヒット作もあります。マンガ図書館Zでは現在それらを無料で読むことができます。




永島慎二とは誰だ


昨日、2度も更新してしまったので入れませんでしたが、本当は昨日書きたかったのが永島慎二さんです。


永島慎二さんは、仕事を転々としながら漫画を描き続け、1952年にデビュー。

1961年に、漫画業界の裏側に迫った『漫画家残酷物語』を発表。現在も代表作と言われています。



『COM』や『ガロ』などの漫画誌に数々の作品を発表し、「独特の画風で“青年漫画の教祖”と呼ばれるようになった」(Wikiより)といいます。

以後も、さいとう・たかを率いるさいとう・プロダクションに入って劇画の腕を磨き、虫プロダクションに所属してテレビアニメ『ジャングル大帝』などで主に演出を担当するなど、幅広く実力や実績をつけます。

そして、1967年より梶原一騎原作による『柔道一直線』を連載開始し、TVドラマ化されました。

貸本漫画家


永島慎二は、「さいとう・たかをに次いで漫画家志望者に対する影響力があった」(Wikiより)といわれるほど貸本漫画家としての実績を積んでいますが、私は実は「貸本漫画」の時代を知りません。

貸本漫画というのは、主に昭和30年代、今で言うレンタルのDVDのように、会員制で一定の賃貸料をとって貸し出す漫画本やそのシステムを指すそうです。

Wikiによると、「1950年代末から1960年に最盛期を迎え、文具店・駄菓子店などとの兼業も含めて東京都で3000店、全国で3万店の店舗があったと推計されている。」そうです。

『週刊少年サンデー』や『週刊少年マガジン』など、週刊漫画雑誌が相次いで創刊されることでシェアを奪われたようですが、私はそのシェアを伸ばしつつある『週刊少年マガジン』から漫画を読み始めた世代です。

たとえば、『巨人の星』とか『天才バカボン』などが看板の作品でした。

それはともかくとして、永島慎二作品の画風を見ると、たしかに昭和30年代~40年代前半を思い出させてくれます。

主人公は、目が大きくて、眉が太くて少し上がり気味。

『タイガーマスク』を描いた辻なおきさんや、『巨人の星』の川崎のぼるさんなどもその傾向がありますね。

ということで、具体的に作品をご紹介します。

永島慎二が、週刊漫画雑誌でポピラリティを獲得したのは、なんと言っても『柔道一直線』でしょう。

柔道一直線



『柔道一直線』の作られた背景は、それまで国技と思われていた柔道の世界で、しかも地元の東京オリンピックで、日本代表の神永昭夫が、アントン・ヘーシンク(オランダ)に敗れてしまったことに始まります。

アントン・ヘーシンク
後にプロレス入りしたアントン・ヘーシンク(『週刊大衆』2014年6月23日号)

日本としては、何が何でもアントン・ヘーシンクにリベンジしなければならなかったわけですが、当時の国内の有力選手だった、加藤雅晴や坂口征二も返り討ちにされてしまいました。



つまり、外国人選手に覇権を取られてしまった日本の柔道は、いったいどうなるのだろう、という先行きのわからない暗い時代だったわけです。

そんなときに、梶原一騎先生が、『少年キング』(少年画報社)という漫画雑誌において、スポーツ系漫画三大看板として、プロレスのジャイアント馬場の自伝の体裁をとった『ジャイアント台風』とともに、キックボクシングのスター・沢村忠を描いた『キックの魂』、そして『柔道一直線』を連載しました。


梶原一騎先生といえば、現実と創作を巧みに取り混ぜた劇画原作でおなじみ。

『ジャイアント台風』や『タイガーマスク』人気による後押しもあり、プロレスが第二期黄金時代と呼ばれる隆盛に向かったように、荒唐無稽な技などもストーリーに取り込んだ『柔道一直線』によって、少年に対する柔道の知名度アップなどをはかったのです。

あらすじは、1964年の東京オリンピックで絶命した柔道家の息子の一条直也が、車周作の指導のもとで「地獄車」「海老車」などの技を駆使し、日外の強豪たちと戦います。

テレビドラマも大ヒット



桜木健一主演による同名のテレビドラマ『柔道一直線』も大ヒット。

出演者も豪華で、意外なところでは、千葉真一までが一条直也(桜木健一)の先輩・鷲尾役で出演しています。


そして、車周作(高松英郎)と一線交えます。

組合い、投げ合うものの、ともに決め手を欠き、互角のまま勝負が終わります。

千葉真一「車さん、見事だ」

ほめられた車周作は、つい気を許します。

「あんたも」

しかし、そこで千葉真一はこう落とします。

「だが、あんたの柔道は邪道です」

「うぬぬ」

サニー、褒めてその気にさせておいて、落としやがったなーっ

『新幹線大爆破』で、感情の起伏の激しい運転士役をつとめた千葉真一は、すでにこの頃から期待を裏切らないキャラクターを見事に演じていたのです。



愛と死の詩


貸本漫画時代の作品も、ひとつご紹介します。

『愛と死の詩』も、このOGPをクリックするとマンガ図書館Zで無料で読めます。


あらすじは書かれている通りで、人生の不幸に存在する背景を描いた短編集になっています。

私も、なにか不運不幸があると、物事は偶然と必然だとわかっていながら、「どうしてだろう」と思い悩むことがあります。

その「必然」の部分を読み解いているマンガです。

今回、あらためて永島慎二さんの作品を読むことができましたが、他の作家についても、私の知らない貸本漫画時代の作品が復刻されるといいなと思います。




若者たち - 永島 慎二
若者たち - 永島 慎二

銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

  • 作者: 永島 慎二
  • 出版社/メーカー: グループ・ゼロ
  • 発売日: 2017/05/29
  • メディア: Kindle版



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コメント 14

十円木馬

小学生の頃、『少年サンデー』と『少年マガジン』は
毎週買って読んでいましたが、『少年キング』はあまり
馴染みがありません。テレビドラマ『柔道一直線』は、
とても思い入れがあります。吉沢京子が大好きでした。
あの時代が懐かしいです。
by 十円木馬 (2020-06-11 15:20) 

kou

永島慎二さんの作品は多く読んでましたが、どちらかと言えば梶原一騎さんの名前が強く残っています。これも梶原一騎の原作か・・・と子供心に思いながら毎週楽しみにしてました。漫画は買わないで近くの床屋さんに通って読ませてもらってました。昭和は良かったです。
by kou (2020-06-11 17:04) 

我流麺童

柔道一直線の漫画とテレビ番組が懐かしいですね。
ちょうど自分も高校の教科で柔道をやった時期に重なりました。
by 我流麺童 (2020-06-11 17:52) 

ヨッシーパパ

ドラマの柔道一直線の真似をした、地獄車とか土手で遊んだり、体育倉庫で遊んだりしていました。
by ヨッシーパパ (2020-06-11 19:02) 

pn

うーむ、星飛雄馬にしか見えない(^_^;)
by pn (2020-06-11 20:13) 

エンジェル

柔道一直線はテレビドラマは見ていました。梶原一騎の原作なんですか?画風もそっくりですね。
by エンジェル (2020-06-11 21:39) 

mau

読んだことがない漫画家さんです。
探そうかな
by mau (2020-06-11 22:46) 

skeptics

マンガやドラマは有名になりましたが、荒唐無稽な技に眉をひそめる柔道関係者もいたとか。
考えさせられます。
by skeptics (2020-06-11 23:30) 

pigumon

テレビドラマ「柔道一直線」
懐かしい〜です
車周作の地獄車
やんちゃ坊主は
みんな 真似したもんです
私も その一人
当時は あんなことして
よく 大怪我しなかったもんです
怪我した子は 一定数いたけど
たいして問題視されなかった?
そんな時代だったのかも 知れません
by pigumon (2020-06-11 23:50) 

ナベちはる

『柔道一直線』は、ピアノで足を弾くシーンがあるというぐらいしか分からないです。
by ナベちはる (2020-06-12 00:51) 

なかちゃん

柔道一直線は、テレビの方は知っていましたがマンガの方は知りませんでした。
この永島慎二さんという方は知りませんでした。
↑ でも書いておられるけれど、ボクの目にも星飛雄馬に見えてしまいます(^^;

by なかちゃん (2020-06-12 06:17) 

ヤマカゼ

同じく柔道一直線はテレビで夢中になって見てましたが
漫画版があるとは知らなかったです。
by ヤマカゼ (2020-06-12 06:39) 

扶侶夢

昭和の時代を醸す漫画家は大勢いるけれど、永島慎二さんも代表的なひとりですね。
彼は絵本も描いていて、素晴らしい童画作家でもあります。
by 扶侶夢 (2020-06-12 11:41) 

そらへい

「ガロ」でよく見た気がします。
メジャーではないけれど、良品を作る漫画家というイメージでした。
しかし、「柔道一直線」は知りませんでした。


by そらへい (2020-06-14 20:38) 

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